「途中まではよかったのに」フライトプラン nao-eigaさんの映画レビュー(感想・評価)
途中まではよかったのに
重々しい雰囲気、寒色系の色調、
この後に起こることを暗示するかのような演出・・・
「これからどんなことが起きるのか?」
といったドキドキ感、高まる不安、スリル。
娘はどうして姿を消したのか、
どこに行ったのか、
生きているのか死んでいるのか
それとも主人公がおかしくなっただけなのか・・・
途中まではミステリーっぽくて
引きこまれたし、楽しめた。
主人公に対しての周りの人たちの変わっていく態度も
なかなかリアルでよかった。
しかし、娘は母親の言うとおり誘拐されていて、
しかもその犯人は男だったと「ネタバレ」したところから
面白さがなくなってしまったように思う。
それまでは
「これは壮大なスケールの話で、
すごく大きな組織が関わっているのではないか、
飛行機の乗組員はどこまで信用できるのか
もしかしたら皆グルなのではないか」
という考えが頭を駆け巡っていたのだけど、
フタを開けてみれば
なんとも小規模な犯罪で拍子抜け。
男の共犯も一人のフライトアテンダントというお粗末ぶり。
もっとスケールの大きな組織の犯罪かと思っていたのに・・・。
しょぼすぎる。
結局は、たくましい母の娘救出劇ってだけだった。
ミステリーっぽさ満点のスリル感も途中からはなくなり、
最後は犯人とのドタバタ劇に終わってしまった。
犯人が爆発に巻き込まれるシーンもチンケというかちゃちいというか・・・。
ミステリー感を最後まで保ってほしかった。
また、色々と「?」な部分が多かった気がする。
娘を連れ去った際、どうやって誰にも見られずに運んだのか。
しかも連れ去るときは見られないようにできても、
主人公と娘が飛行機に乗り込んだ際やその後、
誰にも娘を見られないようにすることなんてできない。
たまたま娘を見た人はいなかったってだけ。
もし娘を見た人が何人もいたらどうするつもりだったのだろう・・・。
ラストシーンも「で?」って感じだった。
もっと夫をなくしたことについての悲しみとか・・・
そういうのを表現してほしかった。
夫をなくしたってのが、娘救出劇のドタバタで
すっかり影をひそめてしまったように思う。
雰囲気や演出はけっこう好きだったので、
色々な穴、話の甘さにガッカリ。
例えば「羊たちの沈黙」のような
ゾッとするような犯人の演出や、
観終わった後も尾を引くような不気味さを出してほしかった。
娘役の子がお人形みたいで可愛かった。
誘拐されている間出てこなくて残念。
共犯のフライトアテンダントの目が怖かった。
目頭が切れ込みすぎて・・・。
あの目でじっと見つめられたら逃げ出したくなりそう。