■ 作品情報
空手家・田部井淳が主演を務めたアクション映画「TRAVERSE トラバース」の続編。監督・脚本: 白善哲。主要キャスト: 田部井淳、中野咲希、アラン・ロワ、岸本尚子、三元雅芸。
■ ストーリー
前作の戦いから5年、高梨淳は、義理の娘である里菜とともに、巨大犯罪組織「蠍」から逃れるため、名前を変え山奥でひっそりと生活を送っていた。しかし、安穏な日々は突如終わりを告げる。「蠍」が送り込んだ元軍人の最強部隊「クリーナー」が、ついに高梨たちの居場所を突き止める。高梨と里菜は、再び執拗な追撃にさらされ、命を狙われる絶体絶命の状況に追い込まれる。彼らは家族の絆と過去の因縁と向き合いながら、襲いくる敵との死闘に身を投じる。
■ 感想
全くノーマークだった『トラバース2』ですが、舞台挨拶付き先行上映があるという情報を得て軽い気持ちで鑑賞してきました。前作は未鑑賞ですが、ストーリーは極めてシンプルにまとめられており、何の問題もなく作品の世界観に浸ることができました。
主演の田部井淳さんの本格的なアクションは、空手をベースとしながらも手近なものを武器として用いる動きにむだがなく、なかなか見応えがあります。地元豊橋出身の方だと知り、その驚きとともに、今後のさらなる活躍を期待せずにはいられません。そして、2000人ものオーディションを勝ち抜いたというヒロインの中野咲希さんの演技も、血のつながりを超えた親子の情愛を温かく表現していてすばらしかったです。特にラストシーンでは、もらい泣きしそうになりました。目に力のある女優さんで、今後の活躍が楽しみです。
惜しむらくは、アクションシーンにおける銃火器の描写です。せっかくの空手アクションを際立たせるためかもしれませんが、敵が銃を所持しているのに使わない、あるいは散々やられてからようやく銃を取り出す、さらには弾がほとんど当たらないといった点が、少し不自然に感じられます。被弾した腕を庇うそぶりもなく高梨が平然と戦い続ける演出も、現実感を損ねてしまう要因だったかもしれません。あと、三元雅芸さんのアクションが見られなかったのも残念です。
とはいえ、オール地元ロケで撮影されたという本作には、地元愛と情熱が深く息づいていることをひしひしと感じます。そういった背景を知ると、多少の粗は気にならなくなりますし、むしろ心から応援したくなります。上映後の舞台挨拶では、主演のお二人の温かい絆が垣間見え、撮影の裏話が聞け、本作への愛着がさらに深まり、なんなら次回作への期待も膨らみます。その際は、敵の外国人ボスが過去を背負っていたように、登場人物の背景をもう少し深く掘り下げて、物語にさらなる奥行きが加わることを願っています。そして、空手を習得した里菜との親子共闘のアクションが見てみたいです。