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映画レビュー
題名と内容のギャップが!
本作は、東京フィルメックスに出品されたインドネシア映画。有楽町朝日ホールで干渉しました。
概略は、1946年のジャカルタを舞台に、日本の敗戦後、再植民地化を狙うオランダやイギリスと、それに抗う独立運動家たちの闘いを描いた作品でした。少なくとも「市街戦」という題名からは、市街地での武装闘争を中心に描いた戦争映画、アクション映画の類だろうと思って観に行きました。事前の想像では、「RRR」のようなテイストの作品なんだろうと思っていた訳ですが、あにはからんや、「RRR」にあったような激しいアクションシーンはほとんどなく、宗教ナショナリズムや政治色すらもあまり感じられないお話で、その点肩透かしを食らった感じでした。
ではどう言ったお話だったかといえば、独立運動を側面から支える主人公イサとその妻ファティマ、そしてイサの独立運動仲間でありファティマの不倫相手でもあるハジルの三角関係に中心が置かれ、あらゆる意味で男性機能の低下に悩む彼の心情の変化や、夫を助けようとするもすれ違いが起こり、結果夫の盟友と不倫することになるファティマの複雑な思いを描いたヒューマンドラマでした。
別に戦時下であろうがこうしたお話があって全く問題はないと思いますが、題名とのギャップから発した戸惑いが収まる頃には作品は終わっており、この辺りはちょっと微妙ではありました。
一方で、当時のジャカルタ市街を再現した街並みは、現在のインドネシア国内でオールロケで撮影したとのことで、非常に見応えがありました。300年以上のオランダ統治下で、オランダ人居住区は欧風な建物が並んでいたようで、こうした風景に、当時のジャカルタにタイムスリップしたかのような感覚を味わうことが出来たのは収穫でした。また、蘭英両国が再植民地化のために使ったグルカ兵の存在など、物語の主軸は三角関係であっても、歴史的事実をきちんと踏まえている点は評価できました。
ただ演出面で少し注文を付けたい部分もあり、イサがヴァイオリン教師という設定だったので、劇中音楽にももっとヴァイオリンを活かして欲しかったかなと思いました。さらにイサが元兵士という設定ではあるものの、射撃の腕前がジェームズ・ボンドやデューク東郷並みに超人的であることにちょっと驚いた一方、最終的にはグルカ兵との格闘で捕まってしまうなど(接近戦は射撃の腕前より劣るのかも知れないけど)、ややバランスに欠ける面もありました。
なお、原作者のモフタル・ルビスは、インドネシア屈指の有名作家とのことで、今年4月のインドネシア国内での上映の際にはそれなりに注目された作品だったようですが、インドネシア映画としては異例のセックスシーン(といっても裸にはならないけど)が何度かあったことから、レビューサイトには「ポルノ映画だ」という声も上がっており、公開から2週間で打ち切られてしまったようです。(あくまでレビューの情報ですが。)
とはいえ、「RRR」的な宗教ナショナリズムに頼らず(監督もファティマ役の女優もおそらくムスリムではない)、人間ドラマをしっかり描こうとした姿勢は大いに評価したいところ。演出にもうひと工夫あればなお良かったですが、インドネシア映画にお目に掛かる機会はそう多くはないだけに、いい経験になりました。
そんな訳で、本作の評価は★3.6点とします。
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