ポンペイのゴーレムのレビュー・感想・評価
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ラスト20分前まで繰り広げられた闘い
2025年6月にイタリアのポンペイで披露された、アモス・ギタイ演出による舞台劇「ゴーレム」を記録したドキュメンタリー。
TIFFのコンペ部門作には、選出された事に首を傾げたくなるものが毎年最低1本はあるが、今回は本作がそれに該当。端的に睡魔に襲われたし、劇の下敷きとなっているカバラ神話を知っておかないと話についていけないと思う。劇の根底には虐げられるユダヤの民があるわけだが、定点カメラによる引きの映像は飽きが来るし、映像化するのならストレートにドラマ映画として作ったものが観たかった。
本作唯一にして一番の見どころはラスト約20分の出演俳優たちの独白だろう。ユダヤの血を引く彼らが交代で自らの出自を語っていく件は説得力あるし、なにより本筋の舞台劇よりも興を惹かれた。その頃には睡魔との闘いも終わっていたので、じっくりスクリーンに集中できたというのもあったが。
繰り返すようだが、コンペに選出されるべき作品は本作ではなかった。
映画にする意味ある?
東京国際映画祭で何の予備知識もなく鑑賞。アモス・ギタイという監督、多くの受賞歴を持つ巨匠らしいのですが、ほとんどカメラ移動なくセリフ劇の舞台を延々と映してるだけ。映画にする意味あるの?セリフもひたすらユダヤ人の受難を何ヶ国語も使って、詩的、哲学的に語り続けるという体で、まいりました。独りよがりで出来損ないのモダンアートって感じ。演者は深刻な顔付きで声高く訴えてるんだけど、何も伝わってきません。
たまたま前日に同じコンペティション参加作品で『パレスチナ36』という、イスラエル建国時にパレスチナ人が土地から追い立てられる姿を描いた作品を見たのですが、心を揺さぶられる素晴らしい作品だっただけに、とても複雑な心境になりました。
巨匠だかなんだか知らないけれど、映画として人に観てもらいたいのであれば、伝わる作品を作ってほしい。
作品としての質の高さはものすごかった
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