「みんなに見てほしい「ネタニヤフ調書 汚職と戦争」」ネタニヤフ調書 汚職と戦争 スズメのさえずりさんの映画レビュー(感想・評価)
みんなに見てほしい「ネタニヤフ調書 汚職と戦争」
世界の多くの人が「戦争犯罪」と見ているイスラエルによるガザ徹底攻撃。この映画を見るとその経緯が分かってきます。(以下は、一部ネタバレを含みます)
この映画は、現職のイスラエル首相であるネタニヤフが警察から尋問を受けている記録映像から始まります。最初は葉巻・シャンパンの話から始まりますが、ネタニヤフの妻、元選挙参謀などの関係者、贈賄側の実業家や関係者などの尋問映像が多層的に積み重なる中で、マスコミ操作の見返りに2億ドルの融資に必要な首相サインをするなど、贈収賄の一部が見えてきます。そして映画の後半には、パレスチナ自治政府に対抗するためにハマスへの資金援助をカタールに依頼していたという、おぞましい話も出てきます。
収賄/詐欺/背任で起訴されて裁判が始まってもネタニヤフは辞任せず、パレスチナ人の殲滅を公言する極右勢力と連立内閣を作って権力を維持し、最高裁の権限を大幅に制限する「司法改革」案を発表しました。これに反対する市民のデモが続く不安定な政治状況の中で、ハマスによる暴挙が起こり、イスラエルはガザへの徹底攻撃を開始。このガザ戦争によって裁判は延期されて判決は出ていません。ネタニヤフが極右勢力と手を結ぶ経緯に戦慄を覚えます。
こんなすごい映画ですが、2025年11月8日(土曜日)の日本封切り時の上映館は、全国で5館でした(東京/渋谷、東京/武蔵村山市、茨城/つくば市、愛知/名古屋市、奈良/橿原市)。11月15日以降は少しずつ上映館が増える予定ですが、それでも上映館は少ないです。この映画、日本やヨーロッパでは劇場公開されていますが、イスラエルでは上映禁止だし、イスラエルに忖度する米国でも劇場公開はなしという状況です。映画配信会社が配信し、映画館が上映し、観客が見る、という循環があってこその映画なので、ぜひ多くの人に映画館でこの映画を見てほしいと願っています。超おすすめです。
