「この中では佐々木くんかな」藤本タツキ 17-26 Part-1 りあのさんの映画レビュー(感想・評価)
この中では佐々木くんかな
藤本タツキが17歳から26歳までに描いた「藤本タツキ短編集 17-21」「藤本タツキ短編集 22-26」の2冊に収録されている8作品をアニメ化し、4作品ずつに分け2部構成としたうちのPart-1。
「庭には二羽ニワトリがいた。」 ⭐︎3.5
地球に文明の発達した宇宙人が来て、人間を食べたため人類が滅亡した世界で、ニワトリの着ぐるみを被り生き残ったユウトとアミの2人はどうなる、という話。
確かに人間より遥かに文明の発達した宇宙人が地球に来る可能性は有るなぁ、と新鮮な気持ちで鑑賞。
食物連鎖の途中に人間がハマったら、と考えさせられる作品だった。
宇宙人の造形が後のチェンソーマンに似てた。
そして、ユウトが実は・・・とは!
面白かった。
「佐々木くんが銃弾止めた」 ⭐︎4
担任の川口先生に恋心を持つ佐々木くん。夏休みの補習に参加していたらいきなり拳銃を持った男が教室に入ってきた。その男は川口先生の高校のクラスメイトで、高校の時に川口先生に振られたことが有り、その後何もかも上手くいかなくなり、その腹いせにやって来た。川口先生は自分には何をしてもいいから生徒に手を出すなと言い、その男は、じゃあSEXさせろ、と迫った。
佐々木くんは神と思ってる川口先生が汚い男とSEXするのが許せず、止めに入った。するとその男が邪魔するな、と佐々木くんに向け拳銃を撃つが、佐々木くんはその銃弾を素手で掴んで止めてしまった。
そして、自分は未来から来たと言い、その男に、あなたは勉強して東大に入り川口先生じゃ無い女性と結婚し家庭を築き子供も出来幸せな人生を送れる、と言った。さてどうなる、という話。
佐々木くんってスーパーマン?かと思ってたら、確率論の話で、限りなく0%に近くてもそれは0では無い。つまり、いくら確率が低くても出来ないわけじゃ無いのだから夢に向かって努力しろ、常識に囚われるな、という深いメッセージが含まれていたように感じた。
SEXがやたら出てきて作者の青春を感じた。
川口先生も可愛かった。
「恋は盲目」 ⭐︎3
海外の大学への進学が決まり明日で卒業という日に、生徒会長が後輩のユリくんに告白しようとした。
雨が降ってるのに良い天気だから一緒に帰ろうと言ったり、先生から残ってくれと頼まれても断り、包丁を持った強盗に脅されても服を脱いで渡してお金を作ってくれと頼み、宇宙人が地球を壊しても良いかと聞いてきても、今はそれどころじゃ無いと言い、ユリくんに好きだと告白した。宇宙人も包丁持ちの男も呆れ、ジュースでも買えと120円をくれた。そんな話。
どうしても今日しかない、今日しなくてはならない、そんな時は他が見えなくなる、有るなぁ、と思った。
絵は楳図一男っぽくてイマイチ好きではなかったが。
「シカク」 ⭐︎4
蜘蛛の脚をちぎって遊んでた娘を殴る母親、とそれを制止せず傍観してた父親。親に愛されず育ったシカクは10年後、殺人をひとり1,000万円で引き受ける殺し屋となっていた。
ある時、ユゲルから呼び出され、1億円やるから自分を殺せ、と言われた。ナイフで頭を刺しても死なず、銃で頭を吹っ飛ばしても再生した。ユゲルは3,500年も生きてる吸血鬼だった。
退屈だから死にたくなったんだと言った。
シカクはユゲルが自分を赦してくれ、同じだと言ってくれ、人生で初めて許容してくれた事に感動し、ユゲルに恋をした。
しかし、ユゲルから風邪だと言われ、病院に行ったところ、健康だと診察された。そんなシカクにユゲルは400年ぶりに笑った、と言い、警察から撃たれて死にそうになってたシカクの血を吸い、シカクを不死身の吸血鬼にした。
200年後もユゲルとシカクは仲良く暮らしていた、という話。
やはり愛情を持って子育てしないといけないな、という教訓だと思った。
ユゲルはもちろんだが、シカクが可愛くて強くてかっこよかった。シカクの声優花澤香菜も良かった。面白かった。
藤本タツキはチェンソーマンを観てから知ったので、にわかファンなんだけど、17歳から漫画描いてて、それがまたなかなかの出来なのに驚いた。
絵ももちろん素晴らしいし、何よりストーリー構成が素晴らしい。
才能有る人は早熟なんだと感心した。
