劇場公開日 2025年11月21日

「映像美が強調されるけど、物語も名作。」落下の王国 4Kデジタルリマスター 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 映像美が強調されるけど、物語も名作。

2025年12月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭、
モノクロのスロー映像を背景に約3分、
ベートーヴェン交響曲第7番第2楽章が流れ、
おお、いいではないか。

ただこの曲、葬送行進曲風だから、
なにやら不穏さも漂わせ。

そのあと、カラーで、病院の風景。
病棟の2階の窓から顔を出し、
地上の看護師さんに向けて
「手紙ヒコーキ」を飛ばす5歳の少女。

あれ? この場面、見たことあるかも。

その後、その手紙ヒコーキが、
足を折ったらしい1階の若いにいちゃん(兄ではない)ロイのベッドに漂着するに至り、

いやこれ、間違いなく記憶にある。

さらには、
少女の名前アレクサンドリアにちなんで
アレクサンダー大王が妄想される場面に至って、

これ絶対見たことある、
となったんだけれど、いつどこで見たかは、全然覚えてない。

最初のモノクロは全く見覚えがなかったから、
おそらくケーブルテレビをザッピングしていて
たまたま見たんだろうと推測。

ともあれ、
断片的記憶はあるものの、
全編、新たな気持ちで楽しめた。

* * *

いろんなサイトで紹介される際、
映像の美しさばかり強調されてるキライがあるけれど、
ストーリーもまた、よいのであります。

ただでさえ影の存在であるスタントマンのにいちゃんが、
彼女を有名な役者にとられて自棄になっている中で、
アレクサンドリアに語って聞かせる荒唐無稽な作り話の
劇中劇映像が描かれる。
そしてこの映像が、構図も色彩も凝りに凝ってて美しさの極みなんだけれど、

同時に、話の途中でアレクサンドリアが
「死んじゃダメ!」とか
「爆弾は⁉︎」とか、ツッコミを入れ、
その都度ストーリーが変わっちゃうのが笑える。

隣のベッドのオッサンの患者がくどく何度も、I 'm not feeling well.と医者に訴えてる台詞が、
悪役最期の台詞になったりするし。

んだけれど、
後半になると、いろんなことがだんだん煮詰まってきて、
ロイは登場人物をどんどん死なせちゃう。
アレクサンドリアはそれに抗議するけど、抗議以上のことはできない。
だって語るのはロイだから。

そしてアレクサンドリアにも危機が。
さあどうなる。
という、なかなかスリリングな展開もあって。

何より
5歳のアレクサンドリアの
一生懸命さと賢さと天然さが
めっちゃよくって。

最後はエンドロールで
冒頭の第2楽章をフルで聴けて、
なおさら満足♪

これはまあ、
世界遺産撮影巡りなんぞしなくっても
名作だと思うのでありますが、
きっと監督が、凝り性の極みなんでしょうな。

島田庵
島田庵さんのコメント
2025年12月2日

>ノーキッキングさん

検索してみました。
ルーマニアの方だったんですね〜。

島田庵
ノーキッキングさんのコメント
2025年12月2日

共感ありがとうございました。
アレクサンドリア役の子は最初で最後の映画出演。惜しい!  現在もポッチャリ系です。

ノーキッキング
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。