27夜のレビュー・感想・評価
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認知のゆらぎ
【アートに流れるカネは正義に降り注ぐ雨】
認知症やスペクトラム的な症状を抱える人物を描いた作品は過去にも多くあった。古くは黒澤明の『どですかでん』、
あるいは精神の迷宮を戦場と都市の廃墟に投影した『幻の市街戦』がその嚆矢ともいえる。
近年では、『手紙は覚えている』が〈認知症を装う〉という設定で、
ホロコーストをサスペンスに仕立て直し、
『ファーザー』ではアンソニー・ホプキンスの圧倒的な演技力が、
虚実の境界をグラグラに揺さぶった。
本作は、
その系譜の上に立ちながらも、さらに一歩踏み込む。
ここでは「認知症なのか、スペクトラム的傾向なのか、あるいは単に誠実すぎるだけなのか」という曖昧な領域を、
登場人物たちの会話と微細な芝居を通して丁寧に掘り下げていく。
観客はその曖昧さに戸惑いながらも、
次第に自らの生活の中に思い当たる断片を見出し、
物語は観客自身の心に静かに食い込んでくる。
作品は単なる心理劇にとどまらない。
診断書をめぐるエピソードがサスペンスの要素を帯び、
理性と感情、科学と人間性のせめぎ合いを映し出す。
その緊張感が物語全体を引き締めており、
繊細で見事なシナリオの構造を際立たせている。
何より、この繊細な脚本を支える俳優陣の芝居が素晴らしい。
抑制された表情の揺らぎ、沈黙の間に滲む感情の粒立ち。
演出も決して声高ではないが、
登場人物の内奥を見透かすような冷静なまなざしを持つ。
全体として、キャスト、脚本、演出の〈総合診断〉が極めて高い精度で噛み合っており、ある意味、心理描写の一種の到達点を示している。
認知の揺らぎを通して〈人が人を理解するとはどういうことか〉という根源的な問いを突きつける。
静かながらも深く、観る者を自らの内側へと引きずり込む一作である。
芸術に流れるカネは正義に降り注ぐ雨。
後半の謎ポエムは唯一無二だった🪵
老齢女性が認知流の判定に知的な会話で抵抗するものの、ラストはその医師を雇い新たな人生を歩むと言う良く分からないストーリーでした。医師が勘違いして女性に振られるシーンと、謎の男根ポエムが印象的でした。カウンセリングに関連して、PS1の「serial experiments lain」(1998)の演出や仕掛けが、今でも凄いです。
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