劇場公開日 2025年11月28日

Ryuichi Sakamoto: Diariesのレビュー・感想・評価

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5.0坂本龍一ほど映像化するのに相応しい人物はいなかった?

2025年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

2024年にNHKで放送されたドキュメンタリーに何ヶ所か加筆して、坂本龍一が亡くなる間際までの3年半に密着した映画は、まず、被写体とカメラの距離感が近いことに驚く。カメラが追う、なとどいう生やさしいものではなく、時には痛々しいほどまで肉薄して、音楽に生きた1人の天才の最期を映し出す。これは遺族の協力なくして実現しなかった作品だ。

晩年の彼が、音楽というより自然界が奏でる音そのものに触発されたのは、環境問題に人一倍の興味と危機感を抱いていたアーティストの必然だと感じる。

同時に、彼が息を引き取る直前まで美しい佇まいをキープし続けたことと、とことん端正だった彼の音楽とは無関係ではなかったとも思う。すべては1つのストーリーとして完結しているのだ。少なくとも、本作を見る限りにおいては。

そう考えると、坂本龍一ほど映像化するのに相応しい人物はいなかったのではないかと思う。今、音楽界はもちろん、映像の世界も深い喪失感の中にいるはずだ。

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清藤秀人

4.0美しい音楽家が生き続ける姿

2025年11月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

音楽家、坂本龍一さんの最後の数年を手記と共に辿った本作。音楽と、作曲と共に最後まで実直に生きる姿がとても美しかった。
メディアやSNS、街の喧騒に少し疲弊した気がする昨今、坂本龍一さんの愛した雨音、雲の行くさま、寂静な音楽の数々に、心が洗われるような作品でした。
最後までやりたい事、作りたい音楽を追求する姿に、病床ではあったがとても羨ましく感じる所もあり、自分の生き方に少し背筋が伸びるような気持ちにもなった。
本作中にもその演奏シーンが少しだけ映る、別作品「Opus」も最後の素晴らしい生演奏を感じられるので、併せて鑑賞するのを、オススメ致します。

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MOON

5.0坂本龍一

2025年11月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

子どもの頃から大好きな音楽家の一人。
田中泯のナレーションも淡々としていて、とても良かった。
パンフレットの中にある、教授が用意していた「自分の葬式で流すプレイリスト」が興味深い。

観終わって外へ出た時、ビルの合間から見える空がやけに青く感じた。

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もっちりん

4.0死すべき運命にある私たちを慰めるものは何だろう?

2025年11月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

癒される

死を見つめるのは辛い。
それでも、至極当然に死は近づいてくる。

自然に還すのだと、坂本龍一はピアノを庭先に放置する。
ピアノが物理的に腐朽していく姿に、自己の死を見ていたのだろうか。
私もまた死に向かう坂本龍一の姿に、自分の死を見ていたように思う。

今日もまた一歩死に近づいた。
人生は悲劇から逃れられないが、そんな時ほど音楽が美しく聴こえてしまう。

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虚無

3.0あと何回🌕️を見れるか

2025年11月28日
Androidアプリから投稿

前回見た教授のピアノソロのスタジオコンサートが月明かりに照らされてるみたいだなと思ってたら、ホントに月が出てきて驚いた フルムーン好きだったのかな?コロナ禍や震災の爪痕が大きくてしんみりする記録、諸行無常を感じた 意外だったのは高橋幸宏氏も同じ位に亡くなっていること 病床までコンダクターのような、ピアノ🎹弾いてるのは最後までこの人は音楽家魂なのだと思った 教授日本の誇り映画音楽ありがとう、そしてどうか安らかに

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ゆう

3.0田中泯の声と、月・雨・風・雲と…

2025年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

NHK「Nスペ」枠で放送された59分間の番組『Last Days 坂本龍一 最期の日々』に新たな映像と音楽を加え、96分のドキュメンタリーとして再編集された本作。元がテレビ番組だったとは知らずに鑑賞したが、「要領よくきれいにまとまっている」というのが第一印象。使用楽曲も「Merry Christmas Mr. Lawrence」をはじめ耳馴染みのもの中心に選曲され、万人に伝わりやすいテレビ的なタッチで作られている。

このドキュメンタリーは、坂本氏が残された日々の中で音楽家/芸術家として成した業績よりも、一個の人間としてどう生きたかをみせることの方に比重を置いている。晩年の氏のさまざまな創作活動、芸術交流、メッセージ発信は取捨選択され、同氏が遺した「日記」からの抜粋朗読とともに手際よく紹介される。

その「日記」を朗読する田中泯の声が実にいい。過剰な表情や感傷を廃して淡々と読み進める。ここで序盤に読まれる「何を見てもこれが最後」「死刑宣告」「俺の人生、終わった」などの赤裸々なことばに、まず胸を衝かれる。

死の無常にあがきながらやがて諦観の境地に至るまで、この「日記」のことばは紡がれていく。その折々にコメント映像が挿し込まれるが、それらは本人や親交があった人々だけにとどまらない。担当医師、高橋幸宏氏の妻、そして当人の子どもたちの肉声にまで及び、故人の心境をつまびらかにしていく。

ことばだけではない。本作には未公開メイキング映像やプライベート動画も盛り込まれ、ときに衰えゆく自らの身体までも「晒して」みせるのだ。亡くなる間際、意識不明に陥ってなお手振りで指揮するようなしぐさを見せる様子など、軽く衝撃を受ける。
ただし、こうしたショットはいずれもおしなべて美しく目に映る。酷な言い方に聞こえるかもしれないが、そこでは人間存在への厳しい凝視、目の前に起こっていることをしかと見届ける視線が巧みにぎりぎり回避されているようにも思える。

また、ここまで切り込むなら、おそらく当人に最も近しい位置で終始寄り添ってこられたであろうパートナーの方のコメントも併せて伺いたかった、という気がしないでもない。無論プライバシーのこともあるから、軽率にそんな口を挟むのは慎むべきなのだろうが。

ところで映画序盤に、同氏が「ピアノを自然に還す実験」と称してニューヨークの自宅の庭にピアノを放置し、月日とともに朽ちてゆくさまを観察する、というくだりがある。次第にそれは風化して、いつしか風景の一部に溶け込み、地に根づいたような佇まいをみせる。見る者はそれらのショットに自ずと同氏の人生を重ねるのだが、それとは別に、このピアノの朽ち方は、本作中で同氏が折にふれ言及していた「月/雨/風/雲」との結びつきも強く意識させる。

「雲の動きは音のない音楽」「雨音を何時間もずっと聴いて救われた」などのことば。また、雨風に揺れる枝葉や夜空に浮かぶ満月の映像。本作で見聞きするそれらは、つなぎショットや一場の点景、あるいは同氏の心象風景といった意味合い以上に、氏の名曲の数々にも匹敵することだったと思えてくる。自然を慈しむ中で至った無為自然の境地。そう思うと、なんだかすっと心が晴れて、自分も「救われた気分」になった。

余談だが、たしか本作の始めと終わりに、さざ波に揺れる水面の月らしき映像が挿入されていたかと思う。ここでアッバス・キアロスタミ監督の傑作『5 five ~小津安二郎に捧げる~』の記憶が鮮やかに甦った。NHKからの委嘱で制作された同作の中で、キアロスタミ監督は、池の水面に映る月が風によって姿を変える様子を、野鳥や蛙の鳴き声とともにワンシーンワンカットで延々と撮っている。コレがものすごく心に沁みたことを今また噛みしめている。

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いたりきたり
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