ぼくらの居場所のレビュー・感想・評価
全14件を表示
当たり前ではない当たり前の事
カナダの教育センターに集う様々な環境の子供たちと彼らを支える先生のお話です。
子供には、お腹一杯ご飯を食べさせて、上手く出来た時には誉めてやり、意地悪したら叱り、お誕生日には祝ってやり、一緒に遊んでギュッと抱きしめる大人・家庭が必要なのだという当たり前の事を改めて深く感じました。邦画ならばベタベタした感動物語になる所を、ドキュメンタリー・タッチでストレートに描く事で観る者を強く揺さぶります。これは掘り出し物の一作。
純粋な偏見のない心のフィルタ
愛で救えるものと愛で救えないもの
愛は地球を救うというが、愛があっても救えないものはもちろんあって、あのお父さんを(そしてお父さんの背中にひっそりと隠れているあの子を)どうやって救えばいいのだろう、と思いながらみた。
あきらめをとおりこして、表情のないうつろなあの子のまなざしが痛々しすぎて、みていてとてもくるしく、眉間に力が入った。演じていた子になにかしらの負担がなかったのか心配になるくらいの、やるせない表情だった。
生活や感情に余裕がないのって髪の毛にでるのかも、と思う。
子どもたちの髪の毛をとかしたり、邪魔にならないよう結んだりしてあげてほしいなあとみていてずっと思っていた。
ひとつの希望におおいに喜び、それはとてもほほえましかったけど、この先きっといくつもの絶望もあるはずで、どうか心が折れるようなことがありませんように、と思う。
とても意味があるとてもいい映画だったけれど、みていて本当に苦しくて、何回もみることはできないな、と思った。
どの国のどの子どもも、ただただ無邪気に子どもの時間をたのしめる世界であってほしい。
結局…
愛されてる子と、愛されてない子の現実の落差がすごかった。
結局人生ってどんな親のもとに生まれたかで決まる。
属性や天与のもの等も、短期的には他人にどう扱われるかを左右するが、長く付き合っていく上では、どんな人間なのかー愛されて育った故の安定性、芯のある朗らかな優しさーが大切だ。
よく、「毒親」という言葉にアレルギーを示し「親だって人間だもの」「完璧じゃないのは当然」と言い訳ばかりの親がいるが、そういう人の子は、間違いなく幼少期に満たされるべき愛が足りなくて生きづらさに苦しんでいるだろう。
だって、その子の親は、子のことより自分のことで頭がいっぱいなのだ。
親として1番大切な子を満たしてあげること、ができない、親としての適性に欠ける者。
ローラは親に恵まれなかった。
父親は母親ほど酷くはなく、どうすればいいかわからなかったり経済的ゆとりがないゆえに、彼自身は好きな場所ではなくてもセンターに通っていた。
とはいえ、感情のコントロールができず、ローラを傷付けていた。彼がそんな風なのは、彼自身が同じように育ったのだろうと推察された。
ビリーは3人の中では恵まれている。
母親に愛され、互いに細やかに声をかけ、あたため合っている。
体型など、いじめられやすい要因はあっても、どんな目に遭ったか伝えることができる。ローラはそれができなかった。
一人遊びで歌うときだけ。
そんな彼女がHからHAPPYを真っ先に紡ぎ、
HUGを言葉として認識できたときの様子!
彼女がもっとヒナ先生と時を重ねて言葉を獲得し、身体的にも自分を守れる年まで成長できていたら…
シルヴィーは、利発で優しい子だ。言うべきことをきちんと言い、ビリーをいじめる男の子や意地悪なクララに立ち向かえる。
言うべきことをきちんと伝える母親の性質を受け継いでいるのだろう。
彼女の母は強くて賢い。弟の異常に不安を感じ、きちんと早くから診療所に行ったのに、経済的な理由から助けを得られず、保健所の白人母に見下され否定され苦しむ。
シルヴィーに弟のことを特別な言葉を持つ子なのだと伝えるところ、そんな風に表現する発想が自分になくて、愛ある親は子の特性をあるがまま愛するのだなと思った。
報われなくて疲れても、見捨てない。
一瞬を見逃さず、成長を喜び、育む。
この映画の幸せな部分は、多分にヒナ先生から派生する。
彼女のスタンスが子どもたちと親に好影響を及ぼす面は大きい。
上司に毅然と立ち向かった彼女が、時に制度や現実と理想の狭間で苦しみながらも、自分の大義を大切に、できることを手放さずに取り組んでいく姿は、希望を感じた。
けれど、福祉は、一部の志ある人の負担で成り立つものであってはいけないはずだ。
ヒナ先生が経験を積んだあとに、ローラと父のような親子にどう接して、どんな方向に進むのか見たかった。
スカボローの貧しい人たちは、あたたかいコミュニティを築いていた。
最初の方、シルヴィーが母と弟と帰宅するところ、冷蔵庫壊れたからと食料をわけてくれる女性、犬を連れたホームレス、絵を描く男性、近所のよくシルヴィーを預かってくれる高齢者、みんな気安く声を掛け合い、冷たさがない。
日本ではどうだろう、みんな疲れ切って、自分のことしか考える余裕がなくなっているのでは…
真面目に働いてこうなのだから、政治の責任と思う。
感動もんのお話ではありますが🤔
寂しくても確かめながら僕は生きてゆく
渋谷に用事があり折角なのでミニシアターに寄ろうかなと思い立ち、予告編で気になり上映時間もちょうどよかったこの映画をたまたま視聴。
結果、この映画をたまたま観れたのはとても幸運だと思った。
トロントの教育センターを舞台に、訪れる様々の親子模様が描かれる。
親子が抱えるのは、三者三様な人生の悩み。
群像劇と言える構成でストーリーが展開され、子供同士、親同士がセンターで交流しそれぞれが親子として目指す先へ成長しようとしていく。
そして当たり前だが、親と子で考えていることが違うんだなと思い知らされる。
子供は子供として、そして親にも親としての葛藤がうまく描かれていると感じた。
その葛藤の先には、上手くいく兆しが見えることも、喪失感に打ちひしがれる様な出来事もあるのかもしれない。
それでも彼らは生きていくのだろうなと思う作品だった。
(余談だが、自分が敬愛するkurayamisakaというバンドのjitenshaという曲のテーマが合いそうな映画だと思った。自転車というモチーフは全く合わないけど‥)
多様性という混沌。
Spring “H·U·G” come
愛情を感じるビン母子に対し、胸が痛いローラ側の描写を細かく入れ替えて見せる導入。
シルヴィーだけは半歩遅れて出てくる。
中盤にあるローラの過去の挿入の仕方なども含め、やや分かりづらい構成が少し引っ掛かった。
内容としてはドキュメンタリー的で起伏は少ない。
ポスターの3人が揃うのも30分ほど経ってからだし、“出会い”という印象もなく自然にそこに居る。
各々の環境や抱える問題に関しても、説明はない。
しかし察せられる部分だけで、特にローラは見てて辛いものがあった。
一瞬だけ父性が覗いたものの、父は結局ツッパりっぱなしで自滅していくし。
ヒナとのハグでの天使のような笑顔が、父の登場で一瞬にして消えるのがキツい…
(この差が父を追い込んでた面もあるのだろうが)
事故か心中かなどは判然としないが、ローラの死は唐突で、映画ながらかなり喰らった。
ただ、その後がちょっと間延びして感じたので、ジョニーの話は手前に置いた方がよかったかも。
どちらにしても明確に救いのある終わりじゃないし。
ビンやシルヴィーの母にも多少明るい兆しがあったのは嬉しかったが、ビンは転校?
演技に関しては、未経験者たちを起用したとは思えないほど素晴らしい。
特に子供たちは、“大人っぽくならざるを得なかった”面と子供らしさを見事に共存させていた。
感覚としては星4以上を付けたいが、それは実話的に感情移入した面に引っ張られてのもの。
冷静に映画として評価するなら星3.5かな。
でも、子育てや障害他の様々な問題を真摯に描いていて、いい作品だと思います。
チクショー、ビンのお母さんに号泣させられた
シルヴィーのお母さんは、少し諦めて目を背けていたところはあると思うし、意固地になって普通だと思い込みたかったのもあったのかな?
ジョニーの状態に名前がついたことで、大きく前進できたと思うし、覚悟を持って向き合ったことが実を結んだのは良かった。
ビンのことは早い段階で気づいたけど、シルヴィーという親友もできて、サロンの人など周りに恵まれていたと思う。父親が出てはこないから、その点は安心して観てられる。
裕福ではないけれど母ひとり子ひとりで、全力で守ってきた母親の愛情に胸を打たれた。
発表会の時、歌を披露する前の言葉がもうね。
エドナ、あんたいい母親だよ。
少なくともビンとシルヴィーは、母親には愛されてる。しかしローラがハードモードすぎて、ずっと悲しそうな顔をしているのが観ていて辛かった。
ヒナ先生と勉強して、やっと笑顔になれたのに。ちょっとくらいローラにも救いがあれば良かったのに。
ニュースでも頻繁に見ることだから、どうにかならないものかと思うけど、踏み込むには限界があるのが、なんともはがゆい。
とても良い映画なのだけど、それぞれ複雑な事情を抱えているので、だいぶ持っていかれる。
予告編を観て、気軽に観れるものではないのは分かっていたけど、やはり子供たちが辛い思いをしているのは観ていてキツい。
希望がない映画ではないけれど重い。
ジェーンは単なる感情なきモンスター。メールのやり取りからもなんかイヤな奴だなぁと思ってたけど、やっぱりヤな奴。
嫌いだと言い切っても全く心は痛まない。
社会の「今」を映す『ぼくらの居場所』
物語の前半は、虐待や貧困など、子どもたちを取り巻く過酷な家庭環境を丹念に映し出す。その緊張の糸を張り詰めたまま、後半で訪れるローラの死がその糸を容赦なく断ち切る。
以降、発達障がいやヤングケアラーといった現代日本が抱える社会的課題が、観客に逃げ場を与えないほどのリアリティで提示される。教育・福祉の現場が抱える構造的問題を見せつける、重くも意義深い一本。
子どものために大人がしてやれること
今年観た洋画、邦画問わず、全映画の中で1番感動した。あとで、ポスターみたらカナダのアカデミー賞で8部門とってる。そりゃそう。
発達障害の子どもと家族の話かなと思ってたら、学習支援センターを舞台に、カナダのトロントで移民が多い、スカボロ地区(原題は、スカボロ)の、教育問題、家庭内暴力、ネグレクト、人種問題、宗教、住居、健康、仕事、ドラッグなど社会問題を全方位で描いてる。
白人の富裕層と、貧困層の格差。
インド人の先生がクリスマスソングを歌わないこと。
書くと盛りだくさんすぎて、情報量に圧倒されるけど、これをドキュメンタリータッチで各家庭の群像劇に落とし込んでる。
子どものいる親なら、子供達の発達障害の問題に身をつまされるだろうし、まだ子どもがいない方もみといた方がいいと思う。実際、今の日本でも昔と比べてかなり研究が進んだ分野とはいえ、未就学児童の多動障害児に、大人でいうと心療内科の薬を処方するのを間近で見聞きすると、ホントにそれでいいのかと思う?
また、この教育支援センターは、実は子どものための施設ではなく、貧困家庭のサポートということもしっかり描く。発達障害の子どもは後回しだ。だが、親のサポートも出来きれない。結果、悲劇が襲う。
後半の畳み方に圧倒された。
観た人ならわかる子どもの発表会で嗚咽するくらい泣かされた。
子どものために大人ができること。
自分に子どもがいるいないは関係なく、まずは大人がしっかりしていくことだ。
初めてのリーディング
トロント東部の地域教育センターに通う3人の子供とその家族、そして教育センターの責任者の話。
子供を起こして出かける支度をする母親とこどもの描写から始まって行くけれど、ん?2組の母子?
ビン、シルヴィー、ローラという3人の家族の背景描写が終わるまで少々判り難く、ローラが教育センターにやって来てやっとスタートですかね。
子供たちがメインと思いきや、家庭の事情をしっかりみせて行く感じで、2組の家庭は事情もわかるけれど、DQNはホント…。
クリスマスからの唐突な出来事は、なんで?何が?となるし、流れは良かったんだけれど、説明はそれだけ?しかもそこからまだ続いて、その割に締まりが悪くてちょっと間延び。
子供たちだけの世界とか感性とかもうちょいないんですかね?
純粋な子供の様子をみせるというドーピングを使っておいて、それ以上なかったのはちょっと残念かな。
絶望と希望
全14件を表示








