笑えない世界でものレビュー・感想・評価

知り合いが端役で出ているので観ましたが、とても良い作品でした。

主演のお二人がとても魅力的でした。

二人のやり取りの間が良いのと、それぞれの表情を互い違いに見せるところは、撮影や編集で工夫をしていると思います。

舞台挨拶に合わせて行けませんでしたが、お二人と工場長の実物に会ってみたい、裏話を聞いてみたい作品です。

今年319本目。

24日18：30の回終了後監督が出口で迎えて下さって嬉し過ぎます。感動しましたとお伝えしました。出演者が生きてると感じ、今作生きるがテーマだとすばらしかったです。作中の音楽今年一番でした。

町工場で住み込みで働く優花と母親が姿を消してしまい孤独になった凛の心の交流を描いた作品です。

声が出なくても積極的に優花とコミュニケーションをとろうとする凛は、優花が初めから心を許せる人だったように思います。

お互いに過去のことは「言わなくていい」があってもパンと同じように分け合って小さな希望に向かっていく2人が僅かながら強くなっているのが微笑ましいです。

電車があったかいと気付くだなんて、なんと健気な…
どうか2人のこの先が暖かい陽のあたる世界でありますように。

潰れかけの町工場に住み込みで働く訳ありな22歳女性と、飛んだ母親に代わりそこで働くことになった喋れない21歳の女性の話。

出社して来ない従業員に連絡したら、突然の退職を告げられて、チンピラ工場長に命じられてアパートに行ったけど誰も出て来ず…仕事後工場長がアパートに行ったら、耳は聞こえているけれど口を利けない娘がいて…。

なんとなく匂わせてはいたけれど、この工場で働いている理由だったり、働くことを決めた理由に結構ムリが…。
そして優花の過去もこれでクビ？自分でやめたならまだわからなくもないけれど…。

そしてチンピラ工場長があまりにも酷すぎでちょっとね…まあそこから軽いおふざけ的流れにも繋がってたけど(´・ω・`)

電車で一瞬「怪物」が頭をよぎったけれど、流石にそれは考え過ぎかw

キツイものを孕んだ話しだけれど、暗さをあまり感じない2人が手を取り合う物語で、爽やかで愉しげでなかなか良かった。

彼女たちそれぞれが辛い現実に直面していて、それでも支え合いながら前に進んでいこうとする姿がとても眩しい。
過剰にセンチメンタルになりすぎず、逆に極端なフェミニズムに陥るようなこともなく、2人の関係性を長野の美しい自然や時にユーモアも織り交ぜながら無駄なく描いていく演出は見事で職人的な質の高さも感じました。
現在都内は一館のみでの上映のようですが多くの映画好きに観てほしい作品です。