プラハの春 不屈のラジオ報道のレビュー・感想・評価
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【”波”今作は”プラハの春”を謳歌するチェコスロバキアにソ連軍、ワルシャワ条約機構の軍隊が流れ込む中、”真実のラジオ放送”を流し続けたメディアの姿と彼らを守る市民の姿をスリリングに描いた作品である。】
■1968年。民主的思想のアレクサンデル・ドゥプチェクがチェコ共和国共産党中央委員会第一書記に選出され「プラハの春」と呼ばれる改革で民主化の機運が高まるチェコスロバキアに、ソ連軍、ワルシャワ条約機構の軍隊が、チェコスロバキア国境を越えてなだれ込んだ。
国内では「救出に行く」というデマの新聞を発行し、チャコスロバキアの国営ラジオ局を占領し”ソ連が救出に来た。”という偽情報を流そうとする軍に対し、情報局員のトマーシュたちは、局外から回線を繋ぎ、ソ連軍の侵攻を流し続けたのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤、トマーシュは中央情報局に勤めているが、上司から民主化運動をしているローティーンの弟バーヤの事を持ち出され、国営ラジオ局に”出向”となる。
国営ラジオ局は、民主化の先頭に立つミラン・ヴァイナー部長の元で、検閲に屈せずに自由な報道を行っている。
そこに集う人達は、”氷の女”と呼ばれるヴェラを始め、皆、民主的思想の持ち主である事が描かれて行く。
・彼らは大統領が息子に、不正に資金を流している事実を掴み、その金を預けているスイス銀行員の振りをして大統領から”真実”を電話で述べさせて、そのテープを大統領に送り付け、ソ連の傀儡大統領は辞任するのである。
・トマーシュは、序盤では、いわばスパイなのであるが、彼は皆と交流をする中で、徐々に板挟みになって行くのである。最初は年末のパーティ時に中央情報局に情報をリークするが、彼の表情は暗い。
・だが、徐々にミラン・ヴァイナー部長の毅然とした態度や、ヴェラとも恋仲になり彼の心はチャコスロバキアの民主化を推進する側に傾いて行くのである。
そんな中、チャコスロバキアの民主化を懸念した旧ソ連は軍事行動に出るのである。
ー この辺りのシーンはスリリングである。と共にトマーシュの覚悟を決めた表情の変化に気付くのである。-
・トマーシュは、中央情報部の上司に呼び出され、ソ連軍の侵攻を告げられるのである。彼は弟をオーストリアに亡命させつつ、自分は仲間と共にラジオ局に留まり、”真実をチャコスロバキアの民に流すために”奮闘するのである。沁みるシーンである。
■そんな中、到頭ソ連軍、ワルシャワ条約機構の軍隊が流れ込むのである。頼みのミラン・ヴァイナー部長は、その前の自由を愉しむランチパーティで脳内出血で倒れている。
その後の展開も苛烈であり、スリリングであるが、ラジオ局の前に集まった民衆の姿は、ムネアツである。民衆はラジオ局の頑張りに対し、銃はなくとも身体一つで局を守ろうとしたのである。
権力に屈せずに、真実を伝え続ける記者たちの声や姿に呼応するように、集う民の姿。
<今作はプラハの春を謳歌するワルシャワ条約機構の軍隊際、命懸けのラジオ放送を続けたメディアの姿と彼らを守ろうとした市民の姿をスリリングに描いた作品である。>
■その後、テロップで流れる様にチェコスロバキアは再び、暗黒の時代になるのであるが、今作ではその以前に、信頼されるメディアの姿とは何か、報道のあるべき姿とは何かを観る側に伝えて来るのである。
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