「最高の悲劇だけれど不自然」ダンサー・イン・ザ・ダーク kuさんの映画レビュー(感想・評価)
最高の悲劇だけれど不自然
確かに前評判通りの後味の悪い映画で、最後まで救われない主人公の悲劇的な人生をよく描いていたと思います。
「悲劇を素晴らしく描いた映画」だとは思うのですが、「いい映画」と思うかといえば違うような気がします。
どうしても腑に落ちません。
お金を工面しようと誰もしなかったのはなぜか。あんなに主人公を思って、涙しているのに主人公の医者へのお金がなかったら諦める・・・。死に物狂いでどうにかしようとしないものか。
皆して主人公に同情しておきながら、最後の最後、決して無理難題ではない主人公への最後の希望に誰も手を伸ばそうとせず、「その時」を見届けまでする。明らかに不自然です。現在と貨幣価値が違うとしても、たとえ同じ結末になったとしても、その間に友人達の奔走が映画内で一切描かれないのはどうしても気になります。
そのせいでちょっと無理やり用意された悲劇のように感じてしまうのです。
ビョークの熱演、ドキュメンタリーのようなカメラワーク、個人的にそこは好きですが、後半の不自然なストーリーの流れにもやもやしました。「いい映画」だというのをよく聞くけれど、ちょっと無茶苦茶すぎませんか。
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