「好きか嫌いか分からない作品。でもすごい。」ダンサー・イン・ザ・ダーク ナマケモノさんの映画レビュー(感想・評価)
好きか嫌いか分からない作品。でもすごい。
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(作品全体)
奇人トリアー監督の作品としては2作目の鑑賞。最初にみた「ドッグヴィル」よりは覚悟ができていたため衝撃が薄かったが、普通の映画として軽い気持ちでみてはいけない。レビューは賛否両論あるけど、そもそも万人受けを狙っている作品ではないのでそこも含めて監督の狙い通りという感じがしたした。むしろ、監督は「胸くそな鬱映画だ!」という反応を喜んでいそう。ビョークはこの作品で監督にセクハラを受けていたと告白している。それも含めてこの監督は、撮る過程でも作品の中でも人の感情を弄んでいるようで好きになれない。ただこの映画は間違いなく類稀な才能の産物。みて良かったような悪かったような…間違いなく印象には残る作品。
(映画の中身について)
機材を置かずに撮る独特の手法が生み出すドキュメント感によって、自分もそこにいるかのよう気持ちになった。ミュージカルの演出は、観客をハラハラさせ、登場人物をどんどん追い詰めるため生かされている。ストーリーの構成や次第に追い詰められる登場人物の表現、盲目になっていく主人公を演じるビョークの超人的な演技や歌声が素晴らしかった。特に、終盤で主人公が「赤ちゃんを抱いてみたかった」と言う場面が妙に印象に残っている。母親の自己犠牲的な堅実な生き方を終始見せつつ、結局子どもは親のエゴで生まれるのだという皮肉を見せられて、感情をどう処理していいか分からなくなる。最後のカウントダウンと最後から2番目の曲は思わず涙した。
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