「現代社会へ」ザ・ピックアップ 恋の強盗大作戦 R41さんの映画レビュー(感想・評価)
現代社会へ
2025年の作品
解説にはアクション・コメディとある。
このような映画は過去にもいくつかあったように思ったが、リメイクではなくオリジナルということのようだ。
しかし、どうしても感じてしまうのが過去作品
つまり、今のアメリカが求めているモノがこの作品の中に描かれているのだろう。
一応、皆ハッピーエンドとなる。
そして、この現金輸送車強奪の首謀者ゾーイはバリ島に逃れた。
この物語の動機 ゾーイの想い
それは父が守り抜いたものを、カジノがコラテラルダメージとしてしか受け止めなかったこと。
「あのお金が、汚れていないとでも?」というゾーイのセリフに彼女の思惑が込められている。
因果応報
ゾーイにとって大切なものを奪われた代償を、復讐という形で成し遂げた。
ここに感じるのが「アメリカンヒーロー」
わかりやすい正義と悪という構図に、お金という代償を求めたこと。
昨今の政治による格差社会に対する代償を、人々が熱望しているのだろうか?
ゾーイはセキュリティに扮し、カジノ銀行へ潜入した。
その際父のことで声をかけられた。
日本人であれば、思いとどまるのだろう。
しかしゾーイの意思は固かった。
毒を持って毒を、悪を持って悪を制する。
これをコメディとして描くことで、バカバカしさのオブラートへ包んだ。
決して為せないことを成すというアメリカンドリーム
現金輸送車強奪もまた、決してできないこと。
似たようなことが何度も映画化されてきたが、それはシリアスさとして描かれた。
しかし今回コメディにしてまた似たようなことをした背景には、アメリカ社会の格差を感じる。
ダークヒーロー
既に何が正義かわからなくなっている社会で、人々が欲し喜ぶものが、このダークヒーローなのかもしれない。