「諦めない命の輝きが心揺さぶる、真実の感動作」栄光のバックホーム おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
諦めない命の輝きが心揺さぶる、真実の感動作
■ 作品情報
阪神タイガースにドラフト2位で入団し、将来を嘱望されたプロ野球選手、横田慎太郎の実話に基づいた物語。監督は秋山純。主要キャストは松谷鷹也、鈴木京香、前田拳太郎、伊原六花、山崎紘菜、草川拓弥、高橋克典。脚本は中井由梨子。
■ ストーリー
期待の若手選手として順調なキャリアを歩み始めていた阪神タイガースの横田慎太郎が、21歳という若さで脳腫瘍を発症する。彼はプロ野球選手としての引退を余儀なくされ、過酷な病との闘いを強いられることになる。母まなみの献身的な支えやチームメイトの励ましのもと、慎太郎は心を奮い立たせ、苦悩や葛藤に立ち向かっていく。引退試合で見せた「奇跡のバックホーム」は多くの人々の心に深く刻まれ、感動を呼んだ。本作は、その一球に込められたドラマだけでなく、引退後の彼の人生と、それを支えた家族や周囲の人々との知られざる軌跡を描く。
■ 感想
予告編の時点ですでに涙腺を刺激されていた本作。公開週は時間が取れず、2週目に鑑賞したのですが、映画館の客入りの多さにびっくり。地元映画館がアニメ作品以外でこれほど席が埋まっているのを久しぶりに見て、みなさんの期待の高さを感じましたが、その期待に十分応える感動作でした。
阪神ファンではない自分は、横田慎太郎選手については、病気で若くして引退し、そして亡くなられたことくらいしか存じ上げていません。しかし、この作品を通して、彼が最後の最後まで諦めることなく命の炎を燃やし尽くし、自身の人生を全うしたことがひしひしと伝わってきます。執念で一度はグラウンドに戻り、引退後も自分にできることを模索し、決して挫けることなく前へ進み続ける姿は、胸が熱くなるばかりです。
そして、それを全身全霊で支え続ける母の献身は、涙なしには見られません。扮する鈴木京香さんの渾身の演技が本当にすばらしく、全てのシーンで心を鷲掴みにされます。なんなら冒頭のナレーションから、彼女の優しく包み込むような声に涙を誘われます。母をはじめとする家族、北條選手をはじめとするチームメイト、遠藤をはじめとする関係者の方々から、横田選手がこれほどまでに深く愛されていたのは、ひとえに彼の人柄と、その壮絶な生きざまによるところが大きいと思います。本作はそれを余すところなく丁寧に描いています。
そして、この物語をこれほどまでに深く感動的に彩ることができたのは、主演の松谷鷹也さんの存在です。元高校球児であり、生前の横田選手とも面識があったという松谷さんは、まさに横田選手を演じるべくして演じた、奇跡の配役としか言いようがありません。
終盤、いよいよ横田選手に死が迫るあたりの盛り上げが少々くどく感じてしまい、わずかに気持ちが冷めてしまう部分もありましたが、全編を通して温かな感動に包まれていることに変わりはありません。ぜひ多くの人にこの映画を観ていただき、横田選手の生き様から、生きていることのありがたさや尊さを噛み締めてほしいと思います。
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