「努力の賜物」栄光のバックホーム KKKさんの映画レビュー(感想・評価)
努力の賜物
栄光のバックホーム
大のベイスターズファンでありプロ野球ファン。
もちろん横田選手の事は知っており対戦球団とはなるが将来阪神の中軸を狙えそうな若手が出てきたなという記憶が今でも強く残ってる。
横田選手が一軍に出た年はちょうど大谷選手が活躍した年でもあり、年齢も一つ違いで同じ左で身長も高くパワースピードがあるタイプなので大谷選手みたいにと思ったファンも少なくないだろう。
阪神ファンではないため、横田選手の事細かい現役時代はもちろん認知してないが、プロ野球ファンとしては彼の期待値、ポテンシャルの高さを思い出しながら、もし病気になってなかったら…などと思ってしまったり、惜しい人を失ってしまった残念な気持ちが鑑賞中頭に浮かび涙が終始溢れてしまった。
劇中で多く登場した横田選手と仲の良かった北條選手。彼もまた悔しかっただろう。彼もまた鳥谷選手の後釜として将来の阪神の遊撃手として多大な期待を背負った選手だった。親しい後輩の横田選手が病気になって自分がという気持ちは誰よりもあったはず。
もちろん劇中では彼の選手としての部分には強くフォーカスを当ててはないが、彼を知る一野球ファンとしては彼の苦しみも劇中では描かれていなくても非常に強く伝わる。ましてや横田選手が亡くなりチームは日本一になった年に戦力外を受ける事になるのだから。彼もまた辛かったであろう。
もちろん北條選手だけではなく横田選手のご両親、チームスタッフ、幼馴染、周囲の人の辛さが強く伝わる。作風としてはその辺りを強引に感動に持っていく様に描かれてはおらず淡々と事実として描かれていくのがまた作品としてはいい。
懸命に寄り添う母はもちろん、なかなか寄り添う事はできなく少し不器用かも知れないがそれでも苦しみと戦う父の姿もグッとくる。
引退試合のバックホームをアウトにした刺殺プレー。ご本人もご家族もあのプレーを奇跡だと評していたが、僕は劇中で土屋トレーナーが口にしてた復帰へこれまで費やしてきたリハビリに取り組んできた努力の賜物だと思った。必死に取り組んできた努力が最後に形になるこの美しい光景。
誰もが忘れる事のないプレーとなるのだろう。
何度転移してもその度にリハビリで乗り越え、多くの人は術後喋れなくなると言われてもそれを覆し力強く生きる姿を作品通して改めて知る事となり強く感動を覚えた。
2023年に亡くなってしまったが、その年に18年ぶりの優勝。優勝を決めた試合のスコアボートは奇しくも2-4で彼の背番号。
同期の岩崎選手の最後の登場、阪神ファンの熱唱、そして胴上げ。球史に残る優勝となりこの先も語り継がれる事であろう。
プロ野球ファンの僕にとっては素晴らしい作品に出会えて感謝。もちろんプロ野球ファンでない方が見ても勇気と感動を与えてくれる作品。
プロ野球ファンの人にはぜひ強く勧めたくなる作品である事は間違いない。
監督はプロ野球が好きなのかちょっとしたシーンの使い方もうまくてさらに感動を与えてくれるのが上手であった。
例えばセリフが与えられたわけではないが熊谷選手や板山選手の登場。
横田選手と同世代の熊谷選手なんかも思う様な数字を今年まで残せていなかったり、板山選手も戦力外を受け今は中日で頑張っている。
特に作中では描かれてはいないが彼らの姿を目にした時に彼らもまたこれまで苦しみ横田選手の思いも持って今頑張ってるのかなんて勝手にストーリーが脳裏に浮かばされる。
この辺のちょっとしたシーンもファン心をうまく掴んだ作品であった。
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