三谷幸喜「おい、太宰」劇場版のレビュー・感想・評価
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タイムスリップして地固まる
WOWOW×三谷幸喜による“全編ワンシーンワンカット”ドラマ第3弾。
WOWOWで放映された後、エンディングが異なる劇場版が上映されたが、見たのは録画しといたWOWOW版なので、違う感想になっていたらご容赦を。
全編ワンシーンワンカットなんてスゲェ…と思うが、三谷幸喜は舞台出身なので、舞台での手腕を駆使すれば出来ない事ではない。
勿論楽な事ではなく大変さや苦労はあるが、それを実際にやってしまう三谷幸喜のユーモラスな発想と意気込み。
舞台とは違うドラマならではの見せ方も。
何よりもまず、全編ワンシーンワンカットでタイムスリップ物をやるアイデアが面白い。
全編ワンシーンワンカットでどうタイムスリップするか…?
洞窟のこっち(現在)とあっち(過去)なんて、よく思い付いたなぁ…。
ほぼ全編出ずっぱりの田中圭と一緒になって、見る側はユニークなタイムスリップを体験する事になるが、天晴れはスタッフたちの名仕事ぶり。
山本英夫氏によるカメラワーク。
洞窟の中を行ったり来たりしてる間に美術変え。あるシチュエーションなんて、タイムスリップに失敗して一旦洞窟に戻って改めてタイムスリップ。その僅かな間に、今風ビーチ用具から昭和家屋に変えた美術スタッフの奮闘が目に浮かぶ。
浜から見える現代的建物をCGで消したのは映像作品ならでは。おそらくその為のロケーション。
スタッフの皆様、ご苦労様です。そしてお見事!
太宰治が題材。…と聞くとあまり知らない人にはいまいち興味が湧かないかもしれないが、小ネタは挟みつつも、太宰治を知らなくても見れる内容になっている。
太宰治好きの男・小室がタイムスリップしたのは、昭和五年。太宰治が恋人と心中しようとした八里ガ浜。
まさにそこで、心中直前の太宰治と恋人・トミ子に出会い…。
太宰治のナルシストな気質に幻滅する小室だったが、天真爛漫なトミ子にホの字になってしまい、彼女を心中から助けようとするが…。
未来の運命や正体を明かすのはタイムスリップ物ではご法度だが、恋に暴走するおバカさんにはお構いナシ。
つまりは、ドタバタコメディ。全編ワンシーンワンカットと台詞劇で舞台を見ているかのよう。
キャストの掛け合いも楽しい。
太宰治と同郷で津軽弁の太宰治が新鮮な松山ケンイチの好演。
金星はトミ子役の小池栄子。可愛らしさはだって19歳!(自称) 未来の不思議な耳栓をして聞こえてきた激しい音楽に思わずするヘンな動きは、またまた小池栄子に代表名演!(…を勝手に与えたい)。
既婚者の小室。倦怠期の妻・美代子とはお互い無関心だったのに、妻もタイムスリップしに来ちゃって、あろう事か太宰治の甘い誘い文句にポ~ッ…と。ズバズバした性格から恋する人妻になる、最近女優として絶好調の宮澤エマも単なる脇役ではない魅力。
3人にちょい押され気味の主演・田中圭。アドリブ込みの力量で我々の視点になってくれるが、ちとうるさウザ…。浮気しようとする役柄で現実を彷彿させ、おい、田中!
一人三役。カメラが移動している間に当人も移動&衣装カツラ変えして、梶原善にはがんばったで賞を。
太宰治がまだ作家として有名になる前がミソ。悩む太宰治に小室がアドバイス。いずれ書くであろうその作品は…。“人間がっかり”にはしないでね。
もつれにもつれた四角関係は…?
結局トミ子は心中を諦めた太宰治の元に戻る。小室に生きる事を約束して。
小室と美代子も元サヤに。夫婦関係も解消。
タイムスリップして地固まる。このハッピーエンドこそ三谷節。
昨年の『スオミの話をしよう』がつまらなくて心配したが、キャリアベストほどではないが、こちらは無難に面白く安心した。
WOWOW版ではEDクレジットに声のみのやり取りだったが、劇場版ではオマケ映像のようなもう一幕あったのかな…?
三谷幸喜の映画作品としては成功作。役者の良さが出ている。
三谷幸喜、脚本監督で、ワンカットワンシーンで撮った映画。
海辺を舞台に、太宰治を題材に、その時代にタイムスリップしたり、現代に戻ったりのコメディ。役者は、田中圭、梶原善、小池栄子、松山ケンイチ、宮澤エマの四人のみ。
三谷幸喜の映画は、正直言って当たり外れが多い。基本的に映画監督向きではない三谷監督がなぜに映画でワンカットにこだわるか。それは映画的な醍醐味というより、演劇的な濃密度を高めるためだったと推察。それに当然ながら順撮りになることも大きいと思う(普通映画制作では順撮りはあまりない)。だから映画的な面白さは弱い。(ただ撮影スタッフがバタバタしている様子は目にうかぶ。それだけで楽しくはなるが。)
それぞれの役者の演技を味わってもらうために、舞台よりもより多くの観客が見られること、その一点で映画で、それもワンカットでそれぞれの役者の演技合戦の臨場感を味わって欲しいと思ったのではないだろうか?
その意味では、舞台的な面白さでそれぞれの役者の良さが出ている。
田中圭は、なんとも無邪気で歳を取ってもいつまでも子供っぽくて、それが魅力な役者だと再認識した。永野芽郁が惚れるわけだ。
梶原善は一人三役でそれだけで楽しい。いつものとぼけたノリで笑わせてくれる。で、一人三役なので画面外のところも想像させ、話と関係ないのにハラハラさせる。
小池栄子は、相変わらず楽しいし、特にAirPodsで音楽を聴きながら(布袋さんの音楽らしい、映画では流れない)、踊り狂うシーンは笑えた。
太宰役の松山ケンイチはある意味ソンな役回り。あまり見せ場的なものがない。だけれど、この役がしっかりしていないと全てが崩れる。その意味ではさすがである。胡散臭い太宰になっていて、それらしく思える。本当の太宰もこんな?まさかね〜と。
白眉は、宮澤エマ。彼女が淡い中年女性の美しさと、どこか諦観的で、でもまだ沸々とした情熱を感じさせて、とても色っぽく思えた。とても素晴らしいバイプレーヤーになった。もっといろんな作品に出てもらいたい。(鮮明に記憶に残るのは朝ドラ「おちょやん」の芸者上りの義理の母親役。これが良かった)
と演技陣が楽しい映画でした。この手法は三谷幸喜に合っていると思う。
実験作。惜しい。
キャストの演技はすごくいい。細かい点で田中圭の演技が惜しい。長丁場とセリフを追うにいっぱいで中盤からバテバテになっている。笑わせる演技に昇華できていないように見える。
例えばスマホを自慢しておきながら回線が繋がらないシーン…で、田中は最初から浮ついてオドケていた為イマイチ笑いの沸点に届かなかった。
あの場面ならキザッたらしくカッコつけて自慢しようとしてうまく使えずズッコケる…的な演技があっていたのではないかと思う。コメディは前振りとオチの落差が必要…こういう演技は近藤芳正さんが上手い印象。
おそらく三谷サンの脚本も演技指導も推敲不足で、いつも通り例によって締め切りに間に合わなかったのではないかと。急ごしらえでストーリーとギャグが噛み合っていない点が散見される。
意味ありげに伏線のように置かれたものが生かされていない…箇条書きにすると
・梶原善の漁師の話は本筋と関わりがない
・カラの祝儀袋はギャグになっていない
・洞窟で梶原善に取り上げられる防災グッズのライトは特別意味がない
・宮澤エマの海にメガネを投げ捨てたのにあっさり見つける
…など特にネタとしてこれから発展させる段階なのに執筆途中で止めてしまったかのような印象を受ける。
ワンシーンワンカット
ワンシーンワンカットで撮影された事を忘れるくらい面白く、キャスト全員が素晴らしかった。
田中圭さんの回しや、小池栄子さんのダンス、梶原善さんの早着替えなども。見どころいっぱい。
おい、三谷幸喜‼️
三谷作品としては、まあまあ良く出来てる作品‼️太宰治を敬愛する男がタイムスリップし、無理心中する直前の太宰治とその恋人・トミ子に出会い、なんとか心中を阻止しようとする・・・‼️主人公とトミ子が一時的に惹かれ合ったり、主人公の妻が太宰に惹かれ、一緒に心中してもイイと決意したり、相変わらず薄〜いドラマが展開。キャストたちの舞台劇のような無駄にハイテンションな演技、特に梶原善が父親と二人の息子を演じるエピソードなんかホントにどうでもいい‼️ひよこサブレや貝殻といった小道具もイマイチ活かしきれてない‼️そんな演出や脚本上のほころびを補うためのワンシーンワンカット撮影も、映画的に効果を発揮してるとは到底思えない‼️ただ史実的にこの無理心中でトミ子だけ亡くなっていることになっていますが、トミ子だけ死亡=トミ子は2024年に来た、みたいなオチは良かったと思います‼️
ワンシーンワンカットな今作!(※副音声あり)
WOWOW版も視聴して劇場版を鑑賞。
少人数のキャスト陣。場所も外でワンシーンワンカット
で撮る、挑戦的な作品でとても良いと思いました。
三谷さんの作品や太宰治(と作品)に詳しければ、
より細かい色々なことに気が付けるかもしれないです。
今回、映画館で一緒に副音声も聞いたのですが
三谷さんたちのお話がラジオを聴いているようで
とても面白かったです。ワンシーンワンカットの
撮影の裏話が聞けてシーンの解像度もあがりました。
終始和気藹々とした雰囲気で聞いていて楽しかったです。
小池栄子(19)
先週まで存在すら知らなかったが、ワンカットものが好きなので鑑賞。
この内容で田中圭なので結構前の作品かと思ったら、今年の6月にWOWOWでやってたの!?
ゴシップに興味はないけど、攻めてるなぁ…
とりあえず、冒頭の次郎パートが無駄に長い。
笑えるわけでも伏線になってるわけでもないのだし、もう少し短くできないもんか。
太宰と出会ってもまだあまり笑いどころがなく、会話劇にも三谷幸喜っぽさを感じず不安に…
中盤からギアは上がってくるものの、最後まで三谷幸喜色は薄かった。
男性陣が比較的抑え気味で、女性陣のテンション高めのところが強調されていた印象。
小池栄子が相変わらず上手く、年齢の件や布袋で踊るシーンなどでかなり楽しませてくれた。
宮澤エマは終盤のカンフル剤的な役割として、場をもう一段引っ掻き回してくれて楽しい。
田中圭は画面外からツッコミ入れてる方が面白かった。
梶原さんは移動から早着替えまで大変そうだな。
しかし終わってみると「何の話だったんだろう」となる。
夫婦の関係が良くなるとか、史実に前向きな解釈が加わるとか、明確な変化がないからだろう。
打雷家の仲が回復する示唆はあるが描写はされないし、本筋でもないし。
ナンセンスコメディを否定するわけではないが、だったらもっと笑わせてほしかった。
ワンカットが活きる脚本というわけでもなかったし、もう一歩何かがほしい。
舞台を外に出して、演じてた。 追記あり。
舞台での演劇を、実際の世界にもってきて演ってる。
しかも宮沢エマやら小池栄子とか梶原善とか三谷さんの劇で、よく使う役者をそのまま使ってる。
梶原善さんのことは「鎌倉殿の13人」を観るまで知らなかったが、
いい役者さんだ。
田中圭の役柄や、松山ケンイチ演じる太宰も、よく似合ってる。
出てたのは、この五人のみ。
気楽で楽しい鑑賞だった。
追記
7月16日(火)に、副音声での鑑賞をするために
再度劇場へ。
副音声を聴きながら鑑賞するのは初めてだったけど、すごく楽しかった。
善さんが6回早着替えをしながら洞窟を行ったり来たりした話を聴いて、すごい大変だったんだなあ、とか、太宰(松山ケンイチ)がヘビのおもちゃを楽しんで投げてたとか落とし穴をいつの間にか作ってたりとか、宮澤エマの顔に憂いはあるのか、小池栄子の布袋寅泰の曲を聞かされたときのおかしな反応とか、聞きどころ満載だった。
太宰という蟻地獄で苦闘する。
個人的なことを書くと、私は三谷作品とは相性が悪い。
地方で学生だった頃、東京で面白い舞台作家が出てきたという話が雑誌などから漏れ伝わり、ようやくその作家の映画化作品が上映になったのが「12人の優しい日本人」だった(三谷幸喜は脚本のみで、監督はしていない)。
名作「怒れる12人の男」をベースにして、裁判員制度導入前の日本で陪審員制度を空想する狙いは面白いとは思ったが、何んだか肩透かしを食らったような思いが残った記憶がある。
その後、テレビなどでも三谷幸喜作品に出会うのだが、やはりしっくりと来ないものが続いた。
僭越ながら、互いのセンスが違うと思った。センスは語源的には「方向」を示す言葉だ。三谷幸喜が右を見ていると私は上を見ているといった感じだろうか。互いにソッポを向いているのだ。
近年の作品でも、笑いの種類やタイミングが違うといった感じが続いている。
今回はワンシーンワンカットだそうだが、ワンシーンワンカットというと、ヒッチコックの「ロープ」を思い浮かべる。しかしヒッチコックを気取るととんでもない失敗をやらかすというのは映画界の法則ではなかろうか?
と、ここまでは映画鑑賞前に下書きしておいた。
案の定、本作は失敗と言ってよいだろう。上映中、少ない観客から笑い声が出ることは一度もなかった。
笑いの狙いはわかるが、狙いが分かりすぎて意外性がない。ワンシーンワンカットが持つ胆力が全然生かされていないなど、不満は多い。
太宰には「トカトントン」という短編があり、この題名?が映画の中に登場する。こういったトリビアが太宰ファンには刺さるのだろうか(私は太宰ファンではない)。
太宰は映画化されやすい作家だが、下手に手を突っ込むと抜け出せない蟻地獄になる。
三谷幸喜にそういった覚悟はあったのだろうかと疑問だけが残った。
101分だけど長く感じた
ワンカットワンシーンで撮ったというのは、すごいと感じる。
冒頭から脚本がよく練られているがゆえ、この撮り方ができるのだなと思った。
小室(田中圭)がタイムトリップをして太宰(松山ケンイチ)とトミ子(小池栄子)と
会ってから、現代と過去を行き来する中でのドタバタ劇には
早々に飽きてしまい、短い作品であるにも関わらず、実に冗長に感じた。
基本ワンシチュエーションだからだと思うが、同じことの繰り返しに感じてしまい、
睡魔におそわれたほど。
ただ、後半は見どころもあって、トミ子vs美代子(宮澤エマ)の図が
『鎌倉殿の13人』を彷彿とさせるやりとりだし、
梶原善のひとり3役も面白かった。
ラストも微妙〜な感じで、もっとスッキリ終わらせるか、
爆笑のオチを用意する・・・でもよかった気がする。
最近は、三谷監督×映画 は、あまり面白いと感じない。
舞台は観たことがないので何とも言えないが、ドラマの方が面白く感じる。
一人三役をこなす梶原善さんの変わり身
面白いというよりも、低予算で製作されたくだらない寄りを楽しむお話しなのかな、と感じました。
一人三役をこなす梶原善さんの変わり身と、松山ケンイチさんの上手さに、面白さを委ねているようなドラマにも思えました。
三谷幸喜監督の3本目となる「ワンシーンワンカット」が、この映画の売りのようですけれど、先日に「1917 命をかけた伝令」を観ているので、それほどの感銘は有りませんでした。
このアングルをずっと維持しつつ走りまくったカメラマンはすごいと思う
2025.7.12 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(101分、G)
WOWOWドラマ『おい、太宰』を劇場版に手直ししたコメディドラマ
監督&脚本は三谷幸喜
物語の舞台は、神奈川県鎌倉市
妻・美代子(宮澤エマ)の友人の結婚式に参加していた小室健作(田中圭)は、東京のテレビ局で放送作家として活躍し、太宰治を敬愛していた
式を終えた二人はバス停を探すものの、全く見つかる気配はない
あたりを見回すと、携帯電話で話している地元民・打雷(梶原善)ぐらいしか見当たらず、健作はやむを得ずに彼に声をかけることにした
なんとかバス停の場所を教えてもらった二人だったが、その場所が「八里ケ浜」だと知ると、健介のテンションが爆上がりしてしまう
それは、この浜がかつて太宰治(松山ケンイチ)が恋人・矢部トミ子(小池栄子)と心中をした場所で、縁のある土地として有名な場所だった
浮き足だった健作は浜を散策するのだが、そこには道を教えてくれた漁師とそっくりな男がいた
彼は漁師の話し相手だった兄(梶原善)で、健作はそれとなくお母さんに会ってあげたら良いのでは、とアドバイスをした
その後、漁師の兄から昔話を聞かされた健作は、そこに奇妙な洞窟があることを知る
興味本位でその洞窟に入った健作は、その先にある浜に降り立つことになった
そして、そこにも漁師とその兄とそっくりな男がいて、彼は兄弟の父であることがわかった
さらに、その向こうには見慣れぬ男女がいたのだが、健作はその二人が太宰治と当時の恋人・トミ子だと感じていた
テンションがさらに上がる健作だったが、その日は太宰が無理心中を図った日であることを知っていて、それを止めるべきかどうかを考え始める
だが、歴史を変えることで影響が出ることを懸念してしまう
それでも、太宰が生き残り、トミ子だけが死んでしまったことを知る健作は、それを止めようと考え始めてしまうのである
映画は、ドラマ版を編集したもので、ワンシーンワンカットが売りの作品となっている
おそらくは、洞窟を行き来するシーンで切り替わるのだと思うのだが、すごいロケーションを見つけたものだなあと思った
歴史を知っている者が関わりを持つことによって、人道的な側面から改変を行うというものなのだが、運命決定論的な考えだと、健作に出会ったことで心中を起こしたとも言えるし、彼のアドバイスによって「人間失格」の執筆に至ったようにも思える
ひたすらテンションの高い健作と、冷静な妻という構図で、夫の意味不明な言葉を受けても「とりあえず水」というのは面白い
そんな彼女が夫の浮気?を知って激昂する部分は面白くて、女同士のマウント合戦というのも見応えがあった
基本的に役者の演技力に頼っている作品だが、アホな話を真面目に演じているところは面白い
スマホを見ても動じない太宰とか、演じている上でおかしいなと思うことはたくさんあったと思うけど、強引なシナリオに食らいついているところも良かったと思う
ワンシーンワンカットが売りの作品で、編集というものが入っていないので、アドリブっぽくなって、無駄な会話劇になっているところもそのまま見ることができる
この部分がテンポロスになっているのは否めないのだが、ドラマ版を好んでいる人には問題ないと思う
逆に編集バリバリの映画とかが好きだと退屈に思えてしまうので、好みが分かれる作品だったのかな、と思った
自分のことを知っていたことで驚きまくる打雷親子と、ほぼスルーする太宰、深く考えてはいないトミ子というのは面白い配置で、リアリティは一切無視しているところも潔い
打雷親子が唯一のバッティング可能キャラだったが、無理やりさせない構成も力技だった
それにしても田中圭は過去イチくらいに走り回っていたような気がする
メインカメラも大変で、その他のスタッフとかも大変だったと思う
メイキングもすっごい楽しめると思うので、なんらかの機会で放送したら良いのになあと思った
いずれにせよ、途中でスーツを脱ぎ捨てたのは暑すぎて耐えられなかったのかなとか、梶原善はどうやって着替えて移動したのかとか、裏方の方が気になる映画だった
前半の会話劇が少しかったるいのと、教師親子の話は演者の休憩時間みたいな扱いに思えたのは許容するところなんだろう
個人的にツボったのは、トミ子がワイヤレスイヤホンで音楽を聴くシーンの動きだろうか
ちょいちょい噛んでくる梶原善も良い味を出していたので、そういったところに救われている映画なのかな、と思った
ワンシーン・ワンカットのマイナス面が出てしまったとしか思えない
全編、ワンシーン・ワンカットという「作り」だが、感覚的には、一幕物の演劇を観ているようで、それだけでも、三谷幸喜の脚本との親和性の良さが感じられる。しかも、この手法では、緊張感が持続するため、観ている方も結構疲れるのだが、ここでは、主人公がトンネルを通り抜けるたびに舞台が切り替わる(おそらく、撮影時も、ここでカットがかかっているのだろう)ので、ひと息つくことができ、随分と観やすくなっている。
たたし、内容的には、タイムスリップした主人公が、「過去に干渉して、歴史を変えてはいけない」と分かっていながら、どうして、あれだけ積極的に太宰治たちに関わろうとするのか、その理由が、よく分からない。
いくら、昔から、太宰と心中したカフェの女給を美しいと思っていたからといって、会ったばかりのその女性のために、現在の妻や子供を捨てて、昭和5年に留まろうとするだろうか?しかも、そうすることによって、敬愛してやまない太宰治が、作家としてデビューしなくなってしまうおそれがあるというのにである。
同様に、太宰と心中することを嬉しく思っていたはずの女給が、主人公と生きて行くことに同意するという「心変わり」にも納得できないし、主人公の妻が、いきなり太宰と入水自殺しようとすることにも、唐突感を覚えざるを得なかった。
登場人物たちが、そういう生き方を選択するに至った過去の経緯なり背景なりが、事前に説明されていたならば、それぞれの行動にも説得力が生まれたのであろうが、このような「作り」では、そうした説明は極めて困難であるに違いない。
一発勝負の面白さが味わえるワンシーン・ワンカットの手法だが、ここでは、過去の描写や回想シーンを挿入することが難しいというマイナス面が強く出てしまったとしか思えない。
映画版で観ることのできるアナザー・バージョンのラストにしても、ロケ地の全容が分かるのは面白いものの、どうせなら、「過去から現在に帰ってきたら、歴史が変わっていた」という、タイムスリップものならではのオチが欲しかったと、少し残念に思ってしまった。
田中圭が映画の中でも不倫しそうになるコメディー作品。三谷幸喜のじわじわくる笑いが本領発揮した良作。
上映開始後すぐにアバンもなく画面いっぱいのタイトルがドーンと出てくる昭和の匂いがプンプンするオープニングで軽いジャブを打ってくる三谷監督。こういうの嫌いじゃないです。
舞台は鎌倉付近の漁村っぽい海岸という設定。ワンカット・ワンシーンで製作という事だったので細かく注視していましたが、ドローン空撮から地上目線に変わった部分で微妙な揺れを感じました。これをカメラチェンジととる人もいるかも知れませんが、最近のムービーカメラが小型化されたとはいえ、手持ちのブレ補正装置も付いている機器を一人のカメラマンが100分以上も持って走り回る撮影手法なので、ここは仕方がない部分だと思います。
ここから漁師の梶原善と田中圭・宮澤エマ夫婦を巻き込んでのタイムスリップ・コメディーへ突入していくのですが、ロケハンをしたスタッフの感性が良いのか、このロケ地がこの映画のために存在しているような超優良物件なんです。広すぎずにコンパクトで、砂浜を均したり小屋のセットを作るのに丁度良い大きさだし、近隣住民の生活道路ではないので見切りはないし、タイムスリップのキーになる絶妙なトンネルが松山ケンイチと小池栄子が待つ昭和5年の海岸とつながっているし、一人三役をこなして早着替えをする梶原善の熱と相まって観客を飽きさせません。前作の「スオミの話をしよう」では、長澤まさみ様の演技力に頼り過ぎて滑ってしまい、良い結果を残せなかったので観るのに勇気が必要でしたが、素直に笑える部分が多くてこの作品は成功だと思います。
エンドロールを観ずに帰ってしまう人が結構いますが、この作品、エンドロールの後に小池栄子が令和にタイムスリップする別バージョンのエンディングがあるので、見逃さないようにご注意ください。
【オマケ】
2026年製作開始、2027年中に公開の予定で、「コンフィデンスマンjp」四作目の計画が進んでいるようです。三浦春馬・竹内結子と大切なキャストを亡くしてしまい、東出昌大・広末涼子はアレな状態だし、この欠けたピースに松山ケンイチ・梶原善・小池栄子・宮澤エマをはめ込めば、今までの作品以上の良作に仕上がると思います。
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