「演劇でも劇シネでも映画でもない——“長回しドラマ”の真髄」三谷幸喜「おい、太宰」劇場版 ななやおさんの映画レビュー(感想・評価)
演劇でも劇シネでも映画でもない——“長回しドラマ”の真髄
三谷幸喜監督の最新作『おい、太宰』は、「映画」でも「舞台」でも「ドラマ」でもない、独自のジャンル——“完全ワンシーンワンカットドラマ”という手法で描かれています。
シーンの始まりから終わりまで一度もカメラを止めずに撮影するため、キャストもスタッフも緊張感がハンパありません。誰かがひとつミスしたらそれで終わり…🫣そんな緊張感ある舞台のような撮影を一日に一回、計6テイク行ったそうです。
主演は田中圭さん。太宰治をこよなく愛する平凡な男・健作を、100分間ひたすら走り、喋り、汗だく& 感情豊かに演じきります。太宰役の松山ケンイチさんは、どこか飄々とした津軽弁の一風変わった太宰治を軽快に演じています。他、小池栄子さん、宮澤エマさん、梶原善さんら三谷組の常連俳優陣が脇を固めており、中でも梶原善さんは1人3役という離れ業を披露🤩長回しでの役替え……まさに職人芸👏必見です🧐
そして、この映画の“隠れた主役”ともいえるのが、カメラマンの山本英夫さん🎥たった一人で全編を撮りきり、ブレずに、そして自らは画面に映ることなく、100分間の演技と空気を丁寧に追い続ける。その集中力と体力はいかに?!そして「海辺で撮ろう」と言い出した張本人であったとか🤫
役者とスタッフの力量が試される過酷な撮影環境の中、時折り生まれるクスッと笑える静かなユーモア、映画とも舞台劇ともまた違う“映像の独特な緊張感”——
それこそが、まさに"三谷幸喜長回し作品"の一番の魅力✨
舞台の空気感を味わう導入作品として、通常の舞台を観るより断然お安く鑑賞できる本作品は、最適解🉐
劇場版ではWOWOW放送版とは異なる「もうひとつのエンディング」がございます。せっかちに席を立つことなく、エンドロール後までごゆるりとご鑑賞下さい🎬