クラッシュ(2005)のレビュー・感想・評価
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いろいろなものがズシリときました
登場人物がとにかく豪華キャストで贅沢な作品でした
冒頭から人種差別がすごくて少し驚くほど
差別による暴力はないけど、あらかさまに差別発言をする警官、その警官だけじゃなくてそれぞれの人が違う人種の人への考え方がひどい
アジア系はみんな中国人、ペルシャ人でもイスラム系は一括り、そういう事自体が差別なのかもしれません
白人もアフリカ系もヒスパニック系も全員が全てハッピーな人じゃなくて、なにかしら悩み事や重いものを抱えている人達ばかり
誰かに焦点を当てたストーリーじゃなくて、それぞれの人が繋がっていくストーリー展開で新鮮でした
良い繋がりも悲しい繋がりもあり、それが後半一気に繋がっていきます
それで明るい未来が見える人もいれば、救われた気持ちになれる人、ただ悲しくなる人に傷付けられた人、いろいろです
一番傷付けられたと思えたのは刑事のグラハム
一番悲しくなったのは警察官のトム
特にトムは人種差別に嫌悪感を感じながら無意識に根底ではそういうものがあったように思えて、それがあの悲劇に繋がったように思います
登場人物全員にいろんな想いが湧いてきて、深い余韻が残る作品でした
感情と理性の葛藤
天使
袖すりあうも他生の縁…がまさかの展開
同じ街に暮らしながらも、それぞれ生きる場が違う人々。単にすれ違っただけの人もいれば、偶然の玉突きのような出会い・連鎖が、その人の人生を大きく変える。人生を立て直す人、取り戻す人、堕ちていく人…。
たくさんの糸が見事によりあわされて。
時に手に汗握り、時に癒され心が温かくなり、時に唖然とする。
個人的には天使のマントが好きだな。オチはやっぱりと言う感もあるけど、とても心に残る。
ラストのキャメロン・クリスティン夫妻、アンソニーがいい顔してますねぇ。
(テレンス氏&タンディさん、クリス氏)
グラハム。心が張り裂けそう。
(ドン氏の表情がいい)
ハンセン。ちょっとしたタイミングが違ったら結末は変わっていたと思うと、悔やみきれない。けど、その後の行動が…。あるよな人間には、こういうの。
(ライアン氏はこういう役やらせるとハマる)
他のレビュアーの方が言うように、ここまであからさまな差別や犯罪は日本には無いのかもしれない。
でも、教育格差等で、アンソニーらのように犯罪の周辺でしか生きられないと思い込んでいる子どもたちは日本でもすでに存在している。
グラハムとその母の関係は日本でもよく見かけ、胸が引き裂かれそうだ。
それに、
もし、あの時、私なら…決して他人事ではないエピソードの数々。常にイライラしている私。周りに気を使っていないように見せて気を使って日々を過ごしている私。ああ、ここに登場している人々のある部分は私だ。
どうせ縁を結ぶなら他生になるようにしたいと日々反省はしているけど…。
ラストは決してハッピーエンドばかりではないのだけれど、優しい音楽に包まれて「良い夢を」と本を閉じたくなるような終わり方。
ロスアンゼルスに生きる、ある人々の2日間を切り取った映画です。
最初は苦いけど、上質な酔いを堪能できます。
秀逸です。ぜひご覧ください。
変態じゃない方のクラッシュ。
バラードじゃない方のクラッシュ。ここ間違えると大変。
構成的には大好物のど真ん中なので、劇場公開時には観られなかったのが残念。
事故だけじゃなくてクラッシュしてる、みんな。現実ではこういう夥しい数の連鎖が起こっているのだろうか。でもそれを憎しみにするかどうかは、個人の選択なんだろうね。
救い
多民族国家アメリカ
公開当時、映画館観ていたが、ふとこの映画の事を思い出しました。しかし内容が詳しく思い出せず、再鑑賞。魂を揺さぶられる映画、脚本、俳優、演技…素晴らしい映画だと思います。
これが多民族国家アメリカの現実なんでしょう。そして良くも悪くも前大統領のトランプのお陰で人種の壁が表面化し、アメリカの分断が顕著になったんじゃないでしょうか。
この映画を観て、自分にも思い当たるが、人は時として善人(偽善者?)であるが、時として残酷な悪人にもなるという事を再認識しました。
いや、待てよ…観た直後は、『これがアメリカの現実』なんじゃないかと思っていましたが、よく考えると映画の中では全体的に人種差別がマイルドに表現されていたのではないでしょうか?リアルな人種差別はもっと残酷であろう。差別主義者の警官が、黒人を命をかけて助けるだろうか?差別主義者の女性が、怪我をして少し助けられただけで友人になるだろうか?
きっとこの世の中は、もっと残酷であろう…
人種のサラダボウル
観ていて気持ちの良い映画ではない。 むしろ胸糞悪い。 アメリカの黒...
観ていて気持ちの良い映画ではない。
むしろ胸糞悪い。
アメリカの黒人差別やその他の問題によって起こる負の連鎖の群像劇。
なのになんだこのパッケージは。
どこに感動があってどこで涙するのか。
最後だけそれっぽくしてるけど唐突すぎて意味不明。
確かに人には二面性があるけどそれにしても唐突。
観ていて不快な映画だった。
オスカー授賞式が発表されてから観ると、最後の「中国人め!」という台詞をアン・リーがどう感じたのか興味あるところです
それにしても、これはストーリーを追うのが大変。人間関係を書きとめるのも困難。誰がどの人種で・・・なんて把握するのは不可能に近い。と、自分の記憶力の弱さを露呈してしまうかのような映画でした。何が原因でどう連鎖してしまっているのかなんてどうでもいいことなのかもしれませんが、黒人2人組が車を盗むところから事件が始まりました。
人種も雑多なLAでは誰もが偏見を持っている。黒人・白人の対立だけではなく、プエルトリコ系、中国系、アラブ系等々、冒頭から中盤まではこの差別発言が飛び交って重くなる一方でしたが、やがて逆恨み・復讐、交通事故、等々些細なことから徐々に大きな繋がりを持つようになっていきます。唯一人種偏見の無さそうなライアン・フィリップでさえとんでもないことをやってしまいます。そうした重苦しい雰囲気の中でも、「透明マント」の話を信じた錠前屋の娘が一時の清涼剤となって心温かくなり、マット・ディロンだって警官の職務を全うするといった本来あるべき人間の姿を見せてくれて、ストーリー全体を引き締めてくれました。
結局、人種差別などの偏見を持った表面的には醜い人間であっても、本質的にはみな繋がりたい!人間らしさがあることを訴えたかったのでしょう。しかし、皮肉にもライアン・フィリップのような逆のパターンもあるので注意しなければなりません。なんだか考えさせられます。
そんな温かな人たちが多いのに、サンドラ・ブロックとブレンダン・フレイザーだけは浮いていました。ひょっとすると、この夫婦のように人間らしさを取り戻せないでいるアメリカ人が一般的なのかもしれませんけど、早く人の痛みをわかってもらいたいと思っていたら、階段から滑り落ちちゃいました。ブレンダン・フレイザーはトレジャーハンターだったり、その昔は原始人をやってましたから、この映画の役はちょっとピンときませんでした。
【2006年5月映画館にて】
その人を知ろうとする勇気
群像劇による、多視点からの「衝突(クラッシュ)」。日常に潜んだ人種差別や偏見を浮かび上がらせた、社会派な作品でした。
序盤は不安と怒りの感情が目立ち、あからさまな人種差別発言や外見からくる偏見に、観ているこちらももやもやしてしまうのですが、中盤以降からは各登場人物が繋がったり、様々な展開に目が離せませんでした。
最初は酷いことを口にする悪い人物に見えても、後々事情が見えてくると感情移入できるようになっていくのもおもしろかったです。絶対的な悪人がいないのが素晴らしい。人は一面だけでははかれないと改めて思いました。
人によってグッとくる人物が異なりそうなのもいいですね。個人的にはグラハム、ライアン、ダニエルが特に心にきました。トムには考えさせられました。
グラハムとリックのやりとりがわかりにくく感じたので、そこだけ注意した方がいいかもしれません。
私自身は衝突を避けてしまう方なのですが、勇気を出してぶつかることも時には必要だと思わせられました。自分を出すことで、相手に自分をわかってもらうことも必要なのかなと。そうしたやり取りの中で、徐々に相手のことも見えてくるのではないかと思いました。
未知への不安や恐怖からくる差別や偏見は、完全に無くすことは難しい。だからといって避け続ければ、その溝が埋まることはない。衝突することでその人と分かり合えたり、自分自身が得られるものもあるのだろうと考えさせてくれました。
いい作品です。
マイナス要素を集めて助長。最悪
なぜ全員が急に変わり始めたのか?
(たくさんのレビューが寄せられているので、僕は別の視点から)
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なぜ全員が急に変わり始めたのか・・・
説明は何もない。
唐突に物語が転調する。乱暴に。
ただ繰り返し繰り返し印象的に画面の隅に映るのはツリーとリースと雪だ。
聖夜にそれは起こる。
和解と新生、希望と愛、そして 贖い (あがない=身代わり) の赦しを告げる神の子羊=幼子イエスがこの世に与えられた
― これだけが”逆転“の理由として思い当たるファクター。
「クリスマスの奇跡」の映画ですね。
これは歴代のクリスマス名画に並ぶ現代のキリスト教信仰の映画だと思います。
これを観てイーストウッドはグラン・トリノに到達する。
ヒント:新約聖書第4巻「使徒行伝」。
その伏線としてはその前「マタイ~ヨハネ」3巻からの4巻通しての読破。
キーワードは「サウロ」。
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ヘイトの人たちに観てもらいたい。
自分がその瞬間にどんな顔をしているのか。
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衝突
社会問題と感動と。
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