「無知の知」クラッシュ(2005) エミール・ゾラさんの映画レビュー(感想・評価)
無知の知
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この作品はネットの評価や人伝で「感動する!」と聞いていたけれど、そうじゃなかった。様々な人種の人々の衝突(クラッシュ)によって紡がれる、線と線が絡み合う物語。群像劇で特定の主人公がいないからこそハッピーエンドもあれば後味の悪い結末もありました。
特に印象に残ったのが差別主義の先輩警官に嫌悪感を抱く若手警官のお話。差別はいけないという意識を持ちながらも、今まで衝突したことがなかったが故に彼は本質的に差別対象となる人々の事を理解できていなかった。つまり、彼の考えは「黒人は○○や××な理由で差別されるけど差別はいけないから俺はそんなことしない!」といった具合。本当に黒人の人々が○○や××なのかを知らないのにそうだと決めつけた上で「それでも俺は差別なんかしない!」といった自己満足のようなものだったのです。その考え方が、差別対象者に対する無知が、黒人青年を誤って射殺してしまうあの事件に繋がってしまう。様々な人々が差別をしていたけど、1番恐ろしい差別者は彼だったのかもしれません。
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