「こま切れエピソードの羅列」クラッシュ(2005) odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
こま切れエピソードの羅列
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ロス市警の刑事、黒人グラハムとメキシコ女性リアが車で死体遺棄現場に向かうが現場近くでアジア人女性の車に追突され女性同士が人種を卑下して罵り合い、グラハムは車を降りて遺体に向かい唖然とする・・、そうかこれは人種偏見を絡めたロス市警の犯罪捜査映画かと思ったら、画面は昨日と切り替わる、話はバラバラ変わり何が何やら、ちょっと混乱。
9.11後のロサンゼルスを舞台に、地方検事検事リックと人種偏見を持つ妻ジーンが黒人アンソニーとピーターに車を奪われる、監督のポール・ハギス氏がカージャックされた経験から原案を思いついたが、予算が無く監督の家や車で撮影したらしい。
人種差別的な交通警官ライアンと彼のパートナーであるトム、蛇行運転をしていた裕福なアフリカ系アメリカ人夫婦の車を止め尋問しライアンは妻に猥褻行為、反発するトム。その他、雑貨屋の主人に銃で狙われる鍵職人と幼い娘など人種、階級、家族、ジェンダーをめぐる群像劇が続きます。
(ネタバレ)
最期に来て初めのシーンに戻り遺体は車泥棒ピーター、なんと彼はグラハム刑事の弟でした、しかも、口論の末、殺したのは警官トムと急に話が繋がり唖然、アカデミー賞など多くの賞をとった作品を批判するのはおこがましいですがこま切れエピソードの羅列は頂けません。
何と、監督はインタビューで「物語についていけなくていい、映画の中のひとりになって、頭でなく心で感じてほしかった。面白かったと言われる映画ではなく、強く何かを感じて、その感情について誰かと話したいと思ってくれたなら、この映画は成功したと言えるね」と言っていました、確信犯だったのですね。
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