「【今作は、様々な人種同士の”衝突”が複雑に連関していく様を、数々のシーンで描き出した見事なるシニカルorヒューマン群像劇であり、登場人物同士の相関図を書きたくなる、脚本が抜群に上手い逸品でもある。】」クラッシュ(2005) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は、様々な人種同士の”衝突”が複雑に連関していく様を、数々のシーンで描き出した見事なるシニカルorヒューマン群像劇であり、登場人物同士の相関図を書きたくなる、脚本が抜群に上手い逸品でもある。】
<Caution!内容に触れています。>
ー この作品は、様々な人種間の”衝突”シーンが見事に連関する様を、凄いハイクオリティなる脚本で描き出している。驚きである。ー
■その凄い脚本設定の一部を記載する
1.差別主義者の白人警官(マット・ディロン)とそんな彼を嫌う若き同僚が、黒人TVディレクターとその妻が乗る車を停めて、TVディレクターの妻の身体を”完全にセクハラ行為”で調べるシーンからの、その白人警官が命懸けで事故に遭った黒人TVディレクターの妻を助ける姿。
2.妻が”セクハラ行為””をされたのに、何も抗議出来なくて、妻に詰られフラストレーションが溜まった黒人TVディレクターが自暴自棄になって、自分の車を停めた白人警察官達に怒鳴り込むも、差別主義者の白人警官を彼を嫌う若き警官に止められるシーン。
3.黒人の若者2人が、レストランでナカナカ食事が来なかった事に腹を立て、偶然見た白人検事(ブレンダン・フレイザー)と妻(サンドラ・ブロック)のSUVを銃で奪って逃げるシーンからの、白人検事の妻が日ごろから抱いている黒人蔑視思想が爆発するシーン。妻が怒りが収まらずに、ドアを直してくれているメキシコ系の錠前屋(マイケル・ペーニャ)の事を、ギャングと思い”全てのドアの鍵を変えてくれ!”と夫にヒステリックに叫ぶシーン。
だが、最後半、彼女が自宅の階段から転げ落ちた時に助けに来たのは、彼女が普段から軽視していた黒人メイドだったシーン。
4.その黒人の一人がヒッチハイクをした車の運転手が、差別主義者の白人警官を嫌う若き警官の車に乗せられるも、誤解から白人警官に車内で撃ち殺されるシーン。
5.もう一人の人種差別思想を持つ黒人青年が、白人検事夫婦から奪ったSUVでアジア人を車で轢いてしまった時の対応と、その車を売ろうとしたときに売買先の男から与えられたボロイバンに多数乗っていた密航して来たアジア人を、密かに自由の身にするシーン。
6.ペルシャ系の商店主が、ドアを直して貰うつもりだったメキシコ系の錠前屋の仕事が雑で、店内を荒らされた事に対し激昂して彼の家を訪れた際に、父を庇おうとした娘に発砲してしまうが、その前に購入した銃弾が空砲だった事から、娘の事を天使と呼ぶ姿・・。
<等々、書いて行くときりがないが、良くぞこれだけ入り組んだシニカルorヒューマン群像劇を書いたモノだと感服する作品である。
今作で数々登場する人たちに、真なる悪人は居ない。
今作は、ちょっとしたボタンの掛け違いで、差別主義者が善人になり、善人が悪意無き罪人になる様を、人種の壁を意識しつつ描き出した逸品なのである。>
よくまあ、こんなにもたくさんのエピソードを「あみだくじの網目」のように張り巡らした本作の脚本だと思いました。
そしてそれにこんがらがって頭を抱えて、レビューの匙を投げてしまった誰かさん(=僕のことなんですが😁) のために詳細なるメモを示して下さり、こういうレビュー、自分で復讐するために本当にありがたいです。
さすが大きなお仕事場を動かしておられるNOBUさん、その時々で何が起こったのか、把握しておられるのですねぇ!
リスペクトです。
ではでは、お返事は不要です
お休みなさい🌙