劇場公開日 2025年9月20日

「上田監督の誠実な姿勢」揺さぶられる正義 Hisahさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 上田監督の誠実な姿勢

2025年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

起訴こそされませんでしたが、ごく身近で類似の体験をした(今年です)ものとして、親子が引き離された辛さが痛いほどわかります。
 映画には登場してこないもう一つの機関として児童相談所があり、その職員から当初から犯罪者のごとく扱われ子供を隔離(拉致)されたのです。起訴、逮捕、拘留などに至らない類似案件はかなり多いと思います。児童相談所の職員はマニュアル通りの対応なのでしょうが、本人との面接や自宅の育児環境確認などを通じて、明らかに虐待でないと常識では判断できる場合でも、たいへん心無い言葉を浴びせられ、改善や再発防止と称する対応を指示されました。理不尽な対応に怒りを覚えました。
虐待または不注意や過失での傷害を認めない限り子供を返してくれない事例が横行していた(いる)と思われます。
 この映画では、冤罪被害者の方々も医師もカメラの前で勇気と覚悟を持って語ってくれていると思います。これは上田大輔監督が人と向き合う誠実な姿勢があってこそであり、素晴らしいドキュメンタリーです。警察発表、メディア報道を疑うことなく受け入れてしまう、SNSでの根拠ない攻撃など、私たちのあり方への問題提起として、多くの方に観てもらいたい作品です。

Hisah