ワン・バトル・アフター・アナザーのレビュー・感想・評価
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ディカプリオの新境地!
凄い!と唸らせる映画だった。160分の上映時間でありながら途切れなく続く物語の展開力にずーっと緊張感を与えられ、まさに映画と言うものの醍醐味を存分に味合わせてくれました!
映画前半はペルフィディアを演じるテヤナ・タイラーが縦横無尽に駆け回りボブ役のディカプリオ、ロックジョー役のショーン・ペンを食い尽くしていく。これはスーパー革命戦士の物語かと思いきや、彼女は捕らえられ仲間を売り忽然と消える。そしてあっという間に16年の時が流れてディカプリオはシングルファザーのダメ男に成り下がり、ロックジョーは出世し警察組織の上層部に出世していた。そして、ロックジョーが「クリスマスの冒険者」のメンバーと会ったことで後半の怒涛の展開が幕開ける。彼は「クリスマスの冒険者」に入会する為に生物学的に自分の子供である可能性があるウィラを探し、抹殺しようと必死になる。ボブはロックジョーのターゲットになった娘ウィラを探しだすことに必死になりとにかくドタバタ動き回る。この2人の闘いがメインテーマの筈だが、映画はなぜか(わざと)直接対峙することはない。結果、ロックジョーを瀕死の状態にさせたのは「クリスマスの冒険者」からの刺客だし、ウィラは勇敢にも自分の力で生き延びた。娘に会えたボブはウィラを思いっきり抱きしめる。感動の再会にウルッとする。
革命戦士のお母さんは手紙だけで登場はしなかったがこれはこれで良い。ボブはそろそろ真っ当な仕事でもして普通に生きていってくれればいい。
ロックジョーが入会を熱望し、最後に見限られてた「クリスマスの冒険者」なる白人崇拝の秘密結社。明らかに今日のアメリカの分断社会の象徴と捉え作り上げた架空の組織だが、トランプ政権においてはこんな排他主義の酷い奴らがウヨウヨいるんだと思う。
アメリカの映画でこんなに楽しめた映画は久々。ダメ男のディカプリオも素晴らしい。そしてなにより、PTA監督作品をもっと見てみたくなった。
スピルバーグに騙された〜
観るのを迷ってたんだけど、あのスピルバーグが絶賛して3回も観たらしいから、観てきました、やはり迷ってた通りで前半はイマイチ後半やっと面白くなったかなって程度でした、救いは娘役が綺麗でした笑、この子って「ニキータ」ような女殺し屋の幼少期役で出てた子のようでした、あとデカプリオはどんなカッコしてもイケメンですね。
ディカプリオがいつもと違う!
◇ (dream of America)カッコ付き
ポール・トーマス・アンダーソン監督が描いて見せる人物像の陰影が好きです。人は自分と他者を区別する時に、大まかな性格の総体として人間性を把握してます。陽気な人、怒りっぽい人、大人しい人、善玉悪玉。実際には、人物像はそれほど単純化できるものではなく、心理は常に揺れ動き、時間の経過や環境の変化に伴って多様な姿を表します。
登場人物は細部を丹念に描き込むためには、その人の過去に遡って語り起こさなければなりません。PTA監督作品の多くのキャラクターが歴史上の過去の人物であったのも、人物として描き切るための技法だったのかと改めて気が付きました。
物語前半、テロ活動の描写が早いテンポで進行します。そのスピードに違和感さえ感じます。それは、恐れを知らぬ若さの象徴、アメリカンドリーム的世界観。
16年後として語られる物語後半、PTA監督作品としては珍しい同時代(2020年代)が執拗に細部に渡って描かれて感じました。父と娘の物語。
父は過去という“夢”にしがみつき、娘は現実の闇に踏み込もうとする。二人の間にあるのは、愛情と同じくらいの距離と不信――それはPTA自身が「いま」をどう描くかという葛藤と重なっているのかもしれません。
革命の過去と怠惰な現在との距離、理想と現実の溝、そして世代間ギャップの象徴と重なります。ここに来て、前半の駆け足に過去を語るリズムと後半の現在の世界の意図的な変調に気が付きます。
佳境を迎える物語。銃撃や追跡アクションという外的クライマックスと、父と娘の絆・相克という内的クライマックスとを鏡合わせにしようとする構造。視覚的にも感情的にも私は完全にノックアウトされました。
移民問題、現在もアメリカに根強く蔓延るKKK的な有色人種に対する闇の世界、アメリカンドリームの裏側。シリアスな問題をクスクスっと笑える皮肉とともに、往年のアメリカ映画的なアクションシーンに添えて、完璧な構成で物語を語り尽くしています。
(dream of America)喜怒哀楽でした。
ポール・トーマス・アンダーソン 監督作品の中では凡作
わかりやすくてカラッとしている雰囲気と
ストーリーラインがやや物足りない。
ブギーナイツやゼアウィルビーブラッドに
あった哀愁や人物のコクみたいなものは薄れている気はする。
ご都合主義的では無いドラマの良さもあるが
ただ余りにも展開が繋がらずストーリーが薄味に感じた
ジャナイホウじゃないポールアンダーソン
骨太の人間ドラマを撮る巨匠の方のポールアンダーソン監督で、原作がこれまた米国文学の異端児で巨匠のピンチョン。
ピンチョン作品はドライブ感が痺れるものの、ストーリーは複雑すぎ、人物は多過ぎで何がどうなっているのか理解できなかったりするし、ポールアンダーソンは没入感はすごいけど、登場人物はアクが強いどころじゃなくて共感できる位置は北極点より遠い。
で、映画評は「面白い」の嵐だったが、半信半疑だった。
が、確かに面白い。
信じられないようなストーリーに理解不能な登場人物が踊り続ける。
常人じゃない登場人物ばかりなので何が起こってもまったく不自然に思えない。
結果十分に一回のクライマックスがあるアート映画が誕生。
文豪と巨匠が醸し出す壮大なドタバタ劇の果てに米国社会の闇がくっくり浮かび上がる仕組みになっており全力に鬱展開で気分が良い。
血縁のなしの家族、マッチョな男社会
2025年。ポール・トーマス・アンダーソン監督。革命家として爆弾を製作し、移民収容所を襲ったり銀行強盗をしたりしていた男は組織の女性リーダーと結婚するが、あまりに破天荒な女性リーダーは長女を生んだあと家庭を去り、しかも逮捕された後で組織を密告し、メキシコへと亡命してしまった。一方、密告相手の軍人は、かつて襲撃されたことをきっかけに女性リーダーへの個人的な想いを募らせていた男で、肉体関係を元に密告へと追い込んでいた(結局メキシコへ逃げられるわけだが)。16年後、組織を離れた男は娘と静かに暮らしていたが、しつこく付け狙う当の軍人に見つかったことでふたたび因縁の対決が始まって、、、という話。
血のつながらない子供と家族的な絆を結ぶ、というテーマがハリウッド映画には多いのだが、それに加えて、アンダーソン監督お得意の「マッチョで差別的な男社会」のテーマがある。この二つのテーマが見事にまじりあっている。革命うんぬん、メキシコ人コミュニティうんぬん、はトランプのアメリカへの痛烈な批判だろう。
「私」とは何者か
いやぁ、私にはなかなかクセの強い作品でした。…良い意味で。
観た後の感じは、同じくディカプリオ主演の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」みたいに、後からいろんなシーンを振り返って新たな味が出てくる感じ。
(以下、一部ネタバレを含みますのでご注意下さい)
正直、前半はいろいろ展開する割に、主要キャラクターっぽいのは何人も出てくるから「これは今。何を見ていればいいだろう」という感じだった。
でも、そんな群像劇的な流れが、物語として集約していく後半はかなり楽しめる。
ラストの、道路のアップダウンの視点を使ったカーチェイスなんかは、まさに映画的。
で、全体通して描かれるのは「『私』とは何者か」。
人は、自分というものを、何か有形無形の他者の存在によって成立させていることが多い。
警察の仕事で手柄を上げ、かなりの出世を果たしてもなお、さらなる高み「崇高な地位」を手に入れないと自己実現を実感できないロックジョー。
「レジスタンスの活動」をもってしか、自分のアイデンティティを自覚できず、愛する子供をも置き去りにして、活動を再開するベルフィディア。
本名の他にコードネームや通称をたくさん持ちながら、合言葉を忘れたらどの名前を使ってもまったく自分の立場を証明することができないボブ。
そんなボブの中で大きなアイデンティティであった「ウィラの父親であること」でさえ、実は違うことが明かされ、途端に観客には哀愁をもって彼の姿が映る。
そしてラスト、連れ去られたウィラと、ようやく合流できて親子でお互いの姿を確認しながらも、ウィラは実の父親が他にいたことを知り、銃を向けてボブに「お前は誰だ」と組織の合言葉を求める。
ボブは「もう良いんだ。私だよ、バパだよ。」と声を掛け、抱き合う。
何かに保証なんかされなくたって、
私は今、ここにいる。
いていいんだ。
それが幸せなんだ。
なんて素敵な終わり方でしょう。
でも、ウィラはレジスタンスのリーダーである母のDNAを強く引き継いで、活動にいそしむことになる。
そんな皮肉もまた、ハッピーエンドのスパイスになっていた。
移民を保護してる空手道場のスーパーやり手の先生の存在感も良い味。
事務所に日本語の「スーパーマン」のポスターが貼ってあったのは、スーパーマンも移民の人々がアメリカの地でアイデンティティを手に入れていくっていうメタファだからかな、と思ってみたり。
前述したとおり、思い出すとジワジワといろんな気付きが生まれる、そんなスルメ的な楽しみ方のできる映画でした。
あんまり予備知識なく観るほうが楽しいかも。
(ネタバレ書いといて言うのもナンですが。)
結構音にも配慮された作品なので、映画館で観ることをオススメします。
今年は名優達が輝いてますね。
ニヤニヤしながら見てると、いきなりグサリ
カーチェイスのカメラワークがスリル満点
もはやトムとジェリー
何の予備知識もなく、トレーラーで興味がわいたため鑑賞。
米国を代表する対立要素が何重にも絡んだ、サバイバルとサスペンスがスリルを極める1本。
よく考えるとディカプリオ出演作品は「インセプション」以来だった。「タイタニック」から思えば、いい役者さんになったんだなぁと存在感に圧倒される。
黒人、ヒスパニック、エトセトラ、生きにくいがために団結する移民らの、訴える革命活動家らの結束がもはやプロのスパイ集団で見ていて、まず痛快。
対する白人、警察側の保守も保守、時代遅れなマッチョ嗜好や病的な偏見が不気味と描かれ、そんな互いが追いつ追われつを繰り広げる本作の、
久々にスパイ映画を彷彿とさせる先の読めないスリリングな展開にハラハラし通しだった。
もはやトムとジェリーである。
生み出す脚本がとにかくパーフェクトで、まるきりカッコいいところのないディカプリオの応援したくなるじれったい演技がなおさら手に汗握らせる。
久しぶりに見た、憎たらしい悪党にも拍手だ。
後半、うまい具合に主役が娘へバトンタッチされていたことも、どんな人たちの物語かを明確にしていたように感じる。
ゆえに見ようによっては政治的なメッセージを汲み取れなくもないが、これは単純に2つの組織のつばぜり合いを楽しむエンタメだと受け取った。
屋根から落ちるシーンと、糖尿病検査で抜け出すシーンが本当に不意を突かれて目が覚める思いだった。うまい、うますぎる。
唯一、最後の手紙のシーン辺りは蛇足かなぁと感じて止まない。
追記
鑑賞中もどこかで見たことがあるなぁ、と思っていれば本編、基本構造は「レミゼラブル」ではないか! ジャベールとバルジャン、そしてコゼットでは。
なにが最高なのか、私にはわからない
世界、特に米国
寝落ちしないスリル
脚本 演出 キャストの演技等 どの要素をとっても高水準の傑作だけど 感心すれども感動せず 楽しむだけ楽しんで簡単に忘れてしまいそうな映画
いやぁ、鑑賞してる最中にはこれは当たりだ、と感じていたわけですよ。それこそ、トム•f___in’•クルーズ(劇中でベニチオ•デル•トロ演ずるセンセイがこんなお上品な呼び方をされてました。聞き間違いかしらね)が飛行機と戯れていたあの映画より、はるかに面白いなと思って観ておりました。でも、終盤でのショーン•ペン演ずるロックジョーの暴れっぷり、やられっぷり(1度ならず2度までも)やら、長々と展開するカーチェイスなんぞを見ていると話の進め方にあざとさを感じ始め、そう言えば、物語に登場する組織(「フレンチ75」と「クリスマスの冒険者たち」ね)の描き方も月並みと言えば月並みであまり弾けてないなあと思えてきました。こういうの、タランティーノだったら、もっとうまく作るのになあ、とも。
まあでも、基本的には十分、楽しめたわけです。レオナルド•ディカプリオ演じる主人公ボブのダメ男ぶりなんか最高でした。酒浸り、ヤク浸りのせいかなんか知らないけど、大事な合言葉をすっかり忘れちゃってるし、若者たちの後ろについて追手から逃げるときのあのドタドタとした走りっぷりときたら…… 還暦すぎてもなお美しいランニング•フォームで走るトム•ファ…じゃなかったトム•クルーズに対するアンチ•テーゼを見事に体現しておりました。対して、「ホワイト•トラッシュ」とか「レッド•ネック」とか呼ばれる白人下層階級の出身と思われるも、上昇志向が強く、違法移民を取り締まる特務部隊の隊長みたいなところまで出世した、ショーン•ペン演ずるロックジョーのヘンタイぶりもなかなかのものです。ただ、彼の場合はなんとなくトランプ支持者を思いっきり戯画化したキャラクターではないかと感じられたので、クリスマスなんちゃらとかいう白人至上主義の秘密結社めいた組織とともに描き方にもう一捻り欲しかったなと思いました。
結局、PTA監督、なんかちょっと日和っている感じがします。小器用に無難にまとめてる感じ。移民問題とか社会の分断とかいうアメリカの今日的テーマを取り入れてはいるのですが、なんかハリウッド大作もアップデートしてるんですよ、というアリバイ工作のためにそうしてるみたいな感じで、これ、ぶっちゃけハリウッドの論理に従って高い興行収入を目指して作られた娯楽作で、軽いと言えば軽いし、薄いと言えば薄いかな。まあ楽しかったからいいや、と言えばまったくその通りなんですけどね。でも、大袈裟な言い方をすれば、PTAよ、オスカー欲しさに悪魔に魂を売り渡しちゃったの? てな感じです。PTA監督の過去作には、例えば『マグノリア』があります。ほぼ四半世紀前の作品ですが、私、はっきりとこの作品のことを今でも憶えています。そう言えば、トム•ファ…じゃなかったトム•クルーズがなんだか怪しげなカリスマ講演者をやってたなあとか、クライマックスにとんでもないことが起こるんだよなとか。でも、こっちの「ワンバト」のほうはすぐに忘れてしまいそうです。
でも、そのほうがいいかも。203X年、すっかり耄碌爺いになった私は、配信で懐かしの『マグノリア』を鑑賞した後、おススメにワンバトなんちゃらとかいう作品が挙がってるのに気付きます。「へー、PTAって、こんなのも撮ってたのか。面白そうだな。観てみよっと」そして、以前に観てたことなどすっかり忘れている私は鑑賞して大満足するわけです。「ふうむ、この映画のいいとこは、主人公のボブが本当にボンクラなダメ男だけど、幸せそうな老後を過ごせそうなとこかな。老後がなくなっちゃった登場人物もいたけど」
そう、忘れるってとってもいいことなんですね(キーワードや暗証番号はメモしてね)。センセイも「忘れること、それ即ち、自由になることだ」とか言ってたし。あれれ、記憶が混濁してる?
雨ニモ負ケ 風ニモ負ケ
夏ハ ナンダコノ暑サハ 脳ガ溶ケソウダ
冬ハ クソ寒クテ凍エソウダ ト愚痴ヲコボシ
健康ノ為ニ始メタジョギングハ ドタドタシカ走レズ 三日デ断念シ
食ベルコトガ最大ノ楽シミナノニ 朝食ベタモノヲ昼ニハ 昼食ベタモノヲ晩ニハ忘レ
旧友ノ名前ガ思イ出セズ ヲロヲロスルモ
誰カヤ何カヲ愛スルコトハ忘レズニ 好キナコトハズット好キト言イ続ケル
ソンナ老人ニ私ハナリタイ
皆様の老後に幸多からんことを…
全516件中、201~220件目を表示
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