ワン・バトル・アフター・アナザーのレビュー・感想・評価
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ジャナイホウじゃないポールアンダーソン
骨太の人間ドラマを撮る巨匠の方のポールアンダーソン監督で、原作がこれまた米国文学の異端児で巨匠のピンチョン。
ピンチョン作品はドライブ感が痺れるものの、ストーリーは複雑すぎ、人物は多過ぎで何がどうなっているのか理解できなかったりするし、ポールアンダーソンは没入感はすごいけど、登場人物はアクが強いどころじゃなくて共感できる位置は北極点より遠い。
で、映画評は「面白い」の嵐だったが、半信半疑だった。
が、確かに面白い。
信じられないようなストーリーに理解不能な登場人物が踊り続ける。
常人じゃない登場人物ばかりなので何が起こってもまったく不自然に思えない。
結果十分に一回のクライマックスがあるアート映画が誕生。
文豪と巨匠が醸し出す壮大なドタバタ劇の果てに米国社会の闇がくっくり浮かび上がる仕組みになっており全力に鬱展開で気分が良い。
ディカプリオは活躍しない
予告ではディカプリオが愛娘の為に大暴走!と思ったら、前半部はダラダラ長く下品な寒いセリフ連発でこれが160分なら中座して帰るかと。
よくディカプリオやショーン・ペンがあんなブサイク黒人に夢中になり説得力の無さ。
16年経ち、娘が成長しディカプリオがダメ親父になってからだんだん面白くなり着地点が見えなくなる!
キリスト教福音派の秘密結社やら移民拘束反対デモ、ベニチオ・デル・トロのセンセイ登場でカオスさが加速!
結局、ディカプリオはダメダメなままで何も出来ず終了。
でも、世の中、そんなもん。
かっこ悪いディカプリオも逆にかっこいい!
ポール・トーマス・アンダーソン監督にしたら意外にも政治的メッセージが強い作品でいつものモヤモヤ感がなく観た後もニヤニヤしっぱなし!
血縁のなしの家族、マッチョな男社会
2025年。ポール・トーマス・アンダーソン監督。革命家として爆弾を製作し、移民収容所を襲ったり銀行強盗をしたりしていた男は組織の女性リーダーと結婚するが、あまりに破天荒な女性リーダーは長女を生んだあと家庭を去り、しかも逮捕された後で組織を密告し、メキシコへと亡命してしまった。一方、密告相手の軍人は、かつて襲撃されたことをきっかけに女性リーダーへの個人的な想いを募らせていた男で、肉体関係を元に密告へと追い込んでいた(結局メキシコへ逃げられるわけだが)。16年後、組織を離れた男は娘と静かに暮らしていたが、しつこく付け狙う当の軍人に見つかったことでふたたび因縁の対決が始まって、、、という話。
血のつながらない子供と家族的な絆を結ぶ、というテーマがハリウッド映画には多いのだが、それに加えて、アンダーソン監督お得意の「マッチョで差別的な男社会」のテーマがある。この二つのテーマが見事にまじりあっている。革命うんぬん、メキシコ人コミュニティうんぬん、はトランプのアメリカへの痛烈な批判だろう。
「私」とは何者か
いやぁ、私にはなかなかクセの強い作品でした。…良い意味で。
観た後の感じは、同じくディカプリオ主演の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」みたいに、後からいろんなシーンを振り返って新たな味が出てくる感じ。
(以下、一部ネタバレを含みますのでご注意下さい)
正直、前半はいろいろ展開する割に、主要キャラクターっぽいのは何人も出てくるから「これは今。何を見ていればいいだろう」という感じだった。
でも、そんな群像劇的な流れが、物語として集約していく後半はかなり楽しめる。
ラストの、道路のアップダウンの視点を使ったカーチェイスなんかは、まさに映画的。
で、全体通して描かれるのは「『私』とは何者か」。
人は、自分というものを、何か有形無形の他者の存在によって成立させていることが多い。
警察の仕事で手柄を上げ、かなりの出世を果たしてもなお、さらなる高み「崇高な地位」を手に入れないと自己実現を実感できないロックジョー。
「レジスタンスの活動」をもってしか、自分のアイデンティティを自覚できず、愛する子供をも置き去りにして、活動を再開するベルフィディア。
本名の他にコードネームや通称をたくさん持ちながら、合言葉を忘れたらどの名前を使ってもまったく自分の立場を証明することができないボブ。
そんなボブの中で大きなアイデンティティであった「ウィラの父親であること」でさえ、実は違うことが明かされ、途端に観客には哀愁をもって彼の姿が映る。
そしてラスト、連れ去られたウィラと、ようやく合流できて親子でお互いの姿を確認しながらも、ウィラは実の父親が他にいたことを知り、銃を向けてボブに「お前は誰だ」と組織の合言葉を求める。
ボブは「もう良いんだ。私だよ、バパだよ。」と声を掛け、抱き合う。
何かに保証なんかされなくたって、
私は今、ここにいる。
いていいんだ。
それが幸せなんだ。
なんて素敵な終わり方でしょう。
でも、ウィラはレジスタンスのリーダーである母のDNAを強く引き継いで、活動にいそしむことになる。
そんな皮肉もまた、ハッピーエンドのスパイスになっていた。
移民を保護してる空手道場のスーパーやり手の先生の存在感も良い味。
事務所に日本語の「スーパーマン」のポスターが貼ってあったのは、スーパーマンも移民の人々がアメリカの地でアイデンティティを手に入れていくっていうメタファだからかな、と思ってみたり。
前述したとおり、思い出すとジワジワといろんな気付きが生まれる、そんなスルメ的な楽しみ方のできる映画でした。
あんまり予備知識なく観るほうが楽しいかも。
(ネタバレ書いといて言うのもナンですが。)
結構音にも配慮された作品なので、映画館で観ることをオススメします。
もっとこじゃれた邦題を付けてくれ
原因不明だが、何故かレビューが削除されていたので、再投稿。
PTAの新作だ。そう、Paul Thomas Anderson 略してPTA。今やフルネームで
呼ぶことよりもPTAの方が多くなった。
当然だが、ジョン・ヒューズの快作コメディ映画「大災難P.T.A.」(88年作、映画.comの評価は4.6/5.0)とは無関係。
ところで80・90年代にはユニークなコメディ映画が公開されていたが、近ごろはめっきり少ない気がする。輸入元・配給元がコメディ映画を敬遠しているのだろうか?
本作はアクションコメディ映画と呼ぶべきだろう。
人によっては革命指向の左翼的アジテーションと見る向きもあろうが、私は純粋に娯楽作品として堪能した。
ディカプリオは50代となって、その風貌がますますデ・ニーロ化しているぞ。
かつて革命行動家として名を馳せた女は警察に拘束されると組織を裏切り、証人保護プログラムで別人になってメキシコへと逃げるが、映画はその後の彼女の姿を追いかけることはしない。
母たる彼女の行く末に映画はあまりにも無関心だ。
失われた母性と論じるネット記事もあったが、PTAは鼻っから母性には見向きもしない。
父と娘と彼らを追う変態軍人(ショーン・ペンが好演・怪演‼)の姿こそこの映画の真骨頂だ。
娘役を演じたのはチェイス・インフィニティさん。なんとこの名前、本名らしい。ミドルネームを姓にしたとか。
キックボクシングのトレーナーの経験があるということで、本格アクション映画でも重宝されそうだ。
終盤の砂漠のハイウェイでの追跡シーン。道が大きく波打っているなと思っていたら、その地形を利用して追跡者とケリをつけた。
ラストで娘に父親(ディカプリオ)が母親からの手紙を渡すが、あれは父親の創作だろう。組織を裏切った母親にかつての夫であるディカプリオに連絡する伝はないはず。あの手紙は父親としての精一杯の思いやりだろうし、娘もそれを理解して父親をハグする。
思えば、アメリカはイギリスと独立戦争を行なった。故に今のアメリカ人は革命家の孫たちともいえる。
そうして、革命家の心意気はアメリカ人に「切り株」のようにどっしりと根付いた。
早くも、PTAの次の新作が待ち遠しくなった。
今年は名優達が輝いてますね。
ニヤニヤしながら見てると、いきなりグサリ
カーチェイスのカメラワークがスリル満点
もはやトムとジェリー
何の予備知識もなく、トレーラーで興味がわいたため鑑賞。
米国を代表する対立要素が何重にも絡んだ、サバイバルとサスペンスがスリルを極める1本。
よく考えるとディカプリオ出演作品は「インセプション」以来だった。「タイタニック」から思えば、いい役者さんになったんだなぁと存在感に圧倒される。
黒人、ヒスパニック、エトセトラ、生きにくいがために団結する移民らの、訴える革命活動家らの結束がもはやプロのスパイ集団で見ていて、まず痛快。
対する白人、警察側の保守も保守、時代遅れなマッチョ嗜好や病的な偏見が不気味と描かれ、そんな互いが追いつ追われつを繰り広げる本作の、
久々にスパイ映画を彷彿とさせる先の読めないスリリングな展開にハラハラし通しだった。
もはやトムとジェリーである。
生み出す脚本がとにかくパーフェクトで、まるきりカッコいいところのないディカプリオの応援したくなるじれったい演技がなおさら手に汗握らせる。
久しぶりに見た、憎たらしい悪党にも拍手だ。
後半、うまい具合に主役が娘へバトンタッチされていたことも、どんな人たちの物語かを明確にしていたように感じる。
ゆえに見ようによっては政治的なメッセージを汲み取れなくもないが、これは単純に2つの組織のつばぜり合いを楽しむエンタメだと受け取った。
屋根から落ちるシーンと、糖尿病検査で抜け出すシーンが本当に不意を突かれて目が覚める思いだった。うまい、うますぎる。
唯一、最後の手紙のシーン辺りは蛇足かなぁと感じて止まない。
追記
鑑賞中もどこかで見たことがあるなぁ、と思っていれば本編、基本構造は「レミゼラブル」ではないか! ジャベールとバルジャン、そしてコゼットでは。
なにが最高なのか、私にはわからない
世界、特に米国
寝落ちしないスリル
最高にどうかしているイカした映画
PTA監督作はいくつか観ていますが、オモシロイと思った作品に通じるのは“長〜い前フリ”ですね。
今作でも、ボブが娘を救いに向かうまでの長いこと長いこと笑
いや、そこは目を瞑るとしても、ロックジョーが革命家の一斉検挙作戦を実行に移すまですら長い笑
しかし、フリがしっかり効いているからこそ、終盤の怒涛の展開に厚みが生まれ、終わる頃には不思議なカタルシスに包まれるのです。
結果的に、上映時間は2時間オーバーとなることもしばしばの監督ですが、見応えがあるので毎度許せてしまいます。
脚本 演出 キャストの演技等 どの要素をとっても高水準の傑作だけど 感心すれども感動せず 楽しむだけ楽しんで簡単に忘れてしまいそうな映画
いやぁ、鑑賞してる最中にはこれは当たりだ、と感じていたわけですよ。それこそ、トム•f___in’•クルーズ(劇中でベニチオ•デル•トロ演ずるセンセイがこんなお上品な呼び方をされてました。聞き間違いかしらね)が飛行機と戯れていたあの映画より、はるかに面白いなと思って観ておりました。でも、終盤でのショーン•ペン演ずるロックジョーの暴れっぷり、やられっぷり(1度ならず2度までも)やら、長々と展開するカーチェイスなんぞを見ていると話の進め方にあざとさを感じ始め、そう言えば、物語に登場する組織(「フレンチ75」と「クリスマスの冒険者たち」ね)の描き方も月並みと言えば月並みであまり弾けてないなあと思えてきました。こういうの、タランティーノだったら、もっとうまく作るのになあ、とも。
まあでも、基本的には十分、楽しめたわけです。レオナルド•ディカプリオ演じる主人公ボブのダメ男ぶりなんか最高でした。酒浸り、ヤク浸りのせいかなんか知らないけど、大事な合言葉をすっかり忘れちゃってるし、若者たちの後ろについて追手から逃げるときのあのドタドタとした走りっぷりときたら…… 還暦すぎてもなお美しいランニング•フォームで走るトム•ファ…じゃなかったトム•クルーズに対するアンチ•テーゼを見事に体現しておりました。対して、「ホワイト•トラッシュ」とか「レッド•ネック」とか呼ばれる白人下層階級の出身と思われるも、上昇志向が強く、違法移民を取り締まる特務部隊の隊長みたいなところまで出世した、ショーン•ペン演ずるロックジョーのヘンタイぶりもなかなかのものです。ただ、彼の場合はなんとなくトランプ支持者を思いっきり戯画化したキャラクターではないかと感じられたので、クリスマスなんちゃらとかいう白人至上主義の秘密結社めいた組織とともに描き方にもう一捻り欲しかったなと思いました。
結局、PTA監督、なんかちょっと日和っている感じがします。小器用に無難にまとめてる感じ。移民問題とか社会の分断とかいうアメリカの今日的テーマを取り入れてはいるのですが、なんかハリウッド大作もアップデートしてるんですよ、というアリバイ工作のためにそうしてるみたいな感じで、これ、ぶっちゃけハリウッドの論理に従って高い興行収入を目指して作られた娯楽作で、軽いと言えば軽いし、薄いと言えば薄いかな。まあ楽しかったからいいや、と言えばまったくその通りなんですけどね。でも、大袈裟な言い方をすれば、PTAよ、オスカー欲しさに悪魔に魂を売り渡しちゃったの? てな感じです。PTA監督の過去作には、例えば『マグノリア』があります。ほぼ四半世紀前の作品ですが、私、はっきりとこの作品のことを今でも憶えています。そう言えば、トム•ファ…じゃなかったトム•クルーズがなんだか怪しげなカリスマ講演者をやってたなあとか、クライマックスにとんでもないことが起こるんだよなとか。でも、こっちの「ワンバト」のほうはすぐに忘れてしまいそうです。
でも、そのほうがいいかも。203X年、すっかり耄碌爺いになった私は、配信で懐かしの『マグノリア』を鑑賞した後、おススメにワンバトなんちゃらとかいう作品が挙がってるのに気付きます。「へー、PTAって、こんなのも撮ってたのか。面白そうだな。観てみよっと」そして、以前に観てたことなどすっかり忘れている私は鑑賞して大満足するわけです。「ふうむ、この映画のいいとこは、主人公のボブが本当にボンクラなダメ男だけど、幸せそうな老後を過ごせそうなとこかな。老後がなくなっちゃった登場人物もいたけど」
そう、忘れるってとってもいいことなんですね(キーワードや暗証番号はメモしてね)。センセイも「忘れること、それ即ち、自由になることだ」とか言ってたし。あれれ、記憶が混濁してる?
雨ニモ負ケ 風ニモ負ケ
夏ハ ナンダコノ暑サハ 脳ガ溶ケソウダ
冬ハ クソ寒クテ凍エソウダ ト愚痴ヲコボシ
健康ノ為ニ始メタジョギングハ ドタドタシカ走レズ 三日デ断念シ
食ベルコトガ最大ノ楽シミナノニ 朝食ベタモノヲ昼ニハ 昼食ベタモノヲ晩ニハ忘レ
旧友ノ名前ガ思イ出セズ ヲロヲロスルモ
誰カヤ何カヲ愛スルコトハ忘レズニ 好キナコトハズット好キト言イ続ケル
ソンナ老人ニ私ハナリタイ
皆様の老後に幸多からんことを…
?
主人公はビール飲んでマリファナやって文句言ってるだけだったんじゃが?
元爆弾魔的なスキル発揮して状況を打破するシーンとか無い……んですね。
そう言った分かりやすいアクションエンタメじゃない、と。
……お子様舌なので良く分かりませんでした。
あー、敵の変態警察と娘さんは良かったです。ついでに、黒幕幹部クラスなのに下っ端ヒットマンやらされてた人も。
何だか盛り上がらない
ショーン・ペンとベニチオ・デル・トロが出演しているので期待して観に行きました。結論から言うと、ところどころ良いシーンはあるものの、全体としては今ひとつ盛り上がりに欠ける作品でした。
原因はいくつか考えられますが、まず、ストーリー的にディカプリオが革命家として活動していた頃の描写が少なく、彼がどれほどの人物だったのかが十分に伝わってきません。また、母親が育児放棄して家を出ていった後が全く描かれず、その点も中途半端に感じました。それはそれで構わないのですが、それならば最後の母親からの手紙のシーンは不要だったと思います。
さらに、キャスティング面ではディカプリオがミスキャストだと感じました。わざとなのかも知れませんが、彼が登場するとどこかコミカルに見えてしまい、作品全体の緊張感と合っていないように感じました。他のキャストは皆さん良かっただけに残念です。
最後に、ベニチオ・デル・トロには、もっとぶっ飛んだ役柄を演じてほしかったです。
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