ワン・バトル・アフター・アナザーのレビュー・感想・評価
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過去と現在と未来を突きつけられた❗️
会話、キャスティング、音楽、衣装、ヘアメイク、車と道路、すべて面白くてとってもよかったです❗️
ママもパパも娘もクリスマス狂いもセンセイもみんな、かっこよくて変でかわいくて情けなくて強くて頼もしかった!まさに今でリアルで皮肉たっぷりの話。とにかくたくさん笑った。車シーンのピアノのトントンはドキドキ、讃美歌~、年齢層によって異なるアクション、教会内でチェック?! "He or she or they?"、パパは勉強怠っていない!ペンもデル・トロもディカプリオも本当に上手い役者
おまけ
今更ながらトマス・ピンチョンの小説がベースだと知った。ピンチョン読んだことない。頭がついていけないだろう、PTA監督ありがとう!
面白かったと思います
先程、鑑賞しました。
何となく一昔前の映画の感じでした。
ディカプリオの奮闘も迫真の演技で良いのですが、ショーンペンの変態振りも良かったです(笑)
昔はカッコ良かったと思い出した。
結構シリアスな映画に出ていたかと。
ショーンペンが渇望していた秘密結社?
今のアメリカの移民問題につながるかと。
結局、ディカプリオは血縁関係は知らない…のですね。
ストーリー、俳優さん達、トータルでいい映画ではないでしょうか。
B級映画?
1ミリもカッコよくないディカプリオが、ラストでめっちゃ愛おしくなる‼️
冒頭は16年以上前の、橋や建物や銀行などに、
爆破を仕掛ける革命家のボブの所属する仲間のグループ「フレンチ75」
の活動が派手に描かれています。
そしてボブより過激なくらいの恋人のベルフィディアが愛し合って
娘のウィラが生まれる。
父性に目覚めたボブに対して、ベルフィディアは母親の自覚も全くないまま
家を出ていってしまう。
そんなボブは身を隠しつつもウィラを16歳まで立派に育てていた。
ところが突然ウィラとボブは宿敵ロックジョーと所属する軍隊から
命を狙われてウィラは拉致されてしまう。
結果的にメチャクチャ面白いアクション・コメディ映画です。
ポール・トーマス・アンダーソン監督作ですから、アメリカの現実が
メチャメチャ反映していたし、予言しているような描写も多々あり、
目が離せない展開です。
ボブが男手一つで育てた娘・ウィラ(チェイス・インフィニティ)が
勇敢で可愛くて主役みたいに目立つ。
ラストのあるシーンなんて革命家の目覚め・・・
《こうして革命家は生まれるのだ‼️》って感じ。
冒頭からずうっと追ってくるクレイジーな軍人ロックジョー
(ショーン・ペン)は、
ネチッコイ、ババッチイ、歯止めが効かないと、
正にショーン・ペンに当て書きしたようなハマり役。
そしてこの映画は、移民問題や、人種差別、白人至上主義など
現実の根本的アメリカの闇や病巣を活写しているのです。
ラテン系のセンセイ(ベラチオ・デル・トロ)は、ウィラの空手のセンセイ、
ラテン系の実業家としてコロニーを率いている。
そして、ボブの生活が脅かされて、ウィラが拉致されてしまうと、
センセイは身を犠牲にしてまで助けてくれるけど、どこか緩くて楽しい。
ボブは命に変えて娘を取り戻そうとするのだけど、
16年間に鈍ってしまった肉体が言うことを聞かない。
メチャカッコ悪いんですよディカプリオ。
そして追ってくるロックジョーの本当の理由。
ここんとこは驚きましたね。
そして白人の心に流れる純血主義。
白人の血に黒人の血が混じることを許せない白人至上主義者たちは
「クリスマスの会」と言う名の地下組織を築いていて、
ロックジョーは勧誘されてしまう。
アメリカににいる様々な主義の入り乱れ、
彼らは殺しも厭わないから本当に怖いです。
馬鹿にされた有色人種だって黙っていない。
馬鹿にされたらやり返す・・・こうして分断は大きくなるばかり。
この映画は娘を取り返す《追っかけチェイサー》がすっごく
盛り上がるんですけれど、ほとんどコメディ映画ですね。
ディカプリオが冴えない薄汚いガウンで逃亡するし、
髪は女の子のオカッパ髪を縛るようにてっぺんでまとめている。
マリファナとアルコールに溺れて終始ラリってるし、
娘第一主義で、ともかく娘を守る、
娘を愛してる、
この二つを抜かしたら出来損ないの元革命家の干物ですよ。
音楽も独創的でテンポ良く、やはり一番の見どころはメキシコの国境地帯を
背景にした風景、アップダウンの激しいハイウェイでのカーチェイスシーン。
坂道のアップダウンの使い方が画期的でした。
また「フレンチ75」幹部とのやり取りで、合言葉をしつこく
確認するシーンは
お腹の底から笑えました。
久々にユーモアと追っかけカーチェイスに痺れる見応えありの
ハリウッド映画でした。
(Dolby cinemaで鑑賞)
シンプルにつまらない
でてこいや!
めったやたらに...プッシーでした。(;´・ω・)
物語はもちろん絵でも音でも楽しめました
まさに現代アメリカンな雰囲気の中で、様々な思いや思惑が入り乱れての展開で、長い割にはあっという間だった印象です。
見た目でも楽しめてしかも力強い絵、それに勝るとも劣らない音楽と音響、劇場で楽しんで!と言わんばかりの作品でした。
個人的には、♪Dity Workが流れながら形をするシーンで一気に持って行かれたような気がするのですが、別に重要でもなく些細なシーンだったのですが、そういったちょっとしたきっかけさえあれば、かなりハマるような気がします。どうでもいい合い言葉なんて最高に笑えましたし。
演者の方々もムカつくぐらい素晴らしいパフォーマンスでしたし、ほめられた内容だとは思えませんでしたが良き作品でした。
怒涛の3時間
移民の解放と正義…
キャラが大渋滞しているものの、物語は至ってシンプルで、IMAXで観られる人は機会を大切にしよう
2025.10.3 字幕 イオンシネマ久御山
2025年のアメリカ映画(162分、G)
原案はトマス・ビンチョンの『Vineland』
革命家と警察の遺恨を描いたアクション映画
監督&脚本はポール・トーマス・アンダーソン
原題は『One Battle After Another』で、「戦闘に次ぐ戦闘」と言う意味
物語は、アメリカとメキシコの国境付近にあるオタイメサ移民勾留センターにて、革命グループ「フレンチ75」のメンバーが暗躍する様子が描かれて始まる
そのメンバーの1人・パット(レオナルド・ディカプリオ)は、仲間のペルフィディア(テヤナ・テイラー)たちとともに勾留所を制圧し、移民を解放することとなった
ペルフィディアは収容所の責任者であるスティーブン・J・ロックジョー(ショーン・ペン)を見つけ出し、侮辱して、辱めを与えた
ロックジョーは「また会うことになる」と言うものの、成功に浮かれるペルフィディアは自身の力を過信し始めるのである
その後、ペルフィディアは娘シャーリーン(Otilia Gupta)を授かることになり、パットと家族となった
だが、娘を育てることに全力のパットは革命の道から遠ざかり、ペルフィディアは娘とパットを捨てて、再び革命の道へと進んでしまう
そして、銀行襲撃の際に警備員を殺したことで、彼女はロックジョーに捉えられてしまう
彼は証人保護プログラムを提案し、ペルフィディアは「フレンチ75」のメンバーを売ることになったのである
映画は、ロックジョーが「フレンチ75」を壊滅させてから16年後を描き、パットはボブとなり、シャーリーンはウィラ(Chase Infiniti)となって、新しい生活を始めていく
ウィラはセルヒオ先生(ベニチオ・デル・トロ)のもとで空手を習うようになり、友人たちとダンスに興じることもあった
そんな中、ボブはドラッグに溺れ、不甲斐ない父親に成り下がってしまう
そして、そんな彼らの元に、再びロックジョーの魔の手が迫ってくるのである
ロックジョーは白人至上主義を掲げる「クリスマス冒険者」と言うクラブに名を連ねることを夢見ていて、かつて「フレンチ75」を壊滅に追い込んだ実績が評価されていた
だが、ロックジョーに異人種との交流の噂と、彼に子どもがいるのではないかと言う証言が見つかり、彼はそれを確かめようと躍起になっていた
そして、彼女が通っている高校のダンスパーティーを制圧するのだが、ウィラは間一髪で元フレンチ75のメンバーのデアンドラ(レジーナ・ホール)に助けられていた
その知らせはボブの耳にも入り、集合場所で落ち合うことになったのだが、パスワードが言えずに組織はボブを本人と認めない
そこでボブは、ウィラの通っていた道場のセンセイを頼ることになり、彼の仲間たちと一緒に「集合場所」を探しながら目指すことになったのである
ロックジョーはウィラを確保してDNA鑑定を行い、不一致ならば解放すると言う
だが、結果は親子として一致ということになり、ロックジョーは彼女を始末せざるを得なくなった
ロックジョーは先住民の賞金稼ぎアバンティ(Eric Schweig)にウィラの処分を言い渡すものの彼は拒絶し、やむを得ずに「1776」というアウトローを頼ることになった
アバンティは彼女を「1776」の元に届けるものの、自分たちを小馬鹿にしている彼らに対して、隙をついて殺害しようと目論む
ウィラはアバンティの計らいによって逃れることができたのだが、そこから行く宛のない旅を続けざるを得なくなってしまったのである
映画のテーマは「親子とは」というシンプルなもので、血縁的親子のロックジョーと記憶的親子のボブとの関係が描かれていく
ペルフィディアが娘の父親のことを知っているのかは描かれていないが、ロックジョーの検査によってウィラは知ってしまう
それが「あんたは誰だ!」という言葉につながるのだが、ボブは1ミリたりとも自分が親ではないなどと想いもしない
そして、16年の歳月の重みが事実をも凌駕し、ウィラとボブは親子を続けることになった
だが、ウィラは普通の人生ではなく、母の行こうとした道を歩み始め、革命活動に従事していくのである
いずれにせよ、162分の長丁場かつIMAX案件の作品なのだが、IMAXシアターで観られる人はラッキーなんだと思う
近場でIMAX上映もなく、やむを得ず通常スクリーンでの鑑賞となったが、IMAXの必要性をそこまでは感じなかった
これに関しては見比べてみないとわからないのだが、それはIMAXで鑑賞した人のレビューを参考にすれば良いと思う
登場人物が死ぬほど多く、キャラ名だけでは誰が誰だかわからないのだが、あまり重要ではないのだろう
ボブたちは移民解放を掲げる活動家で、ロックジョーはそれを取り締まる側であることがわかればOKで、移民の流入によって国の根幹が危ぶまれる中で、どのように「浄化するか」というスタンスの違いがあった
移民対策に反対する側と推進する側のどちらが正義とは描かれておらず、あくまでも対立軸としての設定でしかない
それでも、移民対策がゆくゆくは民族浄化に向かっている流れはあると思うので、そういった問題が「第三次世界大戦」を生み出す元凶になり得るという可能性を示唆しているのかな、と感じた
意外と長く感じないです。
これは現代の第三次世界大戦を描いたPTA流アクション大作だ!そして、ここにはぼくらが映画に望むすべてが詰まっている
PTA✕ディカプリオ最強タッグによるクライムスリラーでスクリューボール・コメディでチェイスアクションな満足感も満腹感も高い坩堝アドベンチャー。タイトルが全て表すように、あらゆるテーマや要素が内包された戦いに次ぐ戦いだ!!そしてすべての革命は一本の道へ繋がっていくビバ・ラ・レボリューション!
"戦闘また戦闘"。あ〜これぞ映画観たなという、どっと疲れた鑑賞体験。久しぶりに1回見ただけでは本作を表す最適な言葉を見つけられない・言い表せられないかも、そんなクレイジーな大作に久しぶりに出逢えた!カウチポテトになっているハイなディカプリオが追われる側から追う側へ、逃走劇から闘争になっていく複雑に絡み合った複合的な要素が織り成す充足感。先ずは質問に答えろ、今の時間は?スリルもラフアウトラウドも満載で、長尺にもかかわらず引き込まれること必至の"革命"的超濃厚ジェットコースターライド、これぞ映画!PTAしか勝たん。
好きな監督を聞かれたら、先ず間違いなくトップレベルに挙げるPTA!初期代表作で顕著だった彼お得意の群像劇スタイルも、本作では遺憾無く発揮されている。構成に脚本が巧みなのだけど、キャラクターも決しておざなりにしているわけでなく、特にメインの2人=ボブ✕ロックジョーがヤバいキャラ立ち!ディカプリオは何演ってもディカプリオで最高すぎるのだけど、それが演技が下手な人のそれではなくて、圧倒的に引き込まれる求心力のある熱演と存在感による彼が体現する喜怒哀楽や焦燥。『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に続いて、うだつの上がらない情けない感じ最高すぎる。また、賞レースの助演男優賞にも絡んできそうな、ノリノリにキモいショーン・ペン演じる見栄っ張り具合。ディカプリオ&デル・トロほコンビ一生見てられる名コンビ!この"只者ではない"感がエグい圧倒的なエネルギー量を全編から放つ、最高の褒め言葉としてのカオスですらある本作は、『インヒアレント・ヴァイス』以降最も満足度の高いPTA作品かもしれない。
2度、3度観たいし、その鑑賞の価値がある。疑いようのない作品としての強度。盟友ジョニー・グリーンウッドによる素晴らしいスコア。センセイと逃げる夜の後ろでずっと鳴っているところ最高すぎた。緊張と緩和みたいなサスペンスっぽさと面白おかしいコメディっぽさの共存するバランスと中和が絶妙で、なんだか背もたれにもたれてふんぞり返ってスクリーンを見るのが惜しくなるくらいずっとソワソワゾワゾワしちゃっていた。群像劇方式であっち行ったりこっち行ったり色んな要素が次々と出てきても混乱しないでまとまりながらテンポよく紡ぎ上げる編集も、撮影も最高!『F1/エフワン』ばりに車体の低いところにカメラ付けている先の見えないジェットコースターみたいなチェイスシーンのカットがもたらす落ちる感覚。そうした裏方スタッフ含めて、アカデミー賞10部門以上ノミネートも現実的な視野に、賞レースで大量ノミネートされそう・賑わせそうな作品をこの時期に日本でタイムラグほとんど無く見られる歓び!
勇気を、真の自由とは恐れないこと。スーパーマンでもバットマンでもスパイダーマンでもなく"ロケット・マン"から投げられる爆弾のように、次々と勃発する戦争・闘争の数々は、まさしく僕たち私たちが生きる世界、現代アメリカ社会。丁度、とある出来事から世界に絶望していたタイミングだったのだけど、本作を観て少しは励まされたというか自分も闘わないとなと思った。あらゆる「革命」に祝福を、そしてすべての革命は一本の道へと続きつながっていく。センセイ!ビバ・ラ・レボリューション(¡Viva la revolución!)!!
P.S. コトイチ観たかった映画!本作では『インヒアレント・ヴァイス』に続いてトマス・ピンチョンの「ヴァインランド」にインスパイアされたということだけど、以前に同小説を読んだ際にはあまりに独特なその書き方から挫折したことがある。それでも、PTAの手にかかるとここまで自分でも楽しめるくらい面白くなるのだから凄いものだなと思った。公開したらIMAXで観に行こう。そのときはボブの服装を再現して観に行きたい。ちなみにディカプリオは実年齢より10歳近く若い役柄?PTAって呼んでいるの自分だけかと思っていたけど、そんなにメジャーな呼び方なのね。
♪Dirty Work / Steely Dan
American Girl / Tom Petty and the Heartbreakers
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2回目
真の天才PTA✕ディカプリオ✕ショーン・ペン✕ベニチオ・デル・トロ✕ジョニー・グリーンウッド✕各所素晴らしいスタッフ=極上の映画館体験がクセになる!!!!!!
トム・クルーズみたいに!農園天国、じゃじゃ馬億万長者、Hジャンクション。もうどうでもいい。宣戦布告は、悪との戦いから始まり、己との戦いで終わる。
主人公は迷えるボブで、対を成すサブ主人公はショーン・ペンが歩き方や一挙手一投足からザ・軍人感を醸し出しながらそれだけに収まらない変態ロックジョー(ショーン・ペンのおかげで多層的・多面的で複雑な存在に)だけど、物語上のテーマとなる視点人物は娘のウィラ(それゆえのAmerican Girl)。
ティーンエイジャーの女の子の自分を見つける旅路の成長物語でもある。親の世代の戦いと、未来を生きる子ども世代がどう対峙するか?チェイス・インフィニティ、本作で知ったけどよかった!
そして、飄々とした魅力で奥の見えない"キモサベ(相棒)"=センセイという不思議な存在!ずっとワチャワチャしているボブとの対比。唯一無二な彼が演じることで、ここまで魅力的になるかと驚かされるし、自分もセンセイに出会いたいとすら思ってしまう。
豪華オスカー俳優3人共演というだけでなく、IMAX鑑賞で2回目を観ても、やっぱり本当に映画的な喜びに溢れている作品だなとしみじみ痛感した。最初の"宣戦布告"から全編を彩る盟友ジョニー・グリーンウッドのスコアが天才すぎる。
何が起こるかわからない先が見えないストーリーラインに、複雑に絡み合った要素とキャラクター達ながら、いざクライマックスを迎え終わってみると、小手先でなく大きく描きながらも結果真っ直ぐだなと思った。つまり、余計に複雑しないストーリーテリングの巧みさと、随所のユーモアのセンス。
すべてのキャラクターが色んな側面を体現・象徴しているよう。テヤナ・テイラーが体現する自分がこの世界に存在する意味を模索するように・居場所を探すように情熱を燃やすさまも、レジーナ・ホールが体現する母性も。
本作もまた近年の映画本編尺長時間化に見られるような疲労感と完全に無縁ではないけど、実際の尺に対しては短く感じる"あっという間"感があるし、本作の場合はその濃厚さゆえに心地よい疲労感とでも言うか、一種の中毒性を帯びてもいる。
The Revolution Will Not Be Televised
勝手に関連作品『アルジェの戦い』
つまらん
なんか巨匠の映画とかで、期待して鑑賞したが、ただのつまらん映画
デカプリオが終始ただの道化で、この監督が意識高い系のトランプ大嫌いの願望だけの
映画だった。この現代のアメリカに革命の妄想でも再現したい気持ちがありありなのか、
出てる俳優陣が可哀そう(特に変態にされたショーン・ペン)
【こんな映画作って喜んでるようじゃ、もうハリウッドも民主党もだめかもわからんね】
極左革命グループ「フレンチ75」は政府転覆を目論み、移民収容所襲撃、爆弾テロ、銀行強盗、電力網爆破などの破壊工作に勤しんでいます。いかにもハリウッドらしい派手な爆破シーンや銃をぶっぱなすシーンはてんこ盛りですが、彼らの思想は語られず精神的支柱も見当たりません。こんな集団がもし政権を奪取したらそれこそ暗黒時代に逆戻りでしょう。このご時世に暴力革命を肯定するなんて本気でしょうか。アホらしくなってきます。中国やロシアじゃないんだから。
フレンチ75に所属する若き黒人女性パーフィディア・ビバリーヒルズ(テヤナ・テイラー)さんはイケイケの革命闘士です。彼女のカリスマ性の前に、二人の白人男性がメロメロに。
一人はホワイト・トラッシュ代表ボブ・ファーガソン(レオナルド・ディカプリオ)さん。もう一人は軍人代表スティーブン・J・ロックジョー大佐(ショーン・ペン)。
前半のボブはただただパーフィディアさんに付き従い、彼女に捨てられてからは酒とドラッグに溺れ、娘がさらわれてからはその救出に生命をかける男です。自分の人生は空っぽな男で、まさにホワイト・トラッシュ。でも彼がなぜそこまでパーフィディアさんに惹かれるのかよく分かりません。
ロックジョー大佐もパーフィディアさんに一目惚れして付きまとい、ホテルに呼び出します。「来なければ活動できなくしてやるぞ!」ってなんだそれ。でもパーフィディアさんはノコノコ出かけていってノリノリで逆レイプごっこ。彼らの性癖はよく分かりません。
パーフィディアさんはなにしろ暴力とセックスに目がない女性です。全ては衝動であり、別に深い思想的背景があるようには見えません。こんな彼女のことを二人の白人男性は“英雄”として崇めます。パーフィディアさんは女の子を産みますが、彼女も父親がどっちなのか分かりません。そんなこんなでこの“英雄”は革命の大義のためにあっさりと家族を捨て、自分が捕まったらあっさりと組織を売ります。本作の“英雄”の斬新な点は若い黒人女性であることと自己犠牲なんてしないこと。新たな“英雄”像を提示して見せてくれました。
本作の斬新な点はそこだけ。英雄を黒人女性にしてそれに従うのが白人男性達と立場を入れ替えただけです。もしそうしなければただの暴力男の革命夢物語でしかなく、女性や黒人の観客はそっぽを向くでしょう。いろんな計算が働いています。
フレンチ75に対抗するのが白人至上主義の秘密結社「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」。陰謀論によく出てきそうな陳腐な組織です。ロックジョー大佐も入会を許可されます。でも黒人女性と関係を持っていたことがバレ、粛清されます。エリート白人メンバーであるティム・スミス(ジョン・フーゲナッカー)さんが直々に殺しに出かけます。エリート白人が自分の手を汚すはずないじゃん!アホくさ。
一方ロックジョー大佐は自分の手を汚しません。先住民の賞金稼ぎ・アヴァンティQ(エリック・シュヴァイク)さんを雇い、娘の居場所を突き止め、軍隊を動かし街を襲います。女子高生一人を誘拐するのに軍を動かすなんて!アホくさ。
で、やっと娘と二人きりになったロックジョー大佐はすかさずDNA検査を敢行!やっぱ俺の娘じゃん!ということで、あー、この親父、娘を守るために軍を裏切って戦うのかな―、と思って見てたら、アヴァンティQさんに娘の処分を頼みます。パーフィディアさんは崇めてたのに娘はあっさり処分。ロックジョー大佐の行動原理が分かりません。アヴァンティQさんもアヴァンティQさんでなぜか娘を逃がすために命を捨てます。なにがしたいのか分かりません!
娘とそれを追うエリート白人ティムさんとさらにそれを追うホワイト・トラッシュのボブさんの3台のカーチェースが最後の見せ場になりますが、この3台が揃うのも「たまたまそこに」でしかありません。陳腐すぎ!他にも「革命尼僧の修道院」とか、「秘密の脱出経路が張り巡らされた街」とか陳腐設定のてんこ盛り!
娘のテコンドーの先生でありボブの逃走を手助けするセルジオ・セント・カルロス(ベニチオ・デル・トロ)さんは黒人とヒスパニックの共闘を象徴する重要キャラです。でもなんで彼が協力的なのかもよく分かりません。結局自分だけ警察に捕まっちゃうし。
娘は普通の女子高生のはずですが銃の撃ち方知ってます。さすがアメリカ!銃社会!この娘が母の意思をついで次の革命闘士になっていくような、それを賛美するような、嫌なエンディングでした。
「娯楽映画」としてこれまで暴力を賛美し続けてきたハリウッド。本作ではついに暴力革命を賛美しているようにうつります。それでいいのか?アメリカ人。たしかに白人人口は減少しており、白人支配の終焉はおそらく避けられないでしょう。本作はその後の混乱を示唆するような映画でした。
極左の暴力革命の女性闘士に振り回されるダメ男を演じたディカプリオ。本作のコメディパートを一身に背負って熱演していますが、なにしろ演出が冗長なので、笑いよりも退屈を産んでしまいます。革命を支援する役を演じた彼のギャラが2000万ドルというのが最高のブラックユーモアでした。革命を描いた映画で大儲けするというビジネスモデル、新たな搾取構造、斬新です。
本作は果たしてアメリカ社会の分断と暴力を解消するのか、助長するのか。もちろん助長します。こんな娯楽映画作って喜んでるようじゃ、もうハリウッドも民主党もだめかもわからんね。
この映画を観て、極左革命組織へのシンパシーを感じるか、それとも暴力革命を怖いと思うか、どちらが多いだろうか。銀行の警備員を撃ち殺した女性“英雄”の姿に共感できるだろうか。結果的に本作は左派や白人エリート層と対峙するMAGAを利する形になったのではないだろうか。PTAはMAGAなのだろうか。陳腐なフィクションは現実社会をさらに歪めてしまうのではないだろうか。
ク◯リベラル
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