ワン・バトル・アフター・アナザーのレビュー・感想・評価
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少し長かったかな
個性的な作品の多いポール・トーマス・アンダーソン監督です。
前半は過激なテロリスト集団の破壊活動を派手に描きつつ、アメリカの陰部を冷静にとらえ、後半は親子愛をメインにロックジョーという異常な性愛者の狂気を独特の目線で見せる娯楽アクション作品でした。
暴力的なテロリストと狂気な将軍が主役なのでアクションも盛りだくさんでサスペンス調の音楽の効果もあり緊迫感のあるシーンが続きます。
コミカルなシーンもかなり多く楽しめましたが162分の上映時間は少し長く感じました。
レオナルド・ディカプリオとショーン・ペンのはこの作品でたくさんの演技賞を獲得しそうです。
おススメ度は普通のやや上。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 先ずは見事な娯楽映画であることに拍手👏一部ご都合主義な処もあるが映画好きには堪らない御馳走である。但し、娯楽映画の裏に現代社会の問題(分断、白人社会の崩壊)を孕んでいる。
①題名(“次から次への闘い”、というよりも“闘い終わって、また闘い”の方が本作のニュアンスに合っているかな?)からは、エマニュエル・トッドの最近作『西洋の敗北と日本の選択』の中にある一節“戦争は歴史家から見れば残念ながらありふれた人間的活動”が思い浮かんだ。
実際、本作の背景として(あくまでプロットを機能させる背景ではあるけれども)、現代アメリカ(世界と言っても良いけど)での移民問題(国家間の格差)や未だに残る白人至上主義、その一方での此まで白人中心の世界倫理・秩序の崩壊・終焉と新しい秩序の台頭が垣間見える。
②演出はまことに快調。全監督作を観ているわけではないけれども、本作が一番楽しく観れたと思う。(『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』はいまだに最高傑作だと思う。『ブギーナイツ』は好き、『マグノリア』『ファントム・スレッド』は秀作だとは思うけど個人的にはも一つ、『リコリス・ピザ』はも一つ面白さが分からなかった。)
③演出・脚本・撮影(カメラ)・音楽の上手さもさることながら、主演の3人のオッサン連中(でも私より年下)の巧演が堪らない。
ショーン・ペンが上手いのは当然として(それにしてもブッ飛んだ役、ショーン・ペンにしか出来ないだろうねェ)、レオナルド・ディカプリオが、『ギルバート・グレイプ』(この演技も素晴らしかった)から見始めて『タイタニック』を経て『レヴェナント』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『キラーズ・オブ・フラワームーン』、そして本作と見観て来て、何と上手い俳優になったものだと実に感慨深い。本作でも緊迫感のあるシーンなのにどこか可笑しい余裕と軽みが有って見ていて飽きない。
ベニチオ・デル・トロも、『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』でも好演であったが、本作でも助演ながらこちらもスリリングなしーんの筈なのに安定感・洒脱感たっぷりで実に上手い。
鬼気迫るような音楽と緊張感のあるシーンと、あからさまな下ネタやジョ...
ディカプリオ扮するダメ親父が右往左往する3時間
PUSSYの雷管。
アンチ警察、銀行強盗、移民支援etc.と活動する革命家“フレンチ75”の話。
白人ドM軍人に火をつけ後に捕まる妻・ペルフィディア、…それから16年後、名を変え潜伏生活を送るボブと娘ウィラだったが、ダンスパーティーのある夜に事は起こる…。
本作観る前に本サイトの全体評価見たら評価高っ!で期待、…したものの正直ハマらず。
ハマった方には1シーン1シーンが面白いだろうし丁寧に描かれてると捉えられるのかもだけど、ハマらない人間にはその1シーンが長いって印象、あの会話この会話をもうちょっと短くしたら120分もあれば収まる内容じゃない!?って感じ。
印象的だったのはピンチ、切羽詰まるシーンで流されるBGM(ピアノ)が真逆のポップな感じのBGMだったからコミカルに観れたし、笑えてライト目に見せる選曲は上手いなぁ~と思った。
個人的に面白かったのはホント終盤、白い車奪って逃げ、追っての車の奴をサクッと殺っちゃう姿、殺った相手を見るウィラの目とセリフはカッコ良かった!ラストの手渡された手紙は…あっ、はい…。(←委ね系(笑))
世の建前を激しく嘲る
ぶっ飛び&はちゃめちゃ
ぶっ飛んでいて、はちゃめちゃ。ずっとニヤニヤが止まらない。ショーン・ペンが演じるロックジョー大佐が物語のアクセルを踏みまくる。
大佐が調教されるシーンがもう大爆笑。一物をゲッラップと言われて、リスの家族が入れるくらいテントを張ってご主人様の期待に応える。拳銃を突きつけられて、それができるってドMの鑑。これがね、伏線にもなっている。
「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」とかいう白人至上主義者の秘密結社が登場するんだけど、白人であることしか誇り持てなくなった哀れな白人たちが悪あがきしている様子が面白くて、くすっとなる。
悪ノリで作ったしか思えない作品だけど、自分はこういうの大好きだからノリノリで楽しめた。終わってみるとショーン・ペンのロックジョー大佐ばかり脳内でリフレインする。
おちゃめできちゃないおっちゃんになっても魅力的なレオ様
革命家の彼女とともに活動するレオ様が
堂々としてるわけでもなく、
なんだか流れに任せてやってるだけみたいで
意志の強さみたいなものは感じず
オドオドと弱弱な感じもめちゃくちゃよかったし
どんくさいところも愛らしくて笑っちゃう。
ド変態なショーン・ペンなんて最高だった(笑)
レオ様が主役で間違いないけれど、ショーン・ペンが
7割方持って行ったって言っても過言では無いぐらい。
2人ともくたびれたおっさんになってるけど(役だが)
色気と魅力が大渋滞で大爆発でした💣💥
この2人の演技を観るだけでも一見の価値ありありのあり🐜
物語はといえばまぁうん、そうだね😅
「桐島です」の何たる浅さ。
革命の血とダメ親父の哀愁、そのすべてを笑うアメリカ
ポール・トーマス・アンダーソンがまたしても「やってくれた」という印象。正直に言えばアクション大作の顔をした極めて風変わりなブラックコメディであり、同時にアメリカという国家の過去と現在を皮肉る寓話である。観客の多くが「革命家の娘を救う父の奮闘」という表層のストーリーを追いながら、鑑賞後にじわじわと「この国の病理」を突きつけられるような後味を残すのが本作の最大の効用と感じたのでは?
物語は単純。かつて移民解放を掲げた革命組織「フレンチ75」のメンバーであったパット=ボブ(レオナルド・ディカプリオ)が、16年の潜伏を経て娘ウィラと静かに暮らしている。だが、過去に辱めを受けた収容所長ロックジョー(ショーン・ペン)が再び現れ、娘を拉致する。父は立ち上がり、国境を越えて追走し、最後に娘を取り戻す。表向きはそれだけである。しかし、その背後に潜む「血の真実」が、映画をただの人情アクションからねじれた寓話へと転化させる。
ウィラの実父はボブではなく、ロックジョーである。DNA鑑定というあまりに生々しい小道具で明かされるこの事実は、血縁と時間、記憶と現実の対立を露骨に観客へ突きつける。16年間育ててきたボブは、娘から「あなたは誰?」と問われる。しかし彼は一度たりとも自分が父ではないとは思わない。ここで観客が笑うのは、ディカプリオの間の抜けた演技だけではない。アメリカ社会そのものが「血の純潔性」と「共同体の記憶」という二つの価値を揺らし続けている事実を想起するからだ。トランプ支持層がこの映画を観て「だからリベラルは危険だ」と騒ぎ立てるだろうと危惧されるのも頷ける。
ショーン・ペンのロックジョーは、不死身の軍人でありながら変態的な白人至上主義者として登場し、屈辱の記憶と性倒錯を抱え込んだ悲喜劇の化身である。最後は呆気なく殺されるが、その過程で彼が放つ滑稽さと哀愁は、アメリカの極右運動そのものが孕む滑稽さに重なる。極左的な革命も極右的な人種主義も、等しく「狂気」として提示するP.T.Aのバランス感覚は、皮肉を超えてもはや諧謔の域に達している。
そして何より重要なのは娘ウィラ。彼女は被害者でありながら、革命家の血を受け継ぎ、自ら銃を取り、逃走と闘争を繰り返す。最後に父ボブに抱きつきながらも、選んだのは「普通の生活」ではなく「母ペルフィディアの道」であった。つまり、戦いは終わらない。タイトルが示す通り、バトルに次ぐバトルが世代を超えて繰り返される。ここにあるのは救済ではなく、むしろ「闘争の連鎖」というアメリカの業そのものである。
ディカプリオは『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に続き、どうしようもないダメ男を演じ切り、ついに「ダメ親父役者」としての境地を完成した。メイクでハゲ散らかした中年を演じながら、娘に小馬鹿にされ、合言葉を忘れ、情けなくも走り続ける。だが、その哀愁にこそ観客は笑い、同時に共感するのだ。ベニチオ・デル・トロ演じる「センセイ」や、革命仲間の断片的な登場人物たちも、どこかで世界の縮図を茶化すスパイスとして機能する。
結局、この映画の問いはシンプルである。「親子とは何か」。血縁か、記憶か。国家とは何か。理想か、現実か。アンダーソンはその答えを提示しない。むしろ「戦い続けるしかない」という不条理を笑い飛ばすことで、アメリカ社会の虚無を描き切った。観終えた後、笑いながらも背筋が冷える。いやはや、いや最高ですね。
極上のエンタメブレンド珈琲
ストーリー、アクション、音楽、コメディ&社会問題的要素……全てにおいて完成度が高い作品であると感じました。なんというか極上のエンタメブレンド珈琲を飲んだ感じ。
最近の映画は3時間近い長尺作品も珍しくないですが、ラストまで飽きもせず鑑賞できる体験はなかなかありません。長尺作品としては最近、鬼滅の刃、国宝を観ました。どちらも途中で何度か時計を見てしまったのですが、この作品に関してはそうしたことはなく、ホントあっという間に3時間が過ぎた感じです。
レディオヘッドのメンバー、ジョニー・グリーンウッドによる音楽センスもよく、登場人物の心情をうまく表現したようなコミカルな音が使われていたりと、心に深く残りました。
時間を空けてもう一度観たい作品ですね。
面白すぎて脳がバグる
こんなにエンタメに仕上がってるポール・トーマス・アンダーソン作を見れるとは、しかもこんなにずっと興奮が続く映画とはっ!で脳が狂うよ!?となりながら鑑賞しました。
ディカプリオが腰が砕けながら右に左に歩いて走って移動する、ただそれだけと言いきってもいいくらいの映画ですが、とにかくその様、動き、表情が素晴らしいです。
娘の身体の動きの軽やかさ聡明さとの比較で、情けない左翼革命家崩れのディカプリオがとにかく愛おしく、チャーミングですらありました。
ショーン・ペンやデル・トロ、ハイムの!など、他の役者陣も素晴らしかった。
ラスト近く、何故か生きてたショーン・ペンの歩き姿はまじで最高に狂ってて良かったですねー。
カーチェイスの手前←→奥の関係の望遠ショットはもう痺れました。
思い返せば、ファントム・スレッドでの闇夜の猛スピードで飛ばした車のシーン、リコリス・ピザでの静かなカーアクションからして、PTAは車シーンめちゃくちゃいい監督でしたね。
笑えて、興奮して、最後は泣ける、素晴らしい娯楽作でした。
こんな完璧な娯楽作品、次にいつ見れるかわからないので、なるべく何回も劇場で観たい!
お二人さん、お久しぶりです。
悪人と狂人と
物語が進行するにつれて、どんどん面白くなった
ポール・トーマス・アンダーソン監督作品を初めて鑑賞。冒頭から革命軍の宣戦布告が描かれ、米国国境問題や中絶禁止法、白人至上主義的要素など何やら政治的メッセージも感じるなぁと思いながらも、
主人公が追手から逃げながら、娘と再会できるかというシンプルな内容でとても楽しめた!✨️
序盤は性的な描写やセリフが多かったが、変態軍人が殺しに来る辺りから、一気にスピード感溢れ、目が離せない展開になった。長い長い逃亡と闘いの末に主人公が娘と再会できたシーンには感動した😭
知ってる俳優では、
主人公を演じたレオナルド・ディカプリオは、クールで落ち着いた演技のイメージがあったが、『ワンス・アポン・ア・タイム〜』や今作でも、落ちぶれた奴として奮起する役も多いと見受ける。この頼りないんだけど、娘を愛する真っ直ぐな役も似合ってると思った。
ベニチオ・デル・トロは、登場時間は長くはないが、ベニチオらしい、おいしい良い役だった。
そんな中でも、やはり変態軍人を怪演したショーン・ペンのインパクトはひときわ際立っていた。
変態すぎるかつ、真顔でどこまでも追いかけて来る感がサイコパスで怖かった💦
一方、彼が所々魅せるコメディ感。捕まえた女の子に逃げられそうになる描写や殺されかけボコボコフェイスになってでも、地下組織の入会を諦められず自ら殺されに行く描写(軍人なら自分を殺そうとした相手の情報ぐらい分かるだろう(笑)には間抜けで愛嬌さえも感じてしまった。
ストーリーも役者の演技も良く、映画館で見て良かった1本!(ピアノ🎹?のサントラも良い)
時代に逆行する「自称リベラル」的大傑作
登場する人の誰にも感情移入できない
引っかかりが何もない
というのがこれほど苦痛なのかというのを久しぶりに思い出した作品。
自称リベラルな人々によるメディアを使ったあまりにもあまりな他者批判・自己弁護の印象操作は、日本より欧米でかなり酷い状態でしたが近年、その揺り戻しが起きています。
どちらも日本じゃ観測し難い事象ですが、海外エンタメニュースをウォッチしていれば、この作品が倉庫にしまい忘れてウッカリ店頭に並んでしまったそのテの「傑作」であることはすぐ分かるでしょう。かつてのようにゴリ押しするには勢いが足りませんよ今は。
「異なる意見の人々との対話を重視する言論人を弾丸で黙らせる」という、どうしようもなく民主主義を完全に否定する痛ましい事件が起きた直後に、
暴力革命を礼賛する人々が主役で、国境と国民を守ろうと献身する人々を徹底的に愚弄し嘲笑する映画を公開するとは呆れてものも言えません。
大体「不法」移民がまずいんだと何度言えば分かるんでしょうこの手の人々は。
不法に入って来たという弱みにつけ込まれてべらぼうに安い賃金でこき使われる未来か、そもそも働かず働けず大盤振る舞いの社会保障を齧り倒すか犯罪組織に入り治安を悪化させる未来しか無い(実際そうなっている)本人達も、
仕事の領域が丸被りな上にダンピング料金で仕事をやられちゃうお陰で、本来得られる仕事に溢れたり猛烈な賃下げ圧力に巻き込まれて貧困化したりする「正当な手続きを経たまっとうな移民」の方々も、どちらも地獄を見る未来しかないのに、
表面しか見ていないおハイソな人達は豪邸のプールで寛ぎながら、ボンヤリした「移民が虐げられているのを庇うボクら」を発信してご満悦なんて救えませんよ。
「これは映画なんだし、一番痛い革命家は酷い人間として描かれてるじゃないか、バランスも取れている」と思い込もうとしましたが、やっぱ無理でした。結局全体的にWASPは○ね、革命万歳!になっちゃってるもん。
そもそもほぼ軽蔑すべき人物しか出てこない、見てて楽しい部分が何も無い映画というのはそれだけで苦痛だし、重ねて思想的にも間違い続けているとなれば拷問です。
終盤のカーチェイスの決着だけは「おぉ」と思うものがありましたがそれだけ。この長い拷問で得たものがそれだけという事実が更にきつい。
グレタ・トゥーンベリ女史なら大絶賛するんじゃないでしょうか。
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