「次から次へ、世代から世代へ」ワン・バトル・アフター・アナザー 野々ノノノさんの映画レビュー(感想・評価)
次から次へ、世代から世代へ
何が面白いのか、言語化するのが難しい作品だけどかなり面白かった。系統としてはパルプフィクションに似て、なんかよくわかんねぇけどめちゃくちゃ面白いぞという感じ。ただ、黒人差別とその是正のために立ち上がる人々(あるいはその渦中で生きている人々)という大きな主題があって、一辺倒にエンターテイメントな映画で収まっていない。
面白かった一番の要因を考えると、まずテンポの良さが上がった。大きく2章に分けられる映画だと思うが、タイトルが示すように次へ、さらに次へ展開がポンポン進んでいく。密度濃く、飽きはない。大きな事件から大きな事件へ、運命が終息していきながら予想を裏切る展開も織り込み、気づいたら映画が終わっていたという感じだった。
それらの物語を引き立てる登場人物もまた魅力的だった。人間味、野性味溢れる登場人物たちがそれぞれの信条やら欲望やらではちゃめちゃに物語を掻き回していくのだが、破綻せず映画を通して一つの核があった。なにより主人公であるお父さんのキャラクターが素晴らしい。ダメ親父で、彼がいることで話の筋が進んだりするわけでもないのだけど、この主観だからこそ生まれた面白さで主題を重苦しくもさせない。ほとんど失敗ばかりで肝心なところでも役に立たない。お調子者で酒浸りの中年親父。だが、それでいい。ジェットコースターのような展開のめまぐるしさを先頭に座って全ての風を受けきっている感じがした。
そしてまた次の戦いへ。でも、その世代は次へ渡されているというのもいい終わりだった。
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