「やば」ワン・バトル・アフター・アナザー SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
やば
なんかすごい映画を観たな、って感じ。
父親が娘を取り戻す話、みたいなあらすじを聞いた時、正直ありきたりで面白そうに思えなかった。でも、ディカプリオが主演で面白くなかったことないしな…、と思って観ることにした。
で、これはかなりの問題作というか…。少なくともこれは日本では作れなかった映画だと思う。それは、「テロ組織が正義として描かれてしまっている」から。で、このテロ組織はけっこー人命を軽視してる感じで、観てて変な意味ではらはらする。
テロ組織の敵役は陰謀論に出てきそうな組織。政府組織の中枢に入り込んでて、KKKみたいな白人至上主義者。これもけっこー問題ある設定だと思う。
そもそも物語の発端はメキシコの移民問題なわけで、現実の政治問題だと思って観始めるのでそのあとの展開がえぐくて…。
「ジェントルメン」みたいな完全に非現実的な世界観の物語だったら、殺し合いがどんなに凄惨でもあんまり気にならないのだけど、この映画の世界観て変な意味で現実的でなまなましい。
この映画の世界観が反政府的な考えを持っている人の妄想だとしたらめちゃくちゃこわい。
でもこういう映画が成立しちゃうくらい、今のアメリカってすごく分断が進んでるってことなんかな…。
この映画のストーリーを俯瞰で観ると、ヒーローものとしても観れる、というのも面白い。母親はヒーローの能力を持っていて活躍していたが敵の手に落ちて仲間を裏切ってしまう。そして敵との間に娘をもうける。娘は呪われた血筋に悩むが、覚醒してヒーローの能力を顕現させる。敵組織はまさに秘密結社そのもので、ショッカーみたいな感じだし。
あと、情けない父親を演じるディカプリオがとても良かった。
この映画で一番驚いたのが、「お前死んでなかったんかい!」と誰もがつっこんだであろうところ。これって「敵組織は未だ健在ですよ」、ってのを後のシーンで示すために必要だったのだろう。
些細なことだけどちょっと気になったのが携帯型の遺伝子検査キット。こういうものが現実にあるのか調べてみたら、電気泳動と小型遠心機とPCRマシンが一体になっている製品が実際に存在した。
でも実際に遺伝子検査するとなったら、映画のように電気泳動に時間がかかるのではなく、PCRに時間がかかるはずだし、電気泳動の結果も変だったので、ちょっとリアリティがないなー、と思った。
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