劇場公開日 2025年10月3日

「優れた脚本と監督に演技派の豪華俳優陣、癖になるのも頷けます。」ワン・バトル・アフター・アナザー かっちょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 優れた脚本と監督に演技派の豪華俳優陣、癖になるのも頷けます。

2025年10月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

単純

3時間近い上映時間にも関わらず長さを全く感じさせず、あっという間に感じるくらい没入感があるのですが、内容はひたすら直線的に突っ走っていく特に捻りもない単純明快なストーリーです。正直、この物語を語るだけなら90分でも十分なくらいです。にも拘らず、この作品が面白いと感じるのは、豪華俳優陣を光らせるための細かいプロットが秀逸であるところです。つまり脚本が優れているのです。演技派と言われる豪華俳優陣が沢山出演しております。ディカプリオ、ショーン・ペンにベニチオ・デル・トロ等々、一人一人の演技がとても印象に残ります。先ず、ディカプリオは流石ですね。彼が出演しているだけで作品の質が向上する感じすらします。元革命家で娘想いの憎めないダメ親父の役ですが、そもそも心根が優しいのか、ジャックニコルソンのような強面の風貌であっても人の良さが出るようで、まだ実際に結婚はされていないと思いますが、ジャンキーで自堕落な生活を送っていて情けない姿ではあるものの、不器用ながら必死に助けようとする娘愛に溢れる良きパパ感が滲み出ていました。電話で革命家の同僚とやり合うところは真骨頂でしょう。タランティーノ作品のようなテイストが出てましたね。演じる俳優からすると溜まらない設定ということになると思います。演じていて楽しかったと思いますよ。次にショーン・ペンですが、演技派でありながら、ここ最近のシリアスな役柄だと彼のカリスマ性が封印されているようで、良さを殺している感が否めないと常々勝手に思っておりましたが、今回の役は“ロックジョー大佐”名前から最高ですね。彼がデビューしたての頃に出演した『初体験/リッジモント・ハイ』という作品で能天気でドラッグ好きな兄ちゃんを演じてましたが、何とも惚けた感じで印象に残る魅力的な役柄でした。その頃を思い起こさせるような憎めない変態警官をカリスマ性のある演技で魅せてくれます。ベニチオ・デル・トロは相変わらずカッコいい。とは言え今回は空手を教えるプエルトリコ人(スペイン人?)師範役で“ 呼吸が足りない”とか言って笑っちゃいました。不法移民を手助けする隠れ蓑としては確かに最適な設定かも知れません。脇役とは言え強烈な印象を残します。テヤナ・テイラーは元々アーティストですから、存在自体にカリスマ性があります。そして、娘役のチェイス・インフィニティのナチュラルな演技にはとても引き込まれましたね。良い女優さんだと思いましたよ。あと、俳優の名前は分かりませんが、尋問する警官役の方も印象深い演技で上手かったと思います。優れた脚本に優れた演出家(監督)、この監督の作品をしっかりと鑑賞したのは本作とゼアウィルビーブラッドとザマスターの3作品だけなのですが、演者の魅力を引き出す手腕が素晴らしい。俳優がこの監督の作品に出たがるのも頷けます。前文にも書きましたが内容は単純明快な群像劇にも似たクライムアクションハートフルコメディなのですが、移民問題や人種差別などシリアスな社会問題の要素も含んでおり、実際、作中の「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」のエピソードなどにもある、保守的な考え方に対する露骨な表現の仕方が保守派政治家から批判が出るくらいです。本作はリベラル志向の要素を含みつつも、“これは映画だから真剣にならないでね”という、監督の惚けた感じも見え隠れします。私なりの解釈としては、クウェンティンタランティーノ監督はエッジが立ってカッコ良さがあるのですが、ポール・トーマス・アンダーソン監督はシリアスなテーマを扱っていても温かみと丸みを感じさせてくれますね。リアリティに惚けたテイストを絶妙にブレンドさせる独特な作風です。稀有な映画監督だと思いますよ。

かっちょん
レオさんのコメント
2025年10月19日

まるでレオが悪いような意見が多いように思いますが、責めるのであれば、この映画を作った監督や脚本家だったりする訳で、演技は俳優たちは最高に演じていたと思います。私は満足です。

レオ
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。