「よくよく考えると実にくだらないことなのに、 緊張感が溢れる逃走劇」ワン・バトル・アフター・アナザー asukari-yさんの映画レビュー(感想・評価)
よくよく考えると実にくだらないことなのに、 緊張感が溢れる逃走劇
タイトルだけを見れば不評に見えるかもしれない。しかし本作を観て、頭の中で物語がつながっていくうちに「なんと下らんことに大層なことしでかしとんねや!」と考えるに至る。
しかし、そのくだらなさを曲者しかいないキャラクターが、緊張感が持続するカメラワークが、演出が、すべてを面白い方向へ転がしていく・・・。見終わった感想は、
「このぶっ飛んだくだらなさが面白い!!」
主演のディカプリオのハチャメチャ感、名優:ショーン・ペンの変態感、スマート感あふれるベニチオ・デル・トロ、変にミステリアス感と情熱さと自己中さを併せ持ったテヤナ・テイラーに、マジで巻き込まれただけで不運も生き抜く力がすごそうなチェイス・インフィニティ(名前から凄そう(笑))。ほかにもまだまだ一癖二癖持ち合わせるキャラクターがうようよ出てきて、それらが無駄なく暴れまわっている。そしてそれらに緊迫感、緊張感、焦り、不安というスパイスをふんだんに盛り込み、それらがケンカすることは一切ない。もう見事な演出、見事なカメラワークというほかない。特にクライマックスのカーチェイスなんか重力さえ感じてしまうってから自分としては驚きしかない!監督のポール・トーマス・アンダーソンが作る映画は良質ぞろいと聞くが、実はこの監督作品を観るのはこれが初。でもこれはすごいわ!ほかの作品も見たくなってしまいました。
また、ストーリーは「くだらない」と言っても、“移民問題”や“黒人差別”を描いてるとこを見るからして、しっかり今のアメリカの社会問題に対しても提議しているように思うところから、「ただのアクションコメディ」に終わらない。現実問題を見つめ、そこを風刺するようにくだらなく面白く描いているところに、本作の魅力があると思います。
いや、ホンマに今考えても「くだらなくて面白い!!」普通の作品にはない魅力を存分に楽しめる本作。これはおすすめ!
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
