「豪華薄味ワンプレート映画」ワン・バトル・アフター・アナザー ひみあさんの映画レビュー(感想・評価)
豪華薄味ワンプレート映画
ディカプリオ×ペン×デル・トロの豪華食材で「これは贅沢!」と高評価を付けたかったのですが…、
すみません、どうにも満腹感が得られませんでした。
カリスマ女性革命家の思想もポジションもぼんやりしたまま、ディカプリオの革命家堕ちも説明薄く、父娘愛や無償の救出劇という“ハリウッド定番の味”の中で満たされない感じが拭えません。
次々と襲いかかる刺客たち、ディカプリオが娘のために数々の困難を乗り越える……のかと思いきや、その熱血度は控えめ。娘のほうがよほど乗り越えます。
物語は移民問題など現代アメリカのディープな社会背景を下敷きに進みますが、冒頭から観客を置いてけぼりにしてしまう構成…(隣席の女性が冒頭から3/4くらいまで爆睡してました)。
警察の腐敗やメキシコ国境の張りつめた緊張感、秘密結社や謎の修道院などエッジの効いた要素は揃うのに、どこか演出もストーリーも薄味です。ポリコレ”への配慮にもモヤモヤ感が…。
豪華俳優陣の演技はさすがも、脇キャラ含め皆どこか印象が薄く、緊張感やドラマの厚みが感じられません。スタイリッシュな映像や多ジャンルの挿入曲など、雰囲気作りは巧みでも、本筋のハラハラドキドキは弱め。カーチェイスや撃ち合いの緊迫感は抑えめ。振り切ってるのはショーン・ペンのキャラのみ。
監督の作風や批評性には惹かれるものの、没入感は今ひとつ。個人的には「面白かった!」とは言いづらい複雑な一作です。
マイルドなコメディ―、そして社会派風味の新感覚ヴィーガンシネマ――好きな人には刺さると思います。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。