「アメリカ映画らしい快作」ワン・バトル・アフター・アナザー luna33さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ映画らしい快作
「これがアメリカ映画の面白さなんだよな~」と鑑賞直後に思わず呟いてしまった。この感覚が正しいかどうかは分からないが、とにかくそう思わずにはいられなかったのだ。さらに言えば、いわゆる1960年代の「アメリカン・ニューシネマ」の懐かしい匂いがプンプンするように感じたのは果たして僕だけだろうか。ちなみに僕の生涯一の作品は大昔に観た「明日に向かって撃て!」なんだけど、あれから何十年も経った今でもこれだけはなぜか更新されていない。今回もまた更新こそ出来なかったが(笑)、それでもこの作品が小気味よい快作である事は間違いなく、まあまあ長めの尺ながら最後までダレることなく一気に走り抜けたのが心地良かった。
ところでPTA作品は今回が初めてだったが、まんまと引き込まれてしまったという印象で、軽くて浅くて分かりやすくてテンポが良くて痛快だから何も考えずにどんどん楽しくなってくる。良い意味で「中身がない」のだ。ハードな設定だけど深く考えさせられるわけでもないし、大した伏線回収もなく単純な構成でこれといったメッセージ性などもない。でもそれが絶妙に心地良いのだ。シンプルだけどテンポが良くて人物が魅力的で「絵力」も強い。浅いけど雑じゃないのだ。深く考えずに楽しむとはこういう事なんだと改めて気付かされる。あくまでも僕の感覚だが、これに近い心地良さを感じたのは「ベイビーわるきゅーれ」かも知れない。もちろん両作のテイストは全く異なるが、ハードさと緩さが上手く共存する心地良さという意味では距離感が近いように感じた。
人物的にもみな魅力的だ。ボブ(ディカプリオ)の情けなさ、頼りなさが何とも味わい深い。隣のビルに飛び移ろうとジャンブして落ちるわ、合言葉は全く思い出せないわ、おまけにラストさえも娘が大活躍するだけで自分は何ひとつ戦ってない。それどころか娘に撃たれかねないほどマヌケなタイミングだ。ボブは結局のところ常に誰かに助けてもらってるだけで、自分では何ひとつ「成し遂げていない人生」なのだ。最後の最後まで情けなく、それでも結局は何とかなってるのが本当に面白い。
ロックジョーという男もまたユニークだ。あの強靭な肉体と不気味さとしつこさ、思考の偏りがとにかく気持ち悪い。途中から何だかあの歩き方さえも不気味に思えてくる。自分が父親だと分かった時の「我が子」に対する反応があまりに予想通りで、こいつマジでイカれてるんだな…と確信する瞬間だ。最後の死に方も奴にふさわしい。あのヤバさはショーン・ペンにしか表現できなかった気がする。さらに振り切った母親、その血を継いだ勇敢な娘、加えてボブの逃走を手助けするデル・トロもまた味わい深い。さほど深い物語ではないのに全ての人物が魅力的だからこそ痛快な作品になったように思う。
あともうひとつ強く言いたいのが、最後のカーチェイスの素晴らしさ。何もない一本道だけど高低差が激しく、互いの車が見えては隠れ、隠れてはまた見える。このドキドキする見せ方には「この手があったか!」と感動すら覚えた。これは映画史に残る名場面だと思うほど印象的なシーンだった。
とにかく最後まで大満足で、他のPTA作品も早速観なきゃ!という感じでした。
こんにちは
楽しかったですね。
ディカプリオの情けなさ、頼りなさ、
ショーン・ペンのロックジョー、
〉思考の偏りがともかく気持ち悪い・・・
かなり苦手な男です。
そして何より、カーチェイスですね。
あのアップタウンのシーンと、利用法、
画期的ですね。
素晴らしいレビューです‼︎
全くを持って同感でございす。
そうかぁ… アメリカンニューシネマの匂いかぁ…確かに!的を得たなり‼︎ だからこの映画は刺さったのか⁉︎ 妙に納得です‼︎
ありがとうございます♪
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