「面白い! が、歯にものが挟まる?」ワン・バトル・アフター・アナザー くめいさんの映画レビュー(感想・評価)
面白い! が、歯にものが挟まる?
かつて革命家として活動していたボブ(ディカプリオ)が、拉致された娘を取り返すために奮闘する話。予告を観る限りパスワードを忘れていたり車から落とされたりと少し体当たりなコメディ感もある。
母親はどうしているのか、なぜ娘が拉致されるのかといった話が明かされていくがこれが結構面白い。ショーン・ペンがチラシで『変態軍人』と書かれていたがここまで重要な設定だったとは……。という感じ。
この映画で実質主人公ムーヴするのは娘の方で、ディカプリオは周囲に引き回されているような感じ。昔の仲間を頼って、指示されて…という感じ。
違和感を感じたのは特に音楽の使い方で、詳しくないのでジャンルは分からないが場面から浮いたような、奇妙なピアノ音が目立つ。
恥ずかしながらポール・トーマス・アンダーソン監督の作品は観たことが無いけれど、画の作りといいもっとドラマ感ある作品が得意な作風のような気がした。
ただ、その違和感が少し独特な映画として成立させているようにも感じた。シナリオと演出は文句ないし、派手ハデなエンタメに振りすぎてもいない。映像も高いレベルで纏まってはいるけど音楽の違和感をどう解釈するかは結構評価の分水嶺になるかもしれない。
先述した『エンタメに振りすぎていない』にかかわるけど、この映画のストーリーの肝になっているのは『社会的弱者に対する搾取』『移民への排斥』『人種差別』といったキーワードで、今だアメリカに残る問題が前面に出されている。
それだけに地味な画面がむしろリアリティを感じさせる。
かなりヒットしているようだし、これが話題になってもう少し日本でも洋画が観られるようになってくれればと思う。
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