劇場公開日 2025年10月3日

「ショーン・ペン、助演男優賞を獲得?」ワン・バトル・アフター・アナザー くまねこさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ショーン・ペン、助演男優賞を獲得?

2025年10月4日
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鑑賞方法:映画館

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「ワン・バトル・アフター・アナザー」丸の内ピカデリーのDolbyCinemaで公開2日目に鑑賞。
ポール・トーマス・アンダーソン監督、レオナルド・ディカプリオ主演。ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロなどの名優も出演。

タイトルは”闘いそしてまた闘い”現代のアメリカ🇺🇸社会そのものを描くアクション映画。差し込まれる小さなコメディも良い。

ディカプリオ演じる、父であり元過激な革命軍の男ボブが、脅威からの逃走の中で娘を守るためにひたすら戦うストーリーは着地点が見えず、一瞬たりとも目を離せないほど魅力的。観客を間延びさせないタイトな編集が素晴らしい。

特筆すべきは、俳優陣の快演と怪演!変態軍人役のショーン・ペンの怪演、ディカプリオの愛娘役、チェイス・インフィニティという逸材の発見は収穫だった。2人ともアカデミー賞助演男優賞、女優賞ノミネートを予見させる演技だった。

★表面的には、現在のトランプ政権と移民問題、差別、格差等の問題に取り組んだ見立てだが、大きな柱として、家族、父親から娘への限りない愛情ストーリーが本作の屋台骨なのが素晴らしい。
(※穿って見れば、あからさまな政治批判を嫌がるワーナー・ブラザースへの配慮、そして米アカデミー賞等の賞レースへの目配せを考慮してる点がとても賢い)

極右と極左、移民当事者の闘争の中を、何もかも中途半端で不器用なディカプリオがひたすら愛だけを頼りに右往左往するという彼のキャラクターが秀逸。美少年だったレオ様がたどり着いたのがかわいいダメオヤジというのが好きだ。

愛娘ウィラ(チェイス・インフィニティ)の友人たにが訪ねてくるシーンで、父親ディカプリオが面倒臭い老害おっさんの様に振る舞う姿が可笑しい。元革命戦士のくせに、思想は保守的なのもギャグに映る。

変態軍人役のショーン・ペンが頭髪真っ白でお爺ちゃん姿に驚いた。(調べたらまだ65歳とな)
思想的には極右と極左を行き来する、あの変態軍人のキャラクター造形が興味深い。
移民排斥こそ世界平和への道と信じる謎の人種主義団体、”クリスマス冒険者クラブ”への入会を目指す極右思想が人としてブレてて可笑しい。

あの簡易DNA検査キットを使った親子の血筋確認シーンも味わい深い…

念願の“クリスマス冒険者クラブ”入会直後の彼の運命の到達点の哀しさ(…。)が非常にせつない。
ベテラン俳優にしか醸し出せない円熟味を感じる。(テヤナ・テイラー演じる革命戦士の黒人女性に恋してしまう白人軍人という設定が肝かも)

ラストのウネウネした道路を使った独特のカーチェイスが素晴らしいが、臆せず堂々と演じ切った新人女優、チェイス・インフィニティのアクションと機転の利いた賢さにも拍手したい👏。

(備忘録)
今回もレディヘッドのジョニー・グリーンウッドが劇伴製作を担当。様々なジャンルを行き来した劇伴はどれも良いが、一捻りした印象が残る。
中盤、ディカプリオが木々に転落ちるあのシーンまで10〜15分程続く、不穏な不協和音JAZZのピアノの調べが特に印象的だった。

#ワンバトルアフターアナザー

くまねこさん
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