「ショーン・ペンのギラギラ体現とカオスを楽しもう」ワン・バトル・アフター・アナザー グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
ショーン・ペンのギラギラ体現とカオスを楽しもう
性欲、権威(この映画の場合は警察機構という国家権力)を背景に偉そうに振る舞う、栄達、名誉…。
高度成長期からバブルの頃まで、多くの男がギラギラと追いかけていたものばかり。当時は〝自分探し〟なんてまどろっこしい概念は一般的ではなかったし、大企業だろうが、中小企業だろうが、個人事業主だろうが、それなりに帰属できる居場所があって、それぞれの場所で、人生に懐疑的になることもなく、ただ昇るためにもがいてる男が多かった(という気がする)。
なんとなく社会の常識に馴染めないような人達も〝印度放浪〟とか〝深夜特急〟とか〝朝日ジャーナル〟とかよく分からないけど一目置かれるような何かには不自由しなかった(と思う)。
昨今は、草食系男子とかジェンダー概念の多様性という背景もあり、ギラギラしてる男なんてイメージすることも難しい。
下手をすると、ギラギラというのは、単純な支配欲によるパワハラとかセクハラとかの方面でのみ認知されて、とんでもないネガティブなイメージの代名詞になりかねない。
この映画におけるショーン・ペンは男の負の面を余すところなく体現してるみたいで、私のような男性鑑賞者にとってはとても居心地が悪い。
それはそれとして、映画としてはかなり面白い。主要人物が皆んな最高レベルに濃くて目が離せない。
最高レベルに濃いということは、それぞれの行動に合理性なんてないのが当たり前なので常識に照らした違和感なんて起きようが無い。ただ、破茶滅茶なカオスを楽しめばいい。
道路の起伏を上手く使った終盤のカーチェイスはなんてことないように見えるのに、かなり見応えがあって、ほう、こういう方法もあるんだ、と思わず膝を打ってしまう。
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