「キャラが大渋滞しているものの、物語は至ってシンプルで、IMAXで観られる人は機会を大切にしよう」ワン・バトル・アフター・アナザー Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラが大渋滞しているものの、物語は至ってシンプルで、IMAXで観られる人は機会を大切にしよう
2025.10.3 字幕 イオンシネマ久御山
2025年のアメリカ映画(162分、G)
原案はトマス・ビンチョンの『Vineland』
革命家と警察の遺恨を描いたアクション映画
監督&脚本はポール・トーマス・アンダーソン
原題は『One Battle After Another』で、「戦闘に次ぐ戦闘」と言う意味
物語は、アメリカとメキシコの国境付近にあるオタイメサ移民勾留センターにて、革命グループ「フレンチ75」のメンバーが暗躍する様子が描かれて始まる
そのメンバーの1人・パット(レオナルド・ディカプリオ)は、仲間のペルフィディア(テヤナ・テイラー)たちとともに勾留所を制圧し、移民を解放することとなった
ペルフィディアは収容所の責任者であるスティーブン・J・ロックジョー(ショーン・ペン)を見つけ出し、侮辱して、辱めを与えた
ロックジョーは「また会うことになる」と言うものの、成功に浮かれるペルフィディアは自身の力を過信し始めるのである
その後、ペルフィディアは娘シャーリーン(Otilia Gupta)を授かることになり、パットと家族となった
だが、娘を育てることに全力のパットは革命の道から遠ざかり、ペルフィディアは娘とパットを捨てて、再び革命の道へと進んでしまう
そして、銀行襲撃の際に警備員を殺したことで、彼女はロックジョーに捉えられてしまう
彼は証人保護プログラムを提案し、ペルフィディアは「フレンチ75」のメンバーを売ることになったのである
映画は、ロックジョーが「フレンチ75」を壊滅させてから16年後を描き、パットはボブとなり、シャーリーンはウィラ(Chase Infiniti)となって、新しい生活を始めていく
ウィラはセルヒオ先生(ベニチオ・デル・トロ)のもとで空手を習うようになり、友人たちとダンスに興じることもあった
そんな中、ボブはドラッグに溺れ、不甲斐ない父親に成り下がってしまう
そして、そんな彼らの元に、再びロックジョーの魔の手が迫ってくるのである
ロックジョーは白人至上主義を掲げる「クリスマス冒険者」と言うクラブに名を連ねることを夢見ていて、かつて「フレンチ75」を壊滅に追い込んだ実績が評価されていた
だが、ロックジョーに異人種との交流の噂と、彼に子どもがいるのではないかと言う証言が見つかり、彼はそれを確かめようと躍起になっていた
そして、彼女が通っている高校のダンスパーティーを制圧するのだが、ウィラは間一髪で元フレンチ75のメンバーのデアンドラ(レジーナ・ホール)に助けられていた
その知らせはボブの耳にも入り、集合場所で落ち合うことになったのだが、パスワードが言えずに組織はボブを本人と認めない
そこでボブは、ウィラの通っていた道場のセンセイを頼ることになり、彼の仲間たちと一緒に「集合場所」を探しながら目指すことになったのである
ロックジョーはウィラを確保してDNA鑑定を行い、不一致ならば解放すると言う
だが、結果は親子として一致ということになり、ロックジョーは彼女を始末せざるを得なくなった
ロックジョーは先住民の賞金稼ぎアバンティ(Eric Schweig)にウィラの処分を言い渡すものの彼は拒絶し、やむを得ずに「1776」というアウトローを頼ることになった
アバンティは彼女を「1776」の元に届けるものの、自分たちを小馬鹿にしている彼らに対して、隙をついて殺害しようと目論む
ウィラはアバンティの計らいによって逃れることができたのだが、そこから行く宛のない旅を続けざるを得なくなってしまったのである
映画のテーマは「親子とは」というシンプルなもので、血縁的親子のロックジョーと記憶的親子のボブとの関係が描かれていく
ペルフィディアが娘の父親のことを知っているのかは描かれていないが、ロックジョーの検査によってウィラは知ってしまう
それが「あんたは誰だ!」という言葉につながるのだが、ボブは1ミリたりとも自分が親ではないなどと想いもしない
そして、16年の歳月の重みが事実をも凌駕し、ウィラとボブは親子を続けることになった
だが、ウィラは普通の人生ではなく、母の行こうとした道を歩み始め、革命活動に従事していくのである
いずれにせよ、162分の長丁場かつIMAX案件の作品なのだが、IMAXシアターで観られる人はラッキーなんだと思う
近場でIMAX上映もなく、やむを得ず通常スクリーンでの鑑賞となったが、IMAXの必要性をそこまでは感じなかった
これに関しては見比べてみないとわからないのだが、それはIMAXで鑑賞した人のレビューを参考にすれば良いと思う
登場人物が死ぬほど多く、キャラ名だけでは誰が誰だかわからないのだが、あまり重要ではないのだろう
ボブたちは移民解放を掲げる活動家で、ロックジョーはそれを取り締まる側であることがわかればOKで、移民の流入によって国の根幹が危ぶまれる中で、どのように「浄化するか」というスタンスの違いがあった
移民対策に反対する側と推進する側のどちらが正義とは描かれておらず、あくまでも対立軸としての設定でしかない
それでも、移民対策がゆくゆくは民族浄化に向かっている流れはあると思うので、そういった問題が「第三次世界大戦」を生み出す元凶になり得るという可能性を示唆しているのかな、と感じた
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