「これは現代の第三次世界大戦を描いたPTA流アクション大作だ!そして、ここにはぼくらが映画に望むすべてが詰まっている」ワン・バトル・アフター・アナザー とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
これは現代の第三次世界大戦を描いたPTA流アクション大作だ!そして、ここにはぼくらが映画に望むすべてが詰まっている
PTA✕ディカプリオ最強タッグによるクライムスリラーでスクリューボール・コメディでチェイスアクションな満足感も満腹感も高い坩堝アドベンチャー。タイトルが全て表すように、あらゆるテーマや要素が内包された戦いに次ぐ戦いだ!!そしてすべての革命は一本の道へ繋がっていくビバ・ラ・レボリューション!
"戦闘また戦闘"。あ〜これぞ映画観たなという、どっと疲れた鑑賞体験。久しぶりに1回見ただけでは本作を表す最適な言葉を見つけられない・言い表せられないかも、そんなクレイジーな大作に久しぶりに出逢えた!カウチポテトになっているハイなディカプリオが追われる側から追う側へ、逃走劇から闘争になっていく複雑に絡み合った複合的な要素が織り成す充足感。先ずは質問に答えろ、今の時間は?スリルもラフアウトラウドも満載で、長尺にもかかわらず引き込まれること必至の"革命"的超濃厚ジェットコースターライド、これぞ映画!PTAしか勝たん。
好きな監督を聞かれたら、先ず間違いなくトップレベルに挙げるPTA!初期代表作で顕著だった彼お得意の群像劇スタイルも、本作では遺憾無く発揮されている。構成に脚本が巧みなのだけど、キャラクターも決しておざなりにしているわけでなく、特にメインの2人=ボブ✕ロックジョーがヤバいキャラ立ち!ディカプリオは何演ってもディカプリオで最高すぎるのだけど、それが演技が下手な人のそれではなくて、圧倒的に引き込まれる求心力のある熱演と存在感による彼が体現する喜怒哀楽や焦燥。『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に続いて、うだつの上がらない情けない感じ最高すぎる。また、賞レースの助演男優賞にも絡んできそうな、ノリノリにキモいショーン・ペン演じる見栄っ張り具合。ディカプリオ&デル・トロほコンビ一生見てられる名コンビ!この"只者ではない"感がエグい圧倒的なエネルギー量を全編から放つ、最高の褒め言葉としてのカオスですらある本作は、『インヒアレント・ヴァイス』以降最も満足度の高いPTA作品かもしれない。
2度、3度観たいし、その鑑賞の価値がある。疑いようのない作品としての強度。盟友ジョニー・グリーンウッドによる素晴らしいスコア。センセイと逃げる夜の後ろでずっと鳴っているところ最高すぎた。緊張と緩和みたいなサスペンスっぽさと面白おかしいコメディっぽさの共存するバランスと中和が絶妙で、なんだか背もたれにもたれてふんぞり返ってスクリーンを見るのが惜しくなるくらいずっとソワソワゾワゾワしちゃっていた。群像劇方式であっち行ったりこっち行ったり色んな要素が次々と出てきても混乱しないでまとまりながらテンポよく紡ぎ上げる編集も、撮影も最高!『F1/エフワン』ばりに車体の低いところにカメラ付けている先の見えないジェットコースターみたいなチェイスシーンのカットがもたらす落ちる感覚。そうした裏方スタッフ含めて、アカデミー賞10部門以上ノミネートも現実的な視野に、賞レースで大量ノミネートされそう・賑わせそうな作品をこの時期に日本でタイムラグほとんど無く見られる歓び!
勇気を、真の自由とは恐れないこと。スーパーマンでもバットマンでもスパイダーマンでもなく"ロケット・マン"から投げられる爆弾のように、次々と勃発する戦争・闘争の数々は、まさしく僕たち私たちが生きる世界、現代アメリカ社会。丁度、とある出来事から世界に絶望していたタイミングだったのだけど、本作を観て少しは励まされたというか自分も闘わないとなと思った。あらゆる「革命」に祝福を、そしてすべての革命は一本の道へと続きつながっていく。センセイ!ビバ・ラ・レボリューション(¡Viva la revolución!)!!
P.S. コトイチ観たかった映画!本作では『インヒアレント・ヴァイス』に続いてトマス・ピンチョンの「ヴァインランド」にインスパイアされたということだけど、以前に同小説を読んだ際にはあまりに独特なその書き方から挫折したことがある。それでも、PTAの手にかかるとここまで自分でも楽しめるくらい面白くなるのだから凄いものだなと思った。公開したらIMAXで観に行こう。そのときはボブの服装を再現して観に行きたい。ちなみにディカプリオは実年齢より10歳近く若い役柄?PTAって呼んでいるの自分だけかと思っていたけど、そんなにメジャーな呼び方なのね。
♪Dirty Work / Steely Dan
American Girl / Tom Petty and the Heartbreakers
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2回目
真の天才PTA✕ディカプリオ✕ショーン・ペン✕ベニチオ・デル・トロ✕ジョニー・グリーンウッド✕各所素晴らしいスタッフ=極上の映画館体験がクセになる!!!!!!
トム・クルーズみたいに!農園天国、じゃじゃ馬億万長者、Hジャンクション。もうどうでもいい。宣戦布告は、悪との戦いから始まり、己との戦いで終わる。
主人公は迷えるボブで、対を成すサブ主人公はショーン・ペンが歩き方や一挙手一投足からザ・軍人感を醸し出しながらそれだけに収まらない変態ロックジョー(ショーン・ペンのおかげで多層的・多面的で複雑な存在に)だけど、物語上のテーマとなる視点人物は娘のウィラ(それゆえのAmerican Girl)。
ティーンエイジャーの女の子の自分を見つける旅路の成長物語でもある。親の世代の戦いと、未来を生きる子ども世代がどう対峙するか?チェイス・インフィニティ、本作で知ったけどよかった!
そして、飄々とした魅力で奥の見えない"キモサベ(相棒)"=センセイという不思議な存在!ずっとワチャワチャしているボブとの対比。唯一無二な彼が演じることで、ここまで魅力的になるかと驚かされるし、自分もセンセイに出会いたいとすら思ってしまう。
豪華オスカー俳優3人共演というだけでなく、IMAX鑑賞で2回目を観ても、やっぱり本当に映画的な喜びに溢れている作品だなとしみじみ痛感した。最初の"宣戦布告"から全編を彩る盟友ジョニー・グリーンウッドのスコアが天才すぎる。
何が起こるかわからない先が見えないストーリーラインに、複雑に絡み合った要素とキャラクター達ながら、いざクライマックスを迎え終わってみると、小手先でなく大きく描きながらも結果真っ直ぐだなと思った。つまり、余計に複雑しないストーリーテリングの巧みさと、随所のユーモアのセンス。
すべてのキャラクターが色んな側面を体現・象徴しているよう。テヤナ・テイラーが体現する自分がこの世界に存在する意味を模索するように・居場所を探すように情熱を燃やすさまも、レジーナ・ホールが体現する母性も。
本作もまた近年の映画本編尺長時間化に見られるような疲労感と完全に無縁ではないけど、実際の尺に対しては短く感じる"あっという間"感があるし、本作の場合はその濃厚さゆえに心地よい疲労感とでも言うか、一種の中毒性を帯びてもいる。
The Revolution Will Not Be Televised
勝手に関連作品『アルジェの戦い』
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