劇場公開日 2025年10月3日

「PTA✕ディカプリオ最強タッグによるクライムスリラーでスクリューボール・コメディな満足感も満腹感も高い坩堝アドベンチャー!タイトルが全て表しているあらゆるテーマや要素が内包された戦いに次ぐ戦いだ!!」ワン・バトル・アフター・アナザー とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 PTA✕ディカプリオ最強タッグによるクライムスリラーでスクリューボール・コメディな満足感も満腹感も高い坩堝アドベンチャー!タイトルが全て表しているあらゆるテーマや要素が内包された戦いに次ぐ戦いだ!!

2025年9月26日
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鑑賞方法:試写会

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"戦争また戦争"。あ〜これぞ映画観たなという、どっと疲れた鑑賞体験。久しぶりに1回見ただけでは本作を表す最適な言葉を見つけられない・言い表せられないかも、そんなクレイジーな大作に久しぶりに出逢えた!カウチポテトになっているハイなディカプリオが追われる側から追う側へ、逃走劇から闘争になっていく複雑に絡み合った要素。先ずは質問に答えろ、今の時間は?これぞ映画!PTAしか勝たん。
好きな監督を聞かれたら、先ず間違いなくトップレベルに挙げるPTA!初期代表作で顕著だった彼お得意の群像劇スタイルも、本作では遺憾無く発揮されている。構成に脚本が巧みなのだけど、キャラクターも決しておざなりにしているわけでなく、特にメインの2人=ボブ✕ロックジョーがヤバいキャラ立ち!ディカプリオは何演ってもディカプリオなのだけど、それが演技が下手な人のそれではなくて、圧倒的に引き込まれる求心力のある熱演と存在感による彼が体現する喜怒哀楽や焦燥。また、賞レースの助演男優賞にも絡んできそうな、ノリノリにキモいショーン・ペン演じる見栄っ張り具合。この"只者ではない"感がエグい圧倒的なエネルギー量を全編から放つ、最高の褒め言葉としてのカオスですらある本作は、『インヒアレント・ヴァイス』以降最も満足度の高いPTA作品かもしれない。
盟友ジョニー・グリーンウッドによる素晴らしいスコア。センセイと逃げる夜の後ろでずっと鳴っているところ最高すぎた。緊張と緩和みたいなサスペンスっぽさと面白おかしいコメディっぽさの共存するバランスと中和が絶妙で、なんだか背もたれにもたれてふんぞり返ってスクリーンを見るのが惜しくなるくらいずっとソワソワゾワゾワしちゃっていた。群像劇方式であっち行ったりこっち行ったり色んな要素が次々と出てきても混乱しないでまとまりながらテンポよく紡ぎ上げる編集も、撮影も最高!『F1/エフワン』ばりに車体の低いところにカメラ付けている先の見えないジェットコースターみたいなチェイスシーンのカットがもたらす落ちる感覚。そうした裏方スタッフ含めて、アカデミー賞10部門以上ノミネートも現実的な視野に、賞レースで大量ノミネートされそう・賑わせそうな作品をこの時期に日本でタイムラグほとんど無く見られる歓び!
勇気を、真の自由とは恐れないこと。バットマンでなく"ロケット・マン"から投げられる爆弾のように、次々と勃発する戦争・闘争の数々は、まさしく僕たち私たちが生きる世界、現代アメリカ社会。丁度、とある出来事から世界に絶望していたタイミングだったのだけど、本作を観て少しは励まされたというか自分も闘わないとなと思った。センセイ!¡Viva la revolución!!

P.S. 本作では『インヒアレント・ヴァイス』に続いてトマス・ピンチョンの「ヴァインランド」にインスパイアされたということだけど、以前に同小説を読んだ際にはあまりに独特なその書き方から挫折したことがある。それでも、PTAの手にかかるとここまで自分でも楽しめるくらい面白くなるのだから凄いものだなと思った。公開したらIMAXで観に行こう。そのときはボブの服装を再現して観に行きたい。ちなみにディカプリオは実年齢より10歳近く若い役柄。

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