「 ダンスウィズホエールズ」パトリックとクジラ 6000日の絆 ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)
ダンスウィズホエールズ
垂直に居並ぶクジラの群れは、海中に屹立する神々のよう。厳かで、まったく静かなその映像は圧巻である。
マッコウクジラの話と言えば、世界に冠たる『白鯨』だが、全文読破できずに途中脱落者が多い小説としても有名。うんざりするほど贅肉タップリなのである。作者の体験談とクジラ学が主要ストーリーの3倍もある。世界中の批評家にこき下ろされながらも”名作“と呼ばれ、こんにちに至る。珈琲のスターバックスが航海士の名前から採られたという事実が一般に流布しているのは由として。
この映画のクジラ学はメルビルのそれよりはるかに有用である。
ズッシリ重厚なクジラの巨躯が素潜りのパトリックにのしかかるが、それをスルリと交わしてアイコンタクト! ハッキリと意思を持ったクジラの目を初めて見た!そしてまばたきも!生涯のほぼ7割をダイオウイカを捕食するために深海に潜航するのだが、その口の形は驚くほど小さく奇妙だ。
ドキュメンタリーなのでドラマ性は無いが、パトリックの経歴が凄い! ウォール街の弁護士を捨て水中カメラマンに転身!という、にわかには信じられない話で、ありがちな、“ギャップを盛る“という手合いか? ホームレス寸前のシングルマザーがカフェのテーブルで書いていたのがハリー・ポッターだったように。
パトリックが見せたかったのはクジラとの親和だろう。クジラの巨体が自分の動作を真似してくれたり、独特の鳴き声で応答してくれたのはニンゲンの波動を認識してなのか、あるいは、いずれ解明されるであろう神秘の何かか?
2頭のメスと1頭の子供に名前を付け、何度も大海原で再会を果たすという奇跡に近い経験をするところが素晴らしい。
夏休み、激混みのアレや話題先行のソレに行かずとも清涼感を得られる映像体験だった。
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