劇場公開日 2025年8月22日

「ヴィラン」大統領暗殺裁判 16日間の真実 ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 ヴィラン

2025年8月25日
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鑑賞方法:映画館

79年の朴正煕軍事政権でのKCIA部長による大統領暗殺を描いた「KCIA 南山の部長たち」と、その後の一瞬の民主化への期待と全斗煥による軍事クーデターを描いた「ソウルの春」。この2本の傑作映画による韓国現代史の「間」を埋める秀作。
こういうことやらせたら韓国映画はさすがなんだわ。
コメディっぽく始まって、主人公たちの対比から相互理解、共感からなにわ節まで。本作は命令によって暗殺に関与させられた信念の軍人と信念などない弁護士(ただしフィクション)の関係性を時にウェットに描く。軍人の矜持にグッと我慢したのに娘たちと弁護士のやりとりが涙を誘うし、全斗煥(ではないことになってるけど)と弁護士のやりとりなんてもうさ…
韓国現代史を描いた映画は「タクシー運転手」も「1987」も傑作だが、一連観てると全斗煥ほどのヴィランは居ないんじゃないかと思えてくる。
日本は岸信介にせよ、戦後のヴィランを明確に出来なかったことが今の迷走の原因かもね…
あと、本作が「パラサイト」でも印象的な役を演じたイ・ソンギュンの遺作となった。惜しい人を亡くしたと思う。
彼の代表作、ドラマ「マイ・ディア・ミスター」もそのうち観たいな…

ぱんちょ