「今こそ必見の重要作」キス・ザ・フューチャー ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
今こそ必見の重要作
多民族が共生するサラエボの街を突如自国の軍隊が包囲しジェノサイドを始める。レイシストはプロパガンダを叫び自らを正当化する。
4年にも及ぶ包囲の間、住民たちを正気に繋ぎ止めたのはロックや芸術の力だった。それを知ってボノに繋いだのは一人の無謀なアメリカの若者だったし、紛争終結後に民族も宗教も関係なく人々をふたたびひとつに結びつけたのもまたU2のロックだった。
本作で流される音楽はU2だけでなく、クラッシュ、パブリック・エネミー、ボブ・マーリー、みんな体制のプロパガンダに抵抗してきた人たち。これほど音楽の持つ力を確信している人たちがいたから世界は一歩先に進むことが出来た。
本作はU2の音楽ドキュメンタリーなどではない。支配に抵抗する人たちと彼等を支える音楽の力についてのドキュメンタリーだ。これほど感動的なドキュメンタリーを観たのは初めてだ。自由と多様性の賛歌だ。ビバ、サラエボ!ビバ、ロックンロール!
翻って僕らはどうだろうか?プロパガンダに抗うことが出来ているだろうか?本作を観れば、レイシストどもの愚かさはこれほど明らかなのに、対抗できているだろうか?
作中でも語られるとおり、当時よりも今こそこのコンサートが必要な状況となっている。「外国人は出て行け」と思っている人は、本作を2万回観て自省した方が良い…
今こそ必見の重要作!
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