「「悪魔の棲む家」ならぬ「ミーガンの棲む家」」M3GAN ミーガン 2.0 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
「悪魔の棲む家」ならぬ「ミーガンの棲む家」
本レビューには「アイの歌声を聞かせて」のネタバレを含みます。
これは続編物としては「T2」や「エイリアン2」に匹敵するレベルの完成度の高さと言っても過言ではないくらい面白かった。本作がアメリカ本国で興行収入が振るわなかったことから日本では劇場公開が見送られたという。これはイーストウッド最新作の「陪審員2番」がやはり同じく劇場公開を見送られたのと同様である。
本作が受けなかったのは前作のホラーからアクション映画へとシフトしたのが観客のニーズに合わなかったせいなどと言われているが、このパターンはエイリアンシリーズも同様である。
前作のレビューではホラー作品ながらもミーガンのキャラクターが魅力的であり続編は彼女が悪党たちと戦うような内容にしたらどうかと書いてその通りになったので、今回本作が劇場公開見送られたのは本当に残念でならない。
映画会社としては広告費を回収できるかどうかが重要で、全米初登場第1位とか、そういう作品なら安心して劇場公開できるんだろうけど、全米でこけた作品に広告費かけてまでリスクを負いたくないのだろう。ちなみにランボー第一作はアメリカでこけたにも関わらず日本でヒットしたおかげであのシリーズはその後も続いたという経緯があるので映画会社の人間は自分の見る目を信じてほしいものだ。
本作は心を持ったAIが主人公を命がけで守り抜くという王道の物語だが、いかんせん様々な要素を入れ込みすぎたきらいがあり観客が情報量の多さについていけなかったのではないか。
しかし詰め込みすぎといいながらも物語は一切破綻しておらず、見せ場がてんこ盛りでとても満足のいく娯楽作品に仕上がっていた。
ミーガンがコントロールする家に侵入したFBI捜査員たちが家電品や家具で襲われるシーンはまるで悪魔が棲む家みたいだし、ケイディーをひたすら守り抜こうとするミーガンの姿はジョン・コナーを守り抜こうとするT800の姿を彷彿させた。
ミーガンが未完成の自分の姿をケイディに見られたくないというシーンは胸にグッと来るものがあったし、ひたすらケイディを思いスマートホームのAIとして陰ながらケイディを見守り続けていたなんてまさにこれは「アイの歌声を聞かせて」ではないか。
ちなみにミーガンが通信機能を使えればネット上に偏在してスカイネットやエンティティになってしまう恐ろしさもある。
ミーガンのライバル的な存在として現れたアメリアが実はミーガンが操っていて、本当の黒幕はミーガンなのではという主人公たちが疑心暗鬼にかられるところもサスペンス的要素があって良かったし、また今回は脳に埋め込んだAIチップにミーガンが同期することでジェンマがミーガン化して敵を打ち倒す場面など、ほんと見どころが満載。
確かに過去作のいいとこどり的な作品ではあるが娯楽作品としてはかなり完成度の高い作品に仕上がっていた。
イーライ・ロスの「ボーダーランズ」みたいなほんとどうしようもない作品かなとビール片手に鑑賞しだして開始早々これは傑作だと感じた。これはぜひとも劇場鑑賞したかった。
