「MRIに金属がダメな理由がよくわかった」ファイナル・デッドブラッド おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)
MRIに金属がダメな理由がよくわかった
「こんなことあったらやだな」という想像を全て映像化して具現化するホラー映画で、数あるホラー映画シリーズの中でも個人的に最恐と思っている。
公開直後の東京では上映館が2館のみだったが、そのうちの片方は料金が4,500円(割引サービスを利用しても4,000円)だったため、自分の経済力では実質的に観られる映画館は1館だけだった。
上映館は少ないものの、映画ファンの注目度は高いように感じる。
クレジットカードを持っていないためオンライン予約ができない者にとって、チケット購入の難易度は最高峰だった。
映画開始の1時間ほど前に行くと、受付に表示された画面では全席売り切れ。
別の日のチケットだけ買って出直そうと考えていると、車椅子利用者用の席を特別に売ってもらえるという。
少し心苦しく思いつつも、ありがたく購入した。
冒頭はスカイツリーにしか見えない建物が舞台。
惨劇が始まる前の展望台でのプロポーズシーンは、役者の演技力の高さに引き込まれ、感動した。
高所に設置された数百メートル下の景色が見渡せるガラス床で、誰もが一度は想像するであろう「こんなことあったらやだな」という状況を再現。
室内のホールで行われているダンスのリズムに合わせて、建物を支えるネジがリズミカルに吹っ飛ぶ場面は、少し笑いを誘った。
スカイツリーが『タワーリング・インフェルノ』以上の壊滅ぶりを見せる。
完成披露パーティーで崩壊するとは、かなりの違法建築ぶり。
このシリーズの始まり方としては最高の出だしだった。
今回新鮮だったのは、この映画の仕組みである「登場人物たちが逃れられない死の運命に次々と巻き込まれ無残な死を遂げていく」ということを登場人物たちが把握している点。
「起きた出来事を方程式で考えれば次に何が起こるか予測できる」という人物まで登場した。
このシリーズに見慣れていると、何かが起きそうな時ほど何も起きず、油断した時にグロいことが起きるのだろうと観ながら推測してしまうが、本作はさらにその裏をかいてきているように感じた。
悲劇が起きた後に葬式シーンがあり、その後またすぐに悲劇があって、またすぐに葬式シーンになるという展開は、葬式を扱った天丼ギャグのように感じられた。
鼻ピアスをしている人が起きてほしくないと思っていそうな惨事の場面もかなりの迫力だったが、この映画のルールでいうと、この場面は死神の呪いではなく単なる現実の事故ということになる。
しかし、自分にはこの映画の中で最もリアリティのない場面だと感じられた。
他人の命を奪えば自分の余命を伸ばせるという話の後に、亀は寿命が100歳という話が出てきた時、おそらく観客の誰もが同じことを考えたと思う。
病院のMRIの機械で金属が危険な理由がよく分かった。
Tシャツの乳首部分や股間まで金属が引っ張られる描写は、毒っ気たっぷり。
実際にはあそこまで出力できるように設定するのは必要性がなく、ただ危険なだけなので実際はありえないと思った。
隣に座っていた女性は、残虐な場面になるたびに手で顔を覆っていた。
怖いシーンが観られない人が、なぜこの映画を観ようと思ったのか不思議だった。
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