「たとえスウィーニーでもダメぜったい」エコー・バレー 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
たとえスウィーニーでもダメぜったい
母と奔走したジャンキー娘の話で、グレンクロースとミラクニスのFour Good Days(2020)を思わせる関係性だが、母親が甘いところが違う。
結果的に娘(シドニースィーニー)にやりたい放題やられる母(ジュリアンムーア)が描かれる。
Four Good Daysは薬物からの離脱を描いたヒューマンドラマだったが、これはやらかしまくる娘の尻拭いをする母のミステリーになっていて、そのやらかしが酷すぎてストレス過多な鑑賞体験になった。
薬物に支配された者は無秩序になるので母はどんどん窮地にはまる。家に帰ってくるのはヤクを買う金がなくなったときだけ。
Four Good Daysのグレンクローズは強い母親だったのでクスリ支配下の娘を信用せず排除したが、優しいジュリアンムーア母は娘を信用しせびられるままに金を渡し、ヤクの元締めから目をつけられ、死体遺棄の片棒を担がされる。
彼女は大事な人を亡くしたばかりでいつもフラッシュバックで目覚めるし、厩舎兼乗馬インストラクター業も資金繰りがうまくいっていなかった。
つまり弱り目に祟り目なところに泣きっ面に蜂が飛んできて踏んだり蹴ったりなのに一難去ってまた一難。──という感じで、とにかくストレスの溜まる映画だった。
いつもグッドガイを演じるドーナルグリーソンが残忍な元締めをやっていて、About Time(2013)が好きな人は想像つかないかもしれないが、グリーソンの悪党っぷりはふてぶてしく、さすが舞台系演技派という感じだった。
終局にくると、かなり強引にどんでん返しへもっていってミステリーっぽくまとめるが、大事な人を亡くして凹んでいる母の心象描写がしつこいのと、母娘の確執を描きたい気配もあるのでヒューマンドラマが失敗したので強引なミステリーでまとめた、という感じの映画になっていた。脚本が破綻していたと思う。
imdb6.3。このimdbの評点は予想したより1ポイント高かった。
RottenTomatoes50%と50%。