配信開始日 2025年5月23日

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「若返りの泉」ファウンテン・オブ・ユース 神秘の泉を探せ 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0若返りの泉

2025年7月5日
PCから投稿

洋画の追いかけっこやカーチェイスでは露天商をひっくりかえすのがつきもので露天商というものはだいたいユーラシアの下の方で非シルクロードでグローバルサウスで、早い話が白人どもはアジアの繁華街の露天商をひっくりかえすのがアドベンチャーだと思っている。

ジョーンズ博士に拾われたショートラウンドしかり、白人の思考回路ではアジアには孤児がうじゃうじゃいるから、活きのいい奴を拾えば一緒に冒険ができることになっている。牽強付会だがロバートダウニージュニアはプレゼンターのキーホイクァンを一瞥もしなかった。

この映画もタイの露天商や生活環境を壊しまくる追いかけっこからはじまる。どうだろう。有色人種のヒーローが白人の街でどけどけどけと叫び白人たちの売り場と売り物を破壊しまくりながら追いかけっこなりカーチェイスなりする映画があるだろうか。キーホイクァンが白人の子供といっしょにアドベンチャーする絵が成り立つだろうか。

──という白人の優越感にたいする嫌悪感をおぼえたことと、なんでクラシンスキーなのか。クラシンスキーはいい役者だ。しかしなんで彼なのか。インディに変わるような新しい考古学者のヒーロー像を模索していたのは間違いないにしても考えすぎている気がするし、性格もドライすぎた。
ニコラスケイジのナショナルトレジャーって良くなかったですか。ヘンだけど切れ者でかっこよくてニコラスケイジの真骨頂だった。アクションアドベンチャーのヒーローの理想値が彼とすると、ここの主人公は自らの野望のために侵す無秩序ばかりが目立った。
細かいことを言うようだが、冒頭の追いかけっこでBBQ露天商のスクーターを盗むんだが、盗まれたほうはどうすりゃいいですか。アクションアドベンチャーのヒーローが必ずしも正義の味方であれ、博愛の聖人であれとは言わない。にしたって、なんで庶民の生活を破壊しながら突っ走るの、って話。

それから話がふつうすぎる。インディジョーンズ風の焼き増し。善悪どっちもできる器用なドーナルが欲かいて、敵の姐さんが味方に回って、なんてか後出しジャンケンと御都合主義だった。
ガイリッチーは玄人受けする映画も手がける一方アラジンもやる。スナッチもつくれるし大衆映画もつくれるガイリッチーの演出力に疑いはないが「流されて」しまうこともあるんだな。
案の定imdb5.7、rottentomatoes36%と39%。コケたが、とはいえガイリッチーはクオリティの高い映画を連発しているので打率的にぜんぜん許せる。
日本映画だと巨匠がコケるどころか巨匠たちが全員そろいもそろってクソ映画しかつくらないのが当たり前の現象だから日本の映画人にコケたガイリッチーを揶揄する資格はないと思う。

ただしこの映画は白人の優越意識が出ててヤだったし、バンコクイギリスウィーンからギザ、世界をまるで砂場のように行き来し、湯水のように使われる製作費用をひしひし感じる反面、率直に言ってつまらなかった笑。ちなみに260億円かかったんだってさ。

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津次郎