「主人公と独特な世界観が魅力的。」コンスタンティン すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公と独特な世界観が魅力的。
○作品全体
世界観、ジョン・コンスタンティンという人物、その戦い方、武器…説明もなく少女に取り憑いたハーフ・ブリードと戦うところから始まるが、キアヌ・リーブス演じるジョンのシルエットやたばこを吸うときのポーズ、確固たる自信をもって臨む悪魔への戦法がシンプルにかっこよくて没入できる。
ジョンは表情を大きく変えず、ハードボイルドな主人公だが、たばこの吸いすぎで肺がんで死が近いため天国行きのための「切符づくり」に焦っている、という物語の根幹もシンプル。しかし天国と地獄の勢力図であったり、ハーフ・ブリード・キラーであるジョンの命を欲しがるサタンの存在がその構図の奥行きを巧く作っていた。終盤のジョンの「自己犠牲」によって起きる大逆転が、その最たる例だろう。天界の強力な力が状況を覆すのであれば納得せざるをえない。「デウス・エクス・マキナ」とも異なる、本物の神の裁量なのだから、それはもう納得するしかないだろう。そう思えることがむしろ心地よくもあった。
この作品にある強い宗教観とそのルールに浸るまでは捉えづらいところもあるが、浸ってしまえばあとは作中の世界で躍動するジョン・コンスタンティンの姿に魅了される時間を過ごすことができる。そんな作品だと感じた。
○カメラワークとか
・手前に緑色のガラスを置いて、そこから出てくるようにジョンの前へ向かっていく。わかりやすい境界線演出、かつマイナスなイメージの緑から抜け出してくるような印象。
・アクションシーンで殴るときに人物の真正面カットで殴るのを誤魔化すのは、正直ダサいなあと思った。殴らないことがダサいんじゃなくて、絵的にダサい。昭和の戦隊モノのアクションみたいなカメラに向かってパンチっていう絵面、少し迫力に欠ける。
○その他
・ガブリエルがとても良いキャラだった。天界の存在でありながら無慈悲。神聖な雰囲気とその裏にまとった影の両立といえばいいだろうか、ティルダ・スウィントンの名演だと思う。