KNEECAP ニーキャップのレビュー・感想・評価
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DOPE
アイルランド語が公用語として認められず起きていた抗議運動を背景にした作品です。
ヒップホップトリオのニーキャップが歌う少々過激なリリックと心地良いテンポで思わず体がリズムを刻んでしまいます。映像もコラージュみたいで遊び心とセンスがあり「トレインスポッティング」のようにぶっ飛んでいて、ところどころにアイルランドカラーが見えるところがとても可愛らしい。
失われ行く少数民族言語に誇りとプライドを持ち、差別や貧困の中からアフリカ系アメリカ人が生んだヒップホップでユーモアを交えて社会的なメッセージを伝えていく。まったく予想していなかったのですが、心を動かされました。
アイルランドの文化を知っていた方がより楽しめる作品ではあります。
今のところ今年のベスト1かもしれません。
メッセージが沢山詰まっていて素晴らしかったので
是非多くのかたに観ていただきたいです。
Kneecapの楽曲がとにかくカッコいい
北アイルランドのアイルランド人のプライド
2022年までイギリスの領土である北アイルランドではアイルランド語が公用語として認められていなかった。アイルランド人としてのアイデンティティは抑圧され続けてきた。
今作は超過激なリリックをアイルランド語でラップするヒップホップトリオ「KNEECAP」の誕生をとらえたホットな逸品。
何とKNEECAPのメンバー自身が本人役を演じた。あまりにも演技が上手いので俳優さんだとばかり思ってた。
実話にもとずくとはいえドキュメンタリー感はなく、スタイリッシュな映像とユーモアを交えたスピーディーな演出が秀逸。
イギリスとの長い紛争の歴史には一切触れず、現在進行形のアイルランド語法制化活動のみを織り込むシンプルな構成も非常に効果的。
そう、イギリスの領土である北アイルランドにあって英語を話さず、アイルランド語を話すアイルランド人のプライドに熱くなった。感動した。
ポップカルチャーの力
北アイルランドの歴史に興味があったのと、音楽映画ということでkneecapの予備知識なしに鑑賞しました。はまった。なんだこれめっちゃいい。
音楽映画&トレインスポッティング的青春映画としても十分楽しめるけど、思ったより社会派で骨太な内容でした。
メンバーは3人とも初演技ということでしたが、特にDJは最後まで本業の俳優かと思ってた。ファスベンダーは先日の「ザ・キラー」といい、謎めいた役が似合いますね。イケメンすぎてちょっと浮いてたけど。
そして何より感じたのはポップカルチャーの力。最近のアーティストは政治的な意見を前面に出すことは以前に比べると少なく、sns世代は自分たちの影響力を真剣に考えてるからだと思うけど、少し淋しい気持ちもあったのでそれも刺さりました。
北アイルランドの歴史は日本人にはあまりぴんとこないかもしれないけと、それを除いても普通にエンタメとして面白いので、少しでも興味があればぜひ見てほしい映画です。
下品な作品だけど勉強にもなったし楽しく鑑賞できた
2021年12月31日からアイルランド語は欧州連合の公用語になり、他のヨーロッパ言語と同等の地位を認められたが、ニーキャップのブレイクと公用語運動を並行して見せることで、少なからず両方が無関係ではないのではと思わせるつくりとなっている。
地域のカルチャーを歌詞にし共感を得るヒップホップ(ラップ?)だが、歌詞の内容やメンバーの素行などからもオフィシャルでそれが公用語の後押しをした要因の一つであると手放しで言いにくいところも非常に面白い。
DJプロヴィも本物の人なのかな?
なんか役者然としてるし、演技もうますぎてびっくりした。
出身が違う二人が北アイルランド、アイルランド北部と言い合うシーンはちょっと笑える。
個人的にも勉強になったし、ニーキャップの存在も知ることができたので観て良かった作品。
楽曲かっこいい。
R18なのがもったいない
音楽を扱った映画の中で個人的には三本の指に入る名作だと思う
たぶんsex描写がR18の原因だと思うんだけど
別に直接的に物語と関係ないから
無い方がもっといろんな人に観て貰えたんじゃないだろうか?
言葉が自由の為の弾丸なら
音楽は自由の為の拳銃だな
若干の政治色はあるけど
主人公達は別にそこまで深い事考えてないのもいい
自分のアイデンティティで自分達を歌ってるだけ
アイルランドに関する予備知識がある程度必要な所はやっぱり少しだけマイナスかなぁって気がしてたけど
やっぱりこれは星5だ
ていうか主演はKNEECAP本人なんだね
MCの2人は何かの映画で観た事ある気がしてたんだけど気のせいかな?
後、歌唱パートの
日本語字幕が割とちゃんとラップになってた事には何気に感心した
肚の底の怒り
もっと曲をたくさん聴きたかった…!
恥ずかしながらニーキャップというグループを知らず、なんとなく、で鑑賞を決めたがとても興味深く見た。映画が訴えているテーマのひとつでもある、感情を含めた生活の中で生きた言語としなければ、言葉は失われてしまう、という部分は分かりやすかったし、グループに影響された子供たちが遊びながらアイルランド語でラップをして、言葉が生活の中に再取り込みをされていく、というシーンは印象に残った。
ニーキャップの曲については、「なぜ人気となったのかはわからない、運かそれとも、」というモノローグがあったけれど、彼らの曲から、非常に強い社会不満、行き場のない閉塞感や未来への展望のなさ、肚の底にタールのようにこびりついた癒えない怒りを感じた。
踏みにじられたという思い、手に入る筈のものを理不尽に奪われたという思い、言語化も整理もないまま年数を経て、いつしかそれがその人のアイデンティティの一部になってしまうような、そんな堆積して変質した怒り。
彼らの曲がアイルランドで人気になったというのなら、聞いた人の心の底にあった思いを代弁した、代わりに怒りの一撃を(どこかに、誰かに)喰らわせたように感じたのかもしれない。
だから、彼らにとっては「自由への弾丸」。
あくまで自分が曲から感じた印象で、もっと他の彼らの曲を聞けば、他の印象・イメージを持つのかもしれないけれど。(あくまで個人の感想なので、解釈が見当違いでもご容赦ください)
これはアイルランド版『トレインスポッティング』だ!
アイルランド語✕ヒップホップ=アイルランド語は自由のための弾丸、ヒップホップは俺たちに力を与える。
つまり、ドラッグ漬けでうだつの上がらない日々を送る若者たちの日常を、主人公自ら振り返るような引いた視点で、エネルギッシュに尖った演出と共に騒々しく語っていく。作品にモデル題材となる人々よろしくしっかりとクセがあるというか、観客をアゲてノセる強度があった。本人自ら演じる音楽伝記映画の新たな金字塔!父親役にはマイケル・ファスベンダー。アメリカの西部劇をインディアンの視点で見ろ。ニーキャップのライブ見てみたい!そうさ俺はH.O.O.D、底辺のクズさ!
我らの時が来る。物語は言葉で、国家は物語、これは俺たちの物語だ。日々失われていく言語や文化を守ること。そのために立ち上がり行動すること。絶滅しかけたドードーを檻から出して。
お尻にBRITS OUT! 片道切符で
言葉とは
この作品の意義はわかるが、共感とまではいかない
HIP-HOP的初期衝動
やばい!8月のファーストデーでとてつもない映画に出逢ってしまった!
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国で(あえて国名に北アイルランドを入れてるところがイギリスのこの領土への執念を感じる)12世紀から根深く続く宗教・民族対立の被支配側、つまりアイルランド側への文化的侵略がつい最近までゴリゴリに進められていたことに驚く。この状況は、日本が中国に占領されて主権を取られて日本語を話すことが禁止されるっていう未来を想像しながら見るとリアリティが増すかもしれない。そう、自国の言葉は弾丸なのだ。
IRAによる北アイルランド紛争時のテロリズムはイギリスとその息子アメリカによってかなり歪められてプロパガンダされてるわけだけど、植え付けられた負の歴史すらも木っ端微塵に吹き飛ばすくらいのレボリューションエンターテイメントだった。
そもそもアイルランド語がさっぱりわからないのに初期ヒップホップのど真ん中を貫く、骨太で魂を揺さぶるトラックであっという間に映画の世界に引き込まれるし、セックス&ドラッグ&ヒップホップを地で行く展開に、アゴはずっと揺れっぱなし、口角もずっと上がりっぱなし。
伏線の貼り方やストーリーテリングの巧みさからずっとよくできたフィクションだと思って見てたのに、エンンドール見て「あれこれ本当のアーティストの半自伝映画じゃん?!」ってなって、思わずパンフレット購入(今年初)。観るまでなるべく情報入れない主義の弊害が出ましたね。
まあネタバレはしたくないのでレビューはここまで。初期ビースティーボーイズが好きならマストですわ。伝説のサンプラーのパパサンも出てくるしね。来週水曜にOdessa theaterでもう一回観させてもらいます!宇多丸さん好きそうだなあ…。
それではハバナイスムービー!
P.S.ライム&リリックの翻訳は大変だったと思いますが、時々字幕でも韻踏んでくれてGJです!松本小夏さん!
C.E.A.R.T.A
言葉は呪(のろ)いか呪(まじな)いか
思い出したのは2つのこと。/1つは、モンゴルにおけるヒップホップ受容の研究について。モンゴルのシャーマニズム研究者である島村一平氏によると、近年、モンゴルではヒップホップが盛んであり、それはシャーマンの伝統によるところが大きいという。本作におけるアイルランド語(ゲール語)は、父に象徴される祖国の紛争や分断を引き継ぐのろいとなるものであり、その分断を生き抜くためのまじないでもある。そう言えば、モンゴルも社会主義と資本主義のぶつかり合うところで、表立った紛争こそないものの、揺らいでいる地ですよね。/もう一つは、映画『ぼくたちの哲学教室』のこと。この映画は、ベルファストで紛争によるトラウマの世代間連鎖に巻き込まれた子どもたちのために、哲学の知恵を伝授しようとする校長のドキュメンタリー。学校に教師のための筋トレルームがあり、心的に耐え難い困難が起こると、校長がルームにこもって筋トレする!困難をどのようにサバイブするか、怒りをどのように飼いならすかという話で、『ニーキャップ』では校長が筋トレするようにラップして尻を出す!/あと、他文化との付き合いみたいなことでいうと、日本の問題でもあるよね。先の選挙の結果を考えると、日本におけるマイノリティ排除はすでに進みつつあると考えた方がよいわけで。本作を見終わって、他に開いているお店がなく京都の一等観光地の天丼屋で遅めのランチをしたのだが、外国語しか分からない客にも店員は頑なに日本語しか話さない!こういうの、どう考えたらいいんだろうね。/みんないいが、DJプロヴィがチャーミングだった。オープニングから茶目っ気たっぷりに人を食う映画であった。
言語はお互いを知るのためのもの
下品な表現や言葉が多いですが、たくさんの学びのある本当に本当に素晴らしい映画です。ぜひたくさんの人に見て欲しいです。私はこの映画を見るまで北アイルランドの言語政策について、恥ずかしいことに知りませんでした。
この映画を見た後、なぜ彼らがそしてアイルランドが強くパレスチナに連帯を表明するのか、想像できるようになりました。
ベルギーの映画祭でこの映画を見たのですが、上映後に登壇したkneecapのMo Chara(アイルランド語で私の友だちという意味)はこう言っていました。
『言語はアイデンティティを表すためのものではなかった。本来、言語はお互いを知るための道具であるべきはずなのに…
それが、政治のせいで変わってしまった。』
ここから下は本編とは関係ないKneecapというミュージシャンの活動についてです。BBCの記事やKneecapのInstagramから引用した内容です。
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この映画はイギリスの芸術助成金を利用して制作された映画です。しかし、完成した内容はイギリス政府を強く批判するものでした。そのため、イギリス政府は助成金付与の撤回を下します。
しかしkneecap は、それに対し、イギリス政府を相手に裁判を起こし、2024年11月に勝訴しました。
そして無事に授与した14,250ポンドを全額、北アイルランドにある、対立し合うカソリックとプロテスタント両方のコミュニティに寄付しました。若い世代のより良い未来のために。
彼らの強い意志と勇気を、心の底から尊敬します。
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