「ルパン三世はスパイなんて上等な男じゃあない。お前たちこそ奴に係わるな!」LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 ルパン三世はスパイなんて上等な男じゃあない。お前たちこそ奴に係わるな!

2025年7月10日
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鑑賞方法:VOD

WOWOW(オンデマンド)にて。

劇場版へと続くシリーズ4本目、銭形編。
このシリーズ、アダルト志向を意識しすぎて却ってガキっぽくなっている気がする。
また、ひどくデッサンが崩れて遠近感がおかしく見えるカットが時折あるのも気になる。
が、数あるテレビシリーズやスペシャルの中では観られる(魅せる)シリーズだし、この挑戦は大いに評価できる。

原作は決してハードボイルド探偵小説風でも、フィルム・ノワール風でもなく、一点オチのお色気コミックだ。しかも、そのオチが読めないものだから面白いのだ。
モンキー・パンチの発想は「アルセーヌ・ルパンをジェームズ・ボンドのように活躍させたい」だった。
その目線でいくと『ルパン三世(ルパンvs.複製人間)』(’78)が最も合致した作品だと思う。(モンキー・パンチが監督した『…DEAD OR ALIVE』(’96)よりも)
そこに登場する狂敵マモー。
そのマモーの存在を匂わせ続けたのが、本シリーズだ。

次元、五エ門、不二子を襲ってきた敵たちとの戦いをルパンを脇役に置いて描いてきたシリーズで、銭形編の敵はルパンその人だというアイディアは秀逸で、その先にマモーの存在を感じずにはいられない仕掛けになっている。
銭形がキレ者として描かれることは少なくない。『…カリオストロの城』(’79)が典型で、その場合は銭形とルパンの間に友情めいたものを匂わせるのが常だ。
だが、私はあくまでコミック・リリーフであって、鋭さを少しのぞかせる程度の銭形が好きだ。
原作コミックでも銭形がルパンを追いつめるエピソードがあるが、オチがあるから良いのだ。
本作の銭形はかなりハードな状況に追いやられる。傷だらけというレベルではなく重傷を負う。なのに正義を追求するというカッコよさなのだが、重傷を負っている悲壮感があまり出ていないのがもったいない。
物語的にもテロリスト・ルパンの目的が曖昧で、続きは劇場版で…といわんばかりなのがやや不満。
とはいえ、劇場版でどのように決着させるのか、楽しみではある。

※余談…
今更だが、〝ⅢRD〟という表記は正しいのだろうか?
〝third〟を〝3rd〟と略すことはあるが、三世を意味する〝the third〟の略記が〝Ⅲ〟(チャールズ三世=Charles III)だと思うのだが…。
小池健キャラクター・デザインの本シリーズの前身的なTVシリーズは「LUPIN the third 峰不二子という女」だったけどなぁ。

kazz
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