大長編 タローマン 万博大爆発のレビュー・感想・評価
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なんだこれは!自分の感性が問われる
70年代特撮ヒーロー番組のテイストを生かしたまま、岡本太郎の思想をNHKエデュケーショナルが映像化した2022年の『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』(全10話)の劇場版作品。昭和100(西暦2025)年に再び万博が開催されるという時代を意識して制作されたそうだ。
自宅のテレビが白黒の時代に『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』などを見ていて、当然のように大阪万博(私の中では1970年に終了している)にも実際に行っている世代からするとノスタルジー感満載の絵作りがなされ、岡本太郎の世界観とその精神が思う存分活かされているのはテレビ版と共通。
なお、テレビ版の各エピソードのタイトルを並べてみると以下の通り:
・でたらめをやってごらん
・自分の歌を歌えばいいんだよ
・一度死んだ人間になれ
・同じことを繰り返すくらいなら死んでしまえ
・真剣に、命がけで遊べ
・美ってものは、見方次第なんだよ
・好かれるヤツほどダメになる
・孤独こそ人間が強烈に生きるバネだ
・なま身の自分に賭ける
・芸術は爆発だ
これらを眺めるだけで制作者が伝えたいメッセージが透けて見えるようだ。そして、やはり劇場版でもキーワードになるのが「でたらめ」だ。
だからこそ、起承転結のある理路整然としたプロットなどを本作に期待してはいけない。とはいえ1時間半を観客が耐えられるように持たせなくてはならないので、整える部分と壊す部分の按配が難しかったと監督・脚本(その他諸々)の藤井亮も述べているが、予めその世界観を知っていないと若干の戸惑いを覚えるかもしれない。
本作で描かれる「でたらめ」と「秩序」の対立は、70年の万博における「人類の進歩と調和」というテーマに対するアンチテーゼとして縄文の土偶を思わせる太陽の塔を打ち建てた岡本太郎の対極主義そのもののようだ。
過去の知識の蓄積を小綺麗に整理して文章でもイラストでも音楽でも生成してくれるAIによって世の中が支配されつつある(あるいは、喜んでその手中に落ちて行こうとする者たちが後を絶たない)現代において、人間はこれまでなかったものを生み出し、そこに美しさを感じることができるのか?理性では理解不可能なものに直面したときに「なんだこれは!」と喜びに打ち震えることができるのか?自分たちの感性がまさに問われている。
ちなみに、読み応え、見応え満載で、往年の児童雑誌を彷彿とさせるパンフレットが秀逸なので、劇場でマスト・バイ。
良いでたらめ加減
「1970年代に放送された特撮ヒーロー番組というコンセプト」
「芸術家・岡本太郎のことばと作品をモチーフに」と紹介文にある通り、
懐かしの特撮ヒーロー風の絵柄と岡本太郎の造形物。安っぽく見える
のは実は製作者の狙いだ。この視覚部分は秀逸。
最近観たある映画は「何だこの安っぽい映像は?手抜きか予算不足か
あるいは作り手の力不足か?」と思ってしまったがその安っぽさとは違う。
(偶然あちらの映画にも1970年大阪万博の映像が使われていたが必然性を
感じなかった)
コンセプト通りの世界観が貫かれていてそこは良かったのだが、物語が
今一つ物足りなかった。演出もメリハリがなくてずっと同じ調子。
盛り上がらないまま終わってしまった(個人の感想)。
導入部分はその世界観が新鮮に感じられたものの、見続けているうちに
飽きてきた。物語に魅力を感じず、頻繫に出てくる”岡本太郎語録”
からの引用も説明的に感じ、何度か寝落ちしてしまった。
短編の連続物なら違った印象を持ったかもしれない。しかし上映時間
105分の”大長編”にするなら物語に工夫が必要ではなかったか。
「なんだこれは」「でたらめ」という言葉が似合う世界観。そのでたらめ
加減はまあまあ良かったのだが。いや、もっと突き抜けるほどのでたらめ
さがあっても良かった気がする。
恐らく製作したのはある程度常識を持った普通の人。常識人が頭で考えて
岡本太郎的世界を再現しようとしたって、無理がある。常識をぶち破る
ほどの、爆発的な力はこの映画からは感じられなかった。
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終盤の、山口一郎がタローマンマニアという体裁で出演した場面。
この場面を見て泣いているお客さんがいた。自分には泣くツボが
分からなかったのだが、この映画を観て泣ける感性の人がいるんだ、
という発見があった。
自分自身、大多数の人が酷評していて突っ込みどころもたくさんある
のに自分は大好きな映画というのがある。
それと同じで、自分には理解できない・感性に合わないからと言って
その作品が”見る価値がない”と決めつけるのは慎もうと思った。
笑ったわぁー!
いやー本当に笑う!
凄い想像とユーモアある世界観!デタラメが作品を面白くする笑
知らない人と映画館でずっと同じタイミングで笑っていたww
あのメチャクチャな世界観が今の日本のダメな所を指摘しているようで面白かった。
真面目過ぎる日本は良くも悪くもあるって言うことを岡本太郎は言いたかったのかな!
もっと肩の力を抜いてストレスなく生きる社会を目指すべきなんだなぁ。そしてなんでも機械に頼らないで自分で考えて行動しろって事を私たちにメッセージを送っていたのかもしれない。タローマンの戦闘シーンがどれもこれもツボに入り笑えた笑
なんか言葉では現せられないけど、こーゆーのを待っていたんだよって凄く凄くおもわせてくれた作品だった笑
社会に疲れたそこのあなた!絶対にタローマンを見てください!今働いてるこんなクソ会社辞めてやるって思えるよ!
水を差すキャラクターも個人的にはツボだった笑
甦る岡本太郎のメッセージ
以前チラッとテレビで目にしてナニコレ⁈と笑えたので映画も鑑賞したら、面白かった。
あの頃こんなだったなぁと思い起こすようなディティールが満載で、タローマンや隊員達のやることも笑えて、それでいてストーリーはちゃんとSFチックに進行して、「人類は進歩などしていない!」を始めとした岡本太郎の残したメッセージをしっかりと伝えていてすごいなと思った。
映画のパンフレットも買ったのだが(これも凝った出来)、予算の都合で未来の宇宙のセットはホームセンターや百均の素材と藤井監督の血と汗と涙のPC作業でできていたこと、エランとタローマンの中の人はパントマイム俳優の方が演じておられたことなどを知って驚いた。(特にエランの動きは只者ではなかったし。)
デタラメである素晴らしさ
作り手の情熱?
こだわりが強すぎるのはよーくわかります。テレビのシリーズと映画と。
長期にわたりここまでめんどくさそうな作業をよく続けたなー。
時間軸が、70年代レトロを現在として、2025を未来として、ややこしいくらいごちゃ混ぜで。
デタラメな世界観をシュールに並べ続け、色彩の派手さとかすれ感を感じる質感。わざとらしいセリフ回し。手作り感あふれるバッジや衣装や小物たち。クドさを押しつけてきてるのに気がつけば飲み込まれてしまってる。
タローマンの絶妙に鈍いうねりの動き。マイムの方にしかできない動きですね。アクション俳優にはできない完璧なデタラメ動き!
で、メッセージの濃さ。便利でコンパクトで無駄のない現代に、あえて過去からの喝をいただいたようです。
好き嫌いは分かれるかもですが今の映画にはないエネルギーを感じました。
なんだこれは!は至上の賛辞
3年前にNHKで放映されていたなんて知りませんでした!
やはりNHK侮れませぬな…
なんだこれは!?と、とりあえずポスターと岡本太郎というだけで劇場へ。
いやー、なんだこれは(笑)!本放送見たかった!
本当に70年代に制作されたのかと見紛うほどの色彩と映像。
くどいくらい死語を飛ばすカウボーイサイボーグに、あ、わざとなのね!と気付くけど、それにしてもよく出来てます!
こだわりが詰まったチープな映像、縄文土器を捏ねだすとこは大爆笑
太陽の塔や片目になった坊やから出るビームが可愛過ぎる♥
いくらでもAIやCGで綺麗な映像を作れる時代に、あえて粘土や紙芝居でここまでの映像を作るのは、熱烈な岡本太郎愛と努力と根性と捻くれ具合を感じます。
でも最終的なテーマはとても素晴らしく、岡本太郎の言葉も全てが刺さります。
まじでスタッフのみなさんGJ!!もう一度観に行きます!
ところでデタラメな動きが妙に映画泥棒と親和性が高いのですが、タローマンと未来から来たサイボーグの中の人、映画泥棒の人じゃない??気になる…
デタラメ革命
健全な未来へのメッセージ
真面目に感想を考えるのが馬鹿らしくなる映画
岡本太郎と万博とでたらめの面白さ
岡本太郎や太陽の塔、1970年頃の特撮、NHKのタローマンを知ってる人は一層楽しめると思います。
監督もスタッフもよくこのべらぼうな作品を作ったなぁという驚きを感じつつ、岡本太郎の言葉の持つエネルギーに力をもらいました。マイナスに飛び込め、など最近なかなか言わないけど、それもありだな、と思いました。
また最後の山口さんの解説が分かりやすいです。
岡本太郎画伯へ・・だけではないリスペクト満載
ところどころ出て来る岡本画伯のセリフ(っぽい文章)だけでなく、多分画伯が考えたであろう太陽の塔の命を吹き込んだ。それ以外にも円谷監督へのオマージュと思える怪物が次々出て来たり、墨流しのバックはウルトラQ、もちろん「科特隊」の面々もそれぞれ出ていて、当時を知っている者には懐かしさ満開。
外国映画のオマージュも忘れていない。タイムトラベルは「ドクター ストレンジ」の場面そのままだし(這って出入りするのはご愛敬)、身を捨てて溶岩に飛び込むのは「ターミネーターⅡ」で有名(サムアップは無かったが)。しまいにティラノザウルスまで。
その他探せばもっとあるのかも知れないが、基本他作品へのリスペクトに溢れている。本作はふざけまくっているようで、「芸術論」や「SF論」、「文明論」まで問いかけていると感じたのは考え過ぎか?
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