「裏ファイト・クラブ」カーテンコールの灯 ouosouさんの映画レビュー(感想・評価)
裏ファイト・クラブ
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セルフ・コンパッションやらサードプレイスやら今っぽい「ケア」の文脈で語ることはできるのかもしれないが、その道筋は険しくささやかであるし、丁寧になされる必要があるということをきちんと描いている。/人間は感情や本能という野性に根ざしたものに触れながら生きる必要があるが、それは感情を暴力的に暴くことでもないし(感情表現のワークの乱暴さと終盤の娘による主語の切り分けと丁寧さとの対比)、肉体に暴力的に介入することでもない(「インディマシー・コーディネーターが必要だ」)。そういった意味で、『ファイト・クラブ』の裏面もしくはアップデート版という感じがした。『ファイト・クラブ』が近未来的ディストピア風世界として描いたものが、古典への回帰という形で示されるのも面白い。/最初、いろんなことが断片的に置かれていくんだけど、人間にとって出来事は常に断片で、他人とは常に不可解なので、そういった描き方も人間に寄り添ったものだと感じた。/ジュリエットを演じる役をしていた俳優、どっかで見たと思ったら『逆転のトライアングル』で大変そうだった人だ!
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